留学大図鑑 留学大図鑑

藤原 昌敬

出身・在学高校:
清教学園高等学校
出身・在学校:
石川県立大学、石川県立大学大学院
出身・在学学部学科:
生物資源環境学研究科 環境科学専攻
在籍企業・組織:
株式会社ビビッドガーデン

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最終更新日:2024年12月20日 初回執筆日:2024年12月20日

タガメ復活への道:環境農業と先住民の教え

留学テーマ・分野:
海外インターンシップと海外ボランティア
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • WWOOF Australia,Abo­rig­i­nal Cor­po­ra­tion Com­mu­ni­ty Organization
  • オーストラリア
  • ロズリン・ロールストン・ユエンドゥム・カルチティ
留学期間:
12ヶ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,690,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル

留学内容

"環境を再生しながら農業を行う”という画期的な農法として、海外を中心に注目を集めているのが環境再生型農業です。私は大学院を卒業後、この環境再生型農業を実践する農家さんになりたいと考えていました。そこで、この画期的な農業に取り組む農家さんから実技指導を受け、実践的経験と技術的知識を得るため、オーストラリアに渡りました。農業の現場でインターンやボランティア活動を行う中、農地として使用する豊かな土地は、かつて先住民族”アボリジナル”の土地であったことを知り、先住民族の存在や壮絶な歴史的背景に強い関心を抱きました。そこで留学の終盤は、彼らを理解するため、先住民族が住むコミュニティに足を運び、彼らと生活を共にしました。

留学の動機

近年、農薬の影響により個体数が激減した幻の昆虫”タガメ“。私は6歳の頃に昆虫図鑑で見たタガメに一目惚れをし、それ以来日本のタガメを復活させることが私の夢です。大学院を卒業後は自ら農家となり、環境に優しい農地を広げていくことでタガメの復活に貢献したいと考えていました。そこで、私は卒業前に海外で注目を浴びる環境再生型農業を習得するため、オーストラリアに渡り1年間、留学を行うことを決意しました。

成果

留学で「本当の農業」を体感しました。今まで農業を専攻していても、室内で実験をするのみで現場の経験はありませんでした。今までは「農業って大変そう」という漠然としたイメージしかなかったものが、「農業のこういうところが大変で、こういった技術が必要」など、実践的な農業の経験と知識を得ることができました。また先住民族が住むコミュニティに滞在できたことで、オーストラリアの真の歴史や文化を学ぶことができました。

ついた力

やり切る・適応力

留学中に「これをやらなければならない!or やりたい!」と思うようなことがあれば、必ず実行に移し、どんなに苦手で辛いと思うようなことでも、面白がりながら挑戦し、やり切る力が身に付いたと実感しています。また新しい環境に適応するため、言語や文化、価値観の違いに対して柔軟に対応し、常に最適な方法を模索する過程で、しなやかな思考や行動力を身につけることができたと感じています。

今後の展望

留学を経て私は、自ら農家となり環境に優しい農地を広げていくということはとても効率が悪いと気付かされました。であれば、そういった生産者さんが報われるサービスを提供することが、より効率的に環境に優しい農地の拡大に期待ができると考えを改めることができました。そこで私は大学院を卒業後、環境に配慮した生産者さんが報われるサービスを提供するスタートアップ企業に入社をし、タガメの復活に貢献していく予定です。

留学スケジュール

2023年
11月~
2024年
7月

オーストラリア(クイーンズランド州 ロズリン)

【High Valley Dawn Permaculture Farm(農業研修生としてインターンに参加)】
環境再生型農業を習得するため、High Valley Dawn Permaculture Farmにて9ヶ月間、農業研修生としてインターンを行いました。ここでは、再生型農業を営む小中規模の農家さんから実技指導を受け、実際に様々な作物を栽培する経験を得ました。その他にも、土壌の貧弱化を防ぐため、様々な有機肥料作りに挑戦できたことや、生産規模や分野に合わせた、流通・販売方法を現地で学ぶことができました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

5,000 円

項目:食事と寝床が提供されたので、お金の支出はほぼ無かったです。

45,000 円

世界中から集まったインターン生と農作業を行う様子
有機肥料を作るため、新鮮な牛糞をかき混ぜる様子
地元のマーケットで自分たちが作った作物を販売している様子
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

5,000 円

項目:食事と寝床が提供されたので、お金の支出はほぼ無かったです。

45,000 円

2024年
8月~
2024年
8月

オーストラリア(クイーンズランド州 ロールストン)

【Huntly Farm(農業ボランティアとして従事)】
Huntly Farmでは、大規模で畜産分野の環境再生型農業を学ぶため、フランスからインターンシップとして学びに来ていた学生二人と共に、「牛がいる牧草地から牛がいる森林へと再生させる手法」、「オーガニック牛4頭の屠殺から解体・加工・販売まで」を実際の現場で学ぶことができました。販売では、自分たちが屠殺・解体をし、梱包したお肉を地元の根強いファンである約200人の消費者が購入してくださり、無事完売させることができました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

項目:食事と寝床が提供されたので、お金の支出は無かったです。

- 円

バギーに乗って、牛さんを追いかけ回す日々
犠牲になってくれた2頭の牛さん
実際に肉牛を屠殺し、解体している様子
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

項目:食事と寝床が提供されたので、お金の支出は無かったです。

- 円

2024年
9月~
2024年
10月

オーストラリア(先住民族自治区(ユエンドゥム・カルチティ))

【先住民族コミュニティ"Yuendumu"と"Kaltjiti"(コミュニティ内のボランティアに従事)】
私は留学中、オーストラリアの先住民族の文化や壮絶な歴史に強烈な関心を抱き、彼らを理解するため、先住民族が住む2つのコミュニティ(YuendumuとKaltjiti)に足を運び、ボランティア活動を通して、先住民族が持つ世界最古の文化と壮絶な歴史的背景について学ぶことができました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

10,000 円

項目:寝床は提供されたので、食費だけかかりました。

20,000 円

先住民族のアーティストが描く作品作りを手伝う様子
先住民族とブーメランを使って、ウサギを捕まえた時の様子
子供たちと記念におさめた一枚
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

10,000 円

項目:寝床は提供されたので、食費だけかかりました。

20,000 円

スペシャルエピソード

日本のことが、とても好きになった瞬間

私は留学中、様々な現地の農家さんにお会いすることができました。その中でも多くの方に、福岡正信さんの著書「藁一本の革命」という本を読んで、「日本人の農業に対する姿勢や考え方に影響を受けた」という声をたくさん頂きました。また、研修期間中に指導していただいた農家さんからは「環境再生型農業の根底にある理念や手法というものは、アジアや日本の伝統的な農業の実践からインスピレーションを得ているんだよ」と教えて頂き、私は海外に出て初めて、日本の農業が世界に影響を与えていることを深く実感しました。

日本人の農業に対する姿勢や考え方に影響を受けた地元の農家さん
研修期間中に指導して頂いた地元の再生型農家Blossさん

笑いあり、涙あり!留学中にあった、すごいエピソード

基本的に先住民族のコミュニティには、一般人が許可無しに立ち入ることはできません。しかし、私はボランティアとしてコミュニティ内で働けることになったため、特別にコミュニティ内で滞在することを許されました。世界最古の文化を持つアボリジナルの人々とその場所で過ごした全ての時間は特別であり、その情景は今でも鮮明に残っています。その中でも、彼らと一緒に狩りに出かけ、カンガルーやオオトカゲを捕まえ、火を囲みながら語り合った経験は私の人生観を大きく変えるものでした。

狩りで、先住民族の友人がオオトカゲを捕まえた時の様子
Warlpiri族にとって神聖な場所"Juka Juka"
狩りで捕まえたカンガルーを皆んなで頂いている様子

"苦しい時こそ、素直に自分の気持ちを相手に伝える"大切さ

  • 留学先探し : インターンシップ

留学を開始して間もない頃、私以外の周りは全員、英語を流暢に話せるという環境にあり、とても苦しんでいました。それでも最初の1ヶ月間は一生懸命、チームのみんなとコミュニケーションを取り、仲を深めようと試みていました。しかし留学を開始して4ヶ月目に、自分だけ教えてもらう研修内容が変わらないことに気づいたと同時に、私は英語を上手く話せないため、指導農家さんが私に新しい内容を教えたがらないことに気がつきました。そこで私は全ての農業研修生やファームの従業員、指導農家さん、オーナーを呼び出し、彼らの前で勇気を出して、自分の気持ちを伝えることにしました。勇気を出してみんなの前で自分の気持ちを伝えたことで、私の気持ちやコミュニケーションの行き違いについて、みんなが認識・理解を示してくれました。その後は他の農業研修生と同じ内容を教えてもらえるようになり、私が困った際には、みんなが助けてくれるようになりました。そして最終的には、毎日みんなが私に英語を教えてくれるという素晴らしい現象が生まれました。そうして私とみんなとの間に深い絆が生まれました。私はこの経験から「苦しい時こそ、素直に自分の気持ちを相手に伝え、コミュニケーションを図る」重要性を改めて実感しました。

インターンシップの全プログラムを終え、皆んなで歓喜をする様子

留学前にやっておけばよかったこと

留学前に、自国の文化や歴史、そして自分の留学テーマである農業に関する日本の現状を十分にリサーチしておくべきだったと深く実感しています。日本の農業の現状を理解していれば、留学中に得た経験や知識を帰国後にどのように活かすかをより具体的かつ明確に描くことができたと思います。また、異なる文化やアプローチを比較する解像度が高まることで、新たな視点を得ることができたのではないかと感じています。

留学を勧める・勧めない理由

留学は異文化に触れ、視野を広げる貴重な機会です。自分の価値観や考え方を深く見つめ直すことで、自然と視野が広がり、柔軟な思考力を身につけることができたと感じています。また、言語や専門分野を実践的に学べることに加え、人生の大きな経験として自身の成長に繋がると実感しています。新しい挑戦を恐れず、未知の世界で自分を試してみてください。留学はきっと、あなたの人生にとってかけがえのない財産になると思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

私はこの留学経験を通して、豊かな森や自然、そして綺麗な川や海がある日本という国に生まれてきた私たちはとても恵まれているのだと深く実感をしました。留学を通して、私の見る世界が変わったように、皆さんも新しい視点や価値観に触れ、自分の世界が大きく変わる体験をされると思います。その経験を大切にし、学びを深めて帰国後に活かしてください。留学が皆さんにとって素晴らしい成長の機会となることを心から願っています。