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跡部蒼

出身・在学高校:
順天高等学校
出身・在学校:
出身・在学学部学科:
在籍企業・組織:

雷と、宇宙からやってくる放射線である宇宙線の研究をしています!高校生の時に海外の研究所に留学しました。また、世界最大の加速器施設である、CERNで実験を行いました!Instagramやブログもぜひ覗いてみてください!STEAM分野での留学に興味がある方は、DMでお気軽にご相談ください!


最終更新日:2024年12月03日 初回執筆日:2024年12月03日

γ線観測で雷発生のメカニズム解明に迫る

留学テーマ・分野:
短期留学(3か月以内、語学・ボランティアなど各種研修含む)・研究留学
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ニューメキシコ工科大学ラングミュア大気研究所
  • アメリカ合衆国
  • ソコロ
留学期間:
3週間
総費用:
600,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 410,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<英検準2級> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

私の留学テーマは「雷雲から放出されるガンマ線を観測し、雷のメカニズムを解明すること」です。雷の発生に静電気が関与しているのは広く知られていますが、近年では宇宙から来る放射線である宇宙線も関係していることが明らかになってきました。宇宙線が地球の大気と相互作用することでガンマ線が放出されることが知られており、私はこのガンマ線を観測するために、アメリカ・ニューメキシコ州のLangmuir Laboratoryに留学しました。この研究所は、雷の頻度が高く、標高が富士山と同程度で雷雲との距離が近いため、雷研究に理想的な環境です。私は、日本から2種類の放射線検出器を持ち込みました。1つは京都大学が開発したCOGAMO検出器、もう1つは自作のCSI検出器です。これらを使って観測を行い、現地の研究者とプレゼンテーションやディスカッションを通じて交流しました。現在、取得したデータを解析しており、雷雲が近くにあるときの放射線量の増加が確認できると期待しています。

留学の動機

もともと雷の研究をしており、将来この分野の研究者を目指しています。現代の研究では海外協力や、自分の研究を世界に発信し理解してもらうことが重要です。その経験を高校生のうちに積みたいと考え、留学を決意しました。また、トビタテは奨学金を受けられ金銭面の不安がなく、自由に留学計画を立てられる点が魅力で選びました。

成果

研究面では、検出器が動かなくなるハプニングがありましたが、そのたびに工夫して乗り越えることができました。特に、Langmuirでの観測を実現できたことは大きな成果です。現在は解析を進めており、早く結果をまとめ上げたいと考えています。また、英語で研究を発表し議論できた経験も貴重で、自分の成長を実感しました。これらの経験は「何とかなる」という自信につながっています。

ついた力

何事にも動じない力

今回の留学では多くのハプニングを経験しました。日本から持参した検出器が荷物検査で引っかかり飛行機に乗り遅れそうになったり、現地で急に動かなくなったりと、予想外の出来事が続きました。しかし、その都度対応しながら学び、これらの経験は貴重な財産となりました。冷静に対応する力が身についたと感じています。

今後の展望

今後は、今回の留学で得た研究成果をしっかりとまとめ、論文執筆や学会発表を行う予定です。さらに研究を続け、雷のメカニズムの解明に貢献したいと考えています。将来は、この経験を生かし、自然現象の解明や自然災害の研究にも取り組む予定です。自分の研究が人々の暮らしをより安全にする一助となることを目指し、社会に貢献できる研究者を目指します。

留学スケジュール

2024年
7月~
2024年
8月

アメリカ合衆国(ソコロ)

日本から研究所までは、まず日本からロサンゼルスへ飛行機で向かい、そこからアルバカーキ行きの便に乗り継ぎました。アルバカーキで2泊した後、バスで研究所最寄りの町ソコロへ移動。ソコロで1泊した翌日、研究所の所長に迎えに来ていただき、車で山の上にある研究所へ向かいました。
研究所ではまず1週間実験を行い、現地の高校生と寮生活を共にしました。その後一度下山し、アルバカーキで開催された高校教師や物理学者が集まる会議に参加し、自分の研究を発表。その後再び研究所に戻り、天候を見ながら観測を進めたり、取得データの解析を行いました。最終的にもう一週間研究を行った後、帰国の途に就きました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

自作の検出器を組み立てているところ
雷がなっている場所を確認しているところ
研究発表をしているところ
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

私が最も印象深く感じたのは、Langmuir Laboratoryでの自然との触れ合いでした。この研究所は標高3,000m以上の山頂に位置しており、夜には満点の星空が広がり、地平線まで続く美しい景色に圧倒されました。朝は澄んだ空気の中、太陽が山々を染める光景が広がり、まるで自然の中に溶け込んだような感覚を味わいました。滞在中、野生動物にもたくさん出会いました。研究所の周りを歩き回るリスや、小さな鳥たちのさえずりを聞きながら過ごす日々は、忙しい観測活動の合間に心を癒してくれました。
また、ニューメキシコ州の砂漠地帯を見た際には、初めて目にする広大な砂漠の風景に驚きました。乾いた大地がどこまでも続く光景は、これまでの私の想像を超えるものでした。研究の合間に触れるこれらの景色や自然は、地球の豊かさを改めて感じさせてくれ、「地球って素晴らしいな」と心から思いました。
さらに、雷観測のための研究活動では、間近で雷雲を観察する機会がありました。山頂で見る雷の壮大さは圧巻で、私の研究テーマと結びつく貴重な体験となりました。この留学では研究だけでなく、自然の偉大さに感動し、それが私の探究心をさらに深める大きな原動力となりました。

研究所から見た景色
雷の観察
満天の星空

自分に合った留学先の見つけ方

  • 留学先探し : 大学

留学を決意したものの、最初は自分のやりたいことに合った留学先を見つけるのが難しいと感じるかもしれません。私もその一人でした。具体的には、雷雲から放出されるガンマ線を観測するという研究を行いたくて、適切な研究所を見つけるのに苦労しました。しかし、その過程で得た経験をもとに、留学先を見つけるための方法をお伝えしたいと思います。
まず最初に大切なのは、「自分が留学で何をしたいのか」を明確にすることです。私は自分の研究テーマがはっきりしていたため、どんな場所でその研究ができるかを考えることができました。自分の目標が明確であれば、留学先のリサーチもスムーズになります。
次に、情報収集が重要です。私はインターネットを使い、関連する研究者や研究所を調べました。具体的には、自分のテーマに関する論文を読み、その著者が所属する大学や研究所をリストアップしました。
その次に、相談することが有効でした。行き詰まったとき、私は高校の先生や、研究者の知人に相談しました。留学の相談は、自分の目標をしっかり伝え、どこでどんな研究をしたいのかを具体的に説明することがポイントです。そうすると、相手も適切なアドバイスをくれると思います。また、私は海外の研究者にも積極的にメールを送りました。英語でのやり取りは最初は不安でしたが、実際には親身に返事をもらい、留学先の選定に役立ちました。
さらに、柔軟に対応することも大切です。最初に考えていた研究所がすぐに見つかるわけではありません。私も最初に思い描いていた場所とは異なる研究所での留学が決まりました。その過程で、自分の目標にぴったり合う場所が見つかると実感しました。

現地の高校生たちと
研究所に向かう途中

留学を勧める・勧めない理由

留学は、自分の視野を広げ、他の国の文化や考え方を学ぶ良いチャンスです。現地での学びを通じて新しい知識を得たり、世界中の人と交流することができます。また、異国で生活することで自分で考え、行動する力が身につきます。留学は成長の大きなステップとなり、将来の仕事や人生に役立つと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学は新しい経験と学びの宝庫です。初めは不安かもしれませんが、積極的に挑戦し、現地の文化や人々と触れ合うことで、きっと自分の視野が広がります。困難なこともあるかもしれませんが、それを乗り越えることで成長できる貴重なチャンスです。自分の興味や目標を大切にし、思い切り楽しんでください。帰国後には、その経験があなたの大きな強みとなるはずです。頑張ってください!