留学大図鑑 留学大図鑑

栗原茉海

出身・在学高校:
清泉女学院
出身・在学校:
お茶の水女子大学
出身・在学学部学科:
人間文化創成科学研究科比較社会文化学専攻
在籍企業・組織:

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最終更新日:2023年02月01日 初回執筆日:2023年02月01日

日本で生まれた美術、美術でよくなる日本

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ロンドン大学SOAS
  • イギリス
  • ロンドン
留学期間:
8か月
総費用:
2,000,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,530,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<IELTS6.5> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

博物館の展示機能について学ぶため、世界でも有数の博物館を多く抱えるロンドンに留学した。授業では美術史や博物館学について学び、課外活動ではロンドン市内の博物館を調査見学した。

留学の動機

留学以前に行った友人とのロンドン旅行で都市がもつ文化的な豊さに圧倒され、なんとしてもこの地で学びたいと思い留学を決意した。

成果

美術史、博物館学について見識を深めた。特に博物館がもつ社会的機能について学べたことは就職や自身のキャリアを考えるうえで糧になった。また縁あって参加した博物館でのデジタルアーカイブ作業では、博物館のバックヤードに入りアーカイブ構築について実地で知ることができて貴重な体験だった。またこれを通して現地での人的ネットワークも構築できた。

ついた力

積極的行動力

とにかく自分の興味が向いたことは実行してみるようになった。周囲のひとに協力を仰いだりコンタクトをとることに尻込みせず、持ちかけられた話にはひとまず乗ってみることで新たな出会いや経験を得ることができた。

今後の展望

ひとまず博物館関係の民間企業への就職を予定している。これからは現場に関わりつつ、アカデミアとの橋渡しをするような存在になりたいと考えている。

留学スケジュール

2021年
10月~
2022年
6月

イギリス(ロンドン)

大学寮(大学が提携している業者が運営している)で、6人一組のフラットに住む。現地大学生もいれば留学生もいる環境で、交流もありつつ楽しく過ごした。夜、英語論文と格闘しながら、ふと隣の部屋から漏れ聞こえるインド音楽に耳を傾けたとき(隣の部屋のインド人の男の子はよく友達を部屋に招いていた)、自分がとても遠くに来ていることに気づいた。日本から離れた土地で生活として身を置く感覚は、なかなか得られない。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

960,000 円

生活費:月額

80,000 円

学外への見学授業の様子
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

960,000 円

生活費:月額

80,000 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

イギリスはマーケット文化が盛んで、私の住んでいたところでも毎週日曜日になると道の一帯にストール(出店)が並んで野菜や乳製品、ベーカリーを売っていた。留学初期は「見るのは楽しいけど、実際買うのはお店のひととコミュニケーション取らないといけないし…」と英会話が苦手な私は躊躇していたが、徐々に生活にも英会話にも慣れ、最終的にはお店のひとに"Good Morning!"とコックニー訛りで声を掛けられても笑顔で応じられるようになった。毎週末、焼き菓子や手打ちパスタ、ときには屋台メシを買い、そのたびに少しでもその土地の一員になっている気がして、とても嬉しかった。

近所のマーケット。朝早くからたくさんの人が並ぶ。

時には、時間しか解決法がないときもある

  • 語学力 : 英語

留学当初、英語が流暢に話せるわけではなかった私にとって、授業をはじめ生活のあらゆる場面で英語が求められる状況は逃げ場がなくつらかった。自分の肌ひとつ隔てたすべてが異文化であり、自分の身しか「自分」に帰属するものがないような感覚はとても不安で、LINEなどのSNSで日本の両親や友人とつながっていることが唯一の安心だった。しかし時間が経つにつれて英語に慣れ、生活の感覚がつかめるようになると、次第に外への恐怖心も和らいだ。あまりにしんどいようなら所属大学なりで適切なメンタルケアを受けるのがひとつの手だが、異文化に身を投じる以上このようなカルチャーショックはつきものであり、時間に任せて慣れるのを待つというのも有効だと感じた。

ビザの発行は迷わず優先ビザで

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

私はビザの発行が遅れて渡航を2週間延ばした。年度代わりの8~9月はビザセンターが非常に混雑する。私が申し込んだとき、2週間で届くといわれていた通常ビザが結局3週間かかった。3万円ほど上乗せすれば優先手続きで早く済んだそうだが、それを躊躇したせいで渡航直前までビザがくるかどうかやきもきしながら待つ羽目になった(ビザの申請にはパスポートを提出してしまうので、動くに動けなくなる)。よほどの余裕があるならともかく、通常通りのスケジュールでビザ申請をするときは、優先手続きをしたほうが精神的には安心する(まぁそうしてみんなが優先ビザ申請した結果、優先ビザでさえ通常より時間がかかるわけだが…)。

留学前にやっておけばよかったこと

スピーキングの練習。やってはいたが、圧倒的に足りていなかった。英語を自分の言語として操れるようになるには実践でのトライアンドエラーをひたすら繰り返すほかなく、その回数は多いに越したことはない。確かに現地のほうが早く上達する、というのも一理あるが、英会話に不安があるまま渡航してもコミュニケーションに苦手意識が伴うため消極的になってしまうので、先にある程度慣れておくことをおすすめする。

留学を勧める・勧めない理由

振り返って痛感するのが、留学生(学生)という立場は純粋に自分の興味や関心を追求できる貴重な時間だということだ。たとえ海外で仕事を得るにしても、そこには社会人としての立場や制約を伴う。学生という自由な身分で海外経験を積むことは、いまこのときにしか得られない意味を持つ。そのため、私は「留学」という選択肢を強く勧めたい。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学は大なり小なり困難を伴う。実際ほかのトビタテ生の体験を聞いても、後悔や留学中に悩んだ話は尽きない。しかし、どんな成果だったとしても「そこにいたこと」そのものが自身の形成に大きな影響を及ぼす。それこそが留学という経験がもつ価値だと私は思う。