留学内容
農村地域の持続的発展に向けた実践知の獲得を目的に、ニューカッスル大学のCenter for Rural Economyにて1年間研究活動を行いました。具体的には、1970年代から英国で確認されている「逆都市化」(都市から地方への人口移動)に着目し、移住者に人気のある郊外地域でフィールド調査(アンケート調査とインタビュー調査)を実施しました。その結果、田舎へのあこがれが強く、子どもを豊かな環境で育てたいミドルクラスが多くみられました。しかしながら、単に移住者が増えれば地域が活性化されるわけではないようです。こうした裕福な層の移住によって、住宅価格の高騰や地域内での貧富の差の拡大といった課題が生じています。コミュニティ団体が地元企業や行政と連携しながら対策を講じていますが、いずれも対応策に過ぎず、予防の観点からの移住政策は行われていません。日本では近年、田園回帰(都市の若者を中心とした農村地域への関心の高まり)が期待されていますが、移住・定住促進に向けては、移住者の量だけではなく質を高めていく必要があります。今後、日英農村地域の発展のためには、移住者を地域の活力として受け入れるための仕組みづくりが重要だと考えられます。