イギリス(ハートフォードシャー)
半年間、王立獣医科大学のStructure and Motion Laboratoryで研究活動を行いました。当初の計画では、昆虫の飛翔時に生じる後方気流を可視化するPIV撮影(粒子画像流速測定法)という実験を通じ、解析技術の習熟と飛翔効率に関わるパラメータの考察を目指していました。日本での装置設定に苦労していたため、この分野の第一人者であるBomphrey教授の指導を仰ぐことが目標の一つでした。しかし渡航後、英国内での実験には専用ライセンスが必要なこと、設備が解体されていたこと、時季的に対象昆虫の採集が困難なことが判明しました。そこで、研究目的は維持しつつ、バイオインフォマティクスや統計分析へと手法を切り替えました。機械工学出身の私には未知の分野でしたが、研究室の博士課程の学生や紹介していただいた教授に助言を請い、手法の妥当性や基礎的理解を深めました。Bomphrey教授とは、今でも隔週程度でミーティングを行っており、帰国後に2度の学会発表を終え、現在は比較生物学分野の学術誌への論文投稿を目指しています。
生活面では、Flatshareというアプリで見つけた家で3人のインド人男性と共同生活を送りました。家賃が高騰しているロンドン近郊ではシェアハウスが一般的です。留学当初、てんやわんやだった私に彼らが作ってくれたスパイスカレーの味は忘れられません。打ち解けてからは何種類もの南インドのレシピを教わりました。日本食が恋しくなることもありましたが、ロンドンには日本食材店も多く、彼らにラーメンやお好み焼きを振る舞うと大変喜んでくれ、私も嬉しくなりました。