留学内容
日本と似た経済規模や産業構造を抱えながら、再生可能エネルギーの安定的導入を進める「エネルギー転換」の先駆けドイツにおいて、どのような制度設計がなされ、官民が協働しているのか探る、というのが主たる目的であった。
留学に至る前に、ゼミや国内インターンを通して「制度改革には、市民社会の概念、主体的な市民による公共性や規範の形成、調整役としての行政による多機関連携といった部分がどうやら重要らしい」ということは分かっていた。そこで、まずハイデルベルク大学では気候変動政策研究のゼミにて日独政策比較に取り組みつつ、専門講義で公共哲学や市民社会論をイチから学んだ。
実践活動には、国際会議・学会の出席と、地方企業や市民団体の参与観察を盛り込んだ。各主体の取組みや連携、問題意識がどう異なるのか多層的に観察する目的があった。ドイツの枠を超えた超国家的動向に触れるためにスウェーデンとフライブルクでの国際会議に出席し、各国の風力研究者・事業者の話を伺った。長期休暇はハイデルベルクを離れ、ホームステイやインターンに充てた。学園都市のハイデルベルクと工業都市のドルトムント、同国の異なる顔を肌感覚で知ることができたのは貴重だった。ミュンスターでは地元企業で太陽光設置業務を経験し、中華系パネルの勢いに悩んでいること等を知った。国内最大の環境NGOの支局では、地域住民の主体性をいかに汲み取るかを学んだ。