イギリス(グラスゴー)
Royal Conservatoire of Scotlandで2週間に渡って、舞台製作を体験するサマースクールに参加した。参加者は14歳から18歳までの13名で、私以外はほとんど地元(グラスゴー)に住む学生だった。
サマースクール最初の週は、1日目に自己紹介とオリエンテーションを行ったのち、2日目以降は音響・照明・舞台美術と衣装・舞台監督の各分野を1日ずつ体験した。どの授業も実践が中心で、実際にプロとして働いている学校の教員・卒業生から指導を受けることが出来た。基本的な演劇製作の用語(英単語)や欧米での舞台製作のプロセスだけでなく、舞台製作者としての心がけなど、日本では学ぶことのできない知識を得ることができた。
2週目はミュージカルのサマースクールに参加している生徒たちと合同で、ミュージカル『Carrie』の製作・発表を行った。参加者はそれぞれが公演で担当する分野を1つ選択することになっており、当初、私は舞台監督を担当していた。しかし、プロと同じレベルの仕事を体験したことで「私のやりたいことは舞台監督ではないかもしれない」と気付くことができた。逆に、高校では出来ない演劇の照明デザインの機会に惹かれ、本番当日は照明を担当した。普段私が担当しているダンスの照明デザインとの違いを発見できた。また、ダンスと演劇作品とでは本番中に必要なコミュニケーションの内容が違ったりと、照明分野以外でも演劇作品特有の舞台製作過程を学ぶことができた。
このように、舞台製作の各分野に対する理解の向上・照明技術の向上を達成できただけでなく、演劇に関する様々な考察を行うことができた。加えて、高度な機材を使用できたこと・公演の音楽がバンドの生演奏だったことなど、細かな面で日本とスコットランドの演劇(芸術)教育の土壌の差を感じ、より一層海外で学びたいという気持ちが強まった。それと同時に、将来自分が日本でこのような教育の土壌を育てていきたいという気持ちを再確認することができた。
学生寮の1人部屋での生活で、同じ階にほとんど人が住んでいなかったため孤独な生活だった。初めての一人暮らし、そして自炊は大変だったが生活力がついた。