留学内容
ミバエ類は果樹や果菜の大害虫であり、日本においてもウリミバエやミカンコミバエが南西諸島に侵入して猛威を振るった。日本では、多額の資金と研究者を投入して大量に増殖した不妊虫(放射線をあびせて不妊にしたオス)を、野外に大量に放すことで根絶に成功した。しかし、この方法は離島では有効だが、ミバエが繰り返し侵入する地域には適用できず、それゆえミカンコミバエ種群の原産地である東南アジア諸国では深刻な農業被害が続いている。私は、不妊虫の代わりに近縁な別種のオスを利用することで、ミバエの被害を防ぐ新たな防除策が確立できるのではないかと考えた。そこで、ミカンコミバエ種群の多様性が最も高いインドネシアにおいて、ミバエ類の配偶の実態について野外研究を行った。
ボゴール農科大学に留学し、両種間の繁殖干渉、資源競争、果実による天敵の寄生率の違いについて調べた。繁殖干渉については、野外圃場にケージを設置し、そこへ野生虫を導入して実験した。本研究の結果は新しい理論である繁殖干渉に着目し、資源競争と天敵の影響も組み込んで包括的に資源利用を検証し、検証に成功した。さらに、繁殖干渉の原理を利用した新しい害虫防除の可能性を示した。