留学大図鑑 留学大図鑑

山辺菜穂子

出身・在学高校:
長崎県立佐世保北高等学校
出身・在学校:
鹿児島大学
出身・在学学部学科:
農学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2020年07月07日 初回執筆日:2020年07月07日

洪水に負けない稲の共同研究

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ボゴール農科大学
  • インドネシア
  • ボゴール
留学期間:
5か月半
総費用:
600,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 700,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

熱帯環境下であるインドネシアのボゴール農科大学で、洪水などの水被害に強いイネの研究を行うため、約半年間イネの栽培実験を行った。冠水状態でイネを生育させ、冠水の処理期間やイネの品種によってどのような差が出るのかを調査した。また、インドネシア語の講義を受講し、現地の言葉でコミュニケーションをとるために日々励んでいた。インドネシアについて深く知るために、パーム油工場や独自の文化・宗教を守りぬくバドゥイ村等を訪問できる集中講義にも参加した。

留学の動機

地球温暖化の進行に伴い、日本の気候も熱帯化してくると予測されている。日本では、台風の大型化や極地的豪雨による洪水、冠水などの水被害が今後さらに深刻な問題になることは明らかで、今のうちから主食であるお米の研究を進めておくべきであると考えた。そこで、熱帯環境下であるインドネシアにおいて稲の冠水抵抗性について調べる圃場実験を行うことにした。

成果

実験については事前に決めていたことが行えなかったり測定器が使えなかったりと、日本では予測していなかった問題が多々あった。しかしその都度ディスカッションし、なんとか実験結果を持ち帰ることができた。実験についてやる事も多かったが現地の友達に呼びかけ多くの人に助けてもらった。また、集中講義等を通して多くの友達ができ、宗教についての意見をぶつけ合うことで自分の視野も広げることができた。

ついた力

まきこみ力

実験についての仕事量が多く、私一人では不可能な量だったので、集中講義や様々なイベントを通してできた友達に連絡し、時間を調整してもらい実験を手伝ってもらった。日本にいるときはすべて自分でやらないと気になってしまうので人に頼ることがなかったが、留学中に初めて助けてもらうこと、頼ることを知った。みんなとても親切で、自分の友達を誘ったりして参加してくれて本当にありがたかった。

今後の展望

留学中インドネシアを含め世界の稲作や農業について考えてきた。その中で自分はまだまだ日本の農業について知識が足りないのだということを痛感した。そこでまずは自分の地元の農業についてさらに知るために地元の県庁で農業職として働くことに決めた。

留学スケジュール

2016年
8月~
2017年
2月

インドネシア(ボゴール)

インドネシアのボゴール農科大学で洪水などの水被害に強い稲の研究を行った。学校から離れたところにあるコンクリートプールを用いて約5か月間稲を栽培し、冠水の処理期間や、品種によってどのような差が出るのかを調査した。また、週に一度インドネシア語の講義を受講し、語学力の向上にも努めた。集中講義や学生主催のイベント、クリスチャンの人たちとのクリスマスパーティーなど、様々な行事にも積極的に参加した。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

ラボの友達と一緒にイネを運ぶ様子
留学最終日
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

留学前後での、自分の変化

自分の中で最も大きく変わったのは宗教に対する理解だ。私が留学していたインドネシアは全人口のうち75%がイスラム教徒であり、ボゴールがあるジャワ島においては90%以上がイスラム教徒という環境だった。イスラム教では豚とアルコールを口にすることが禁じられており、一日5回お祈りをしなければならない。私はそんな縛られた生活はできないししたくないと思っていたし、自分でどの宗教がいいか考えなおせばいいのに、とも思っていた。しかし留学中、宗教に関する様々な疑問をぶつけてみたことで彼らは決して縛られているわけではないのだということを知った。一日5回もお祈りをするのは面倒ではないのか聞いてみると、この時間がないと落ち着かないのだと言っていた。クリスチャンのクリスマスパーティーに参加した時もこの日だけは泣いていいのだと言ってみんな人目を気にせず泣いていた。私はなにも縛りがない日本の生活が一番だと思っていたが、日本には落ち着けるような、人目を気にせず泣けるような日がないのだということに気が付いた。それからは友人のお祈りの時間を私も大切にしてあげようと思ったし、決して宗教を軽視しないよう気を付けるようになった。

大学内であったクリスマスパーティー

トビタテへの二度の挑戦

  • 費用 : 奨学金

私はトビタテ5期生として採用されたが、実は4期の面接試験で一度落ちている。正直、トビタテがもらえなくて他の奨学金もあったしあまり大事として考えていなかった。しかし4期で友達が採用され、もらえる金額の差や事前研修などを通して同期の人たちと繋がれていたことをとても羨ましく感じた。そこでまた5期に挑戦することを決め、面接のときどんな気持ちで臨んだのか友達に聞いてみた。彼女は、面接をする人はトビタテを支援してくれている企業の人たちだから、如何にこの人に出資したいと思ってもらえるかが重要なのだと言った。4期の時は自分のことを説明するので精一杯で、これがどんな役に立つのか、如何に重要なことなのかを伝える気持ちが足りなかったのだと気づいた。そこでその点をしっかり考えて再び挑み、無事合格を掴み取ることができた。

留学前にやっておけばよかったこと

インドネシアに留学中だった友人から事前に情報をもらっており、ほとんどの学生が英語を話せるということだったのでインドネシア語を軽視していた。しかし、校外に出ると全く英語が通じず、はじめのころは買い物すらもままならなかった。インドネシア語を話せる日本人学生は打ち解けるのも早く、みんなから話しかけられていた。現地の言葉を話せると印象が良くなるし、事前の勉強はとても大切であると思う。

留学を勧める・勧めない理由

留学中楽しかったことも大変だったことも、留学後に振り返るとすべて自分を成長させるためのなにかにつながっていると思う。海外の学生と生活することで、如何に自分が日本国内でしか物事を見れていなかったのか痛感することもできた。留学することで何かを得ることができることは確かだと思う。だから私は留学を進めていきたいと思う。

これから留学へ行く人へのメッセージ

やらずに後悔するよりもやって後悔しろという言葉に背中を押されて、私は留学に踏み切ることができた。行ってみて大変さを味わってもう行きたくない、と思ってもいいと思う。すべての留学がうまくいくわけではないが、わたしは留学して失敗もきついこともうれしいことも味わって帰ってくることができた。きっと何かを得ることができる。頑張れ!