留学内容
副作用のない抗がん剤療法の実現を目指して、異分野間での共同研究が活発に行われているマインツ大学のグループに加わり、実践的な経験を積むことを目的とした。具体的には、抗がん剤療法の実現に向けて必要となるタンパク質-ポリマー結合法の開発を目指した。
最終更新日:2018年04月05日 初回執筆日:2018年04月05日
語学力:
言語 | 留学前 | 留学後 | |
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英語 | 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEIC: 485> | → | 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<未受験> |
副作用のない抗がん剤療法の実現を目指して、異分野間での共同研究が活発に行われているマインツ大学のグループに加わり、実践的な経験を積むことを目的とした。具体的には、抗がん剤療法の実現に向けて必要となるタンパク質-ポリマー結合法の開発を目指した。
まず、同じ研究室からトビタテ合格者が出たこと。次に、私の生い立ちから、がん治療に関して並々ならぬ興味があったが、日本国内にて合成化学者としてがん治療に携わることは困難であったから。最後に、カントやマルクスといった偉大な哲学者を多数輩出してきたドイツという国における働き方・宗教観・人生観……といったことがらに興味があったから。
タンパク質-ポリマー結合の形成は実現できなかったものの、その後、研究の種となるような興味深い結果を得ることができた。日本語が一切通じない環境下にて、日々実験を行い、ドイツの研究機関ではどのようなアティテュードにて研究に取り組むのか(実験器具・実験環境・人間関係・etc...)といった哲学的な事柄について深く考えさせられた。
哲学・宗教力
言語・人種・宗教観が日本とは全く違うドイツに行ったことで、労働や休暇に対する価値観、研究に対する哲学、人生の意味……といった哲学的な問いが、日常的に発生した。話に聞いたことはあったが、やはりこれらは現地に赴かなければ認識できない日本との差異なのだな、と感じた。
留学前に思い描いていた進路は真っさらになった。良い意味でも悪い意味でも衝撃的な体験だった。この哲学的・宗教的な問題についてもっと真剣に考える必要があると感じた。「なぜ貧しいと感じるのか?」「なぜ不幸だと感じるのか?」などなど、今の日本社会を覆う閉塞感を打ち破る何かを発見したい。
2017年
10月~
2017年
12月
副作用のない抗がん剤療法の実現を目指して、異分野間での共同研究が活発に行われているマインツ大学のグループに加わり、実践的な経験を積むことを目的とした。具体的には、抗がん剤療法の実現に向けて必要となるタンパク質-ポリマー結合法の開発を目指した。結果として、タンパク質-ポリマー結合の形成は実現できなかったものの、その後、研究の種となるような興味深い結果を得ることができた。日本語が一切通じない環境下にて、日々実験を行い、自身にとって初めてとなるSDS-PAGEの実践を始めとしたバイオケミストリーにまつわる技術への造詣を深めることができたことに留まらず、ドイツの研究機関ではどのようなアティテュードにて研究に取り組むのか(実験器具・実験環境・人間関係・etc...)といった哲学的な事柄について深く考えさせられた。
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 - 円 |
生活費:月額 - 円 |
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 - 円 |
生活費:月額 - 円 |
高度に自動化・使い捨て化が進んだマインツ大学で毎日実験し、早くに帰宅する日々を通して「人生は有限である」という、至極当たり前のことに気付かされた。人生の終わりまであと数十年しか残っていない。にもかかわらず、私のこれまでの人生とは、いわば、やりたくないことやつまらないことばかりに時間を使っていた。日本では美徳とされる「根性」や「精神論」といった概念が、いかに自分の肩に重くのしかかっていたのかを実感できた。人間は必ず死ぬ。死ぬまでに残された時間は有限である。では、その間何をして過ごすのか?……これは極めてシンプルな問いかけであるが、留学しなければ決して考えるに至らなかったであろう、重大な問題だ。どんな人間も必ず死を迎える。では死ぬまでの間、何をしてどう生きるのか?家族や友人と過ごす時間、一人で思い悩む時間、さまざまだが、いずれにしても、私を含めた全ての人類の人生は有限であることを認識できた。これは、私の人生において五指に入る大きな気付きであった。
留学前は語学力に自信がなく、語学力以外の面(実験設備など)においても不安しかなかった状態だった。どうしようどうしようと不安になってはいたものの、なかなか勉強する暇を見つけられずにそのままドイツに飛び立ってしまったのである。ところが、いざ現地についてみればなんとかなるものだ。具体的には、ユニバーサルな言語である構造式を紙に描けば「ああ、君はそれがいいたいんだね」、笑顔で挨拶をすれば輪に溶け込める、乾杯(prost!)と言えば酒席でも仲良し、……といった具合に、むしろ変に肩肘張って語学にかじりついていた方が良くない結果を招いたのかもしれないな、と思った。つまり、これらのコミュニケーションに共通しているのは、言語を介さなくても相手に意図が伝わる方法である、ということだ。当たり前だが、語学力に不安があろうがなかろうが、この非言語コミュニケーションを円滑に行うことは非常に重要である。特に化学系で留学を志す人は、紙とペンを常に忘れないようにするといいと思った。
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