留学大図鑑 留学大図鑑

もじゃもじゃ

出身・在学高校:
東京都立国分寺高等学校
出身・在学校:
東京外国語大学
出身・在学学部学科:
国際社会学部国際社会学科フランス語専攻
在籍企業・組織:

スイス、ジュネーヴ、あるいはトーゴについて質問があればFacebookのMessangerからお気軽にどうぞ。


最終更新日:2018年10月03日 初回執筆日:2018年10月03日

理論と実践で考える日本の開発援助のあり方

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ジュネーヴ大学(Université de Genève) Global Studies Institute / Hälsa International Togo
  • トーゴ共和国・スイス
  • ジュネーヴ・ロメ
留学期間:
12ヶ月
総費用:
3,200,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,930,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
フランス語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

日本が行う開発援助や投資を裨益者のニーズや意見を反映した「住民たちに寄り添う」ものにするにはどうすればいいかを探り、またそのために自分が将来どのようなポジションで関わるべきか考えるために、スイスのジュネーヴで理論を勉強し、西アフリカのトーゴのNGOで実践しに行きました。

【ジュネーヴ大学(Université de Genève) Global Studies Institute 】
10ヶ月間(2セメスター)派遣留学生として在籍し、フランス語力や英語力の向上に努めながら、国際政治、開発経済学、開発社会学、アフリカ現代政治などの授業を履修していました。また途上国開発やアフリカに関するシンポジウムに参加していました。

【Hälsa International Togo】
トーゴの首都ロメでストリートチルドレンへの教育や基礎医療の提供、社会再統合を行っているNGOで2ヶ月半インターンしていました。プロジェクト企画チームに配属され、子供たちの里親の経済的自立・生活環境の改善をマイクロファイナンスを使って支援するプロジェクトを立案しました。手が空いた時に、子供たちに向けた社会再統合のための啓発や衛生観念の授業を行っていました。

留学の動機

「援助」がそれを享受するはずの人たちの生活に悪影響を及ぼすこともあるということに違和感を覚えたのがきっかけです。維持管理する人がいないまま建設されっぱなしのインフラ、雇用を生み出す代わりに環境を破壊しつつある工場。援助は一歩間違えるといとも簡単に失敗する。日本の開発援助はそうあって欲しくない、途上国の人々に歓迎され日本との関係構築に貢献するプロジェクトはどのようなものなのか考えようと思いました。

成果

開発に関する政治経済理論を学び、日本の開発援助がどうあるべきかについて持論を深めました。卒論で取り組みたい「アフリカの非国家的権威の開発における役割(仮)」というテーマを見つけ実際にトーゴでその実例を見ることができました。NGOではプロジェクトのマネジメント方法を実践的に学び、価値観も背景も異なる人々と同じビジョンを共有して協働するにはどういうコミュニケーションを取るべきか考える機会になりました。

ついた力

バランスを持って物事を見る力

いろんな人々と働いたり議論をする中で、皆各々異なる思い入れを持って物事に取り組んでいて、またどんな物事にもメリット・デメリットがあり、それらがそうある背景も違うということを強く認識しました。どこかのコミュニティで良いとされていることが他の場所では全く通用せず、逆もまた然り、そしてそれらがごく必然な理由で成り立つ。その認識の上に立って社会や人のそれぞれ理想的なあり方を探ることの大切さを学びました。

今後の展望

直近では、結局留学中に答えが出なかった、「異なる価値観を持った人々と協働するにはどうするべきか」について考えを深めるためにまた他のNGOや民間企業でインターンする予定です。将来的にはフランス語を活かして開発を通じた日本とアフリカの関係構築に貢献したいと思っていますが、そのためにどういうキャリアを築くべきか、卒論の準備をしながら大学院への進学も視野に入れて模索中です。

留学スケジュール

2017年
9月~
2018年
6月

スイス(ジュネーヴ)

日本からの派遣留学生として1oヶ月間滞在し、国際政治学、開発経済学、開発社会学、アフリカ現代政治などの授業を履修した。特にアフリカ現代政治の授業では、先進国の常識や「こうだからアフリカは成長できないんだ、発展のためにはこうなるべき」という一方的な考え方、偏見を取り除くために様々なテーマについてアフリカ各国の例を用いながら実証的に考察していった。また大学で開かれていた途上国開発やアフリカについてのシンポジウムに参加していた。フランス語の補習授業も積極的に履修し、ほぼ毎日タンデムを設定してフランス語を使わなければならない状況に自分を追い込んだ。タンデムでは毎回話すテーマを設定してその題材を準備するなど高い貢献を心がけた。最初はこなすことが多すぎて圧倒される日々だったが、言語の練習だけでなく人生の悩みや将来の目標について真剣に話せるほど仲良くなったタンデムパートナーとの深い関わりが支えになった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

70,000 円

生活費:月額

90,000 円

大学の歴史ある校舎
国連ヨーロッパ本部
スイスの自然を楽しむのも良い息抜き(写真じゃ伝わらない!)
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

70,000 円

生活費:月額

90,000 円

2018年
6月~
2018年
8月

トーゴ共和国(ロメ)

ストリートチルドレンに教育や基礎医療の提供、社会再統合支援を行っているNGOでインターンとして2ヶ月ほど勤務した。プロジェクト企画チームに配属され、子供たちの里親となる家族が経済的に自立し継続的に子供を受け入れるのに十分な生活環境を持てるようにするために彼らをマイクロファイナンスで支援するプロジェクトを立案した。マイクロファイナンスに関する特別な知識もなく、最貧国での生活の様子が実感として湧かないだけに何から手をつけるべきか迷ったが、家族のニーズを反映させるために彼らの元を訪れ生活環境の調査を行うなどしてなんとかプロジェクトの実行段階までたどり着いた。プロジェクトの実施にあたってのパートナーとなる他のNGOとの会議にも臨んだ。時間があるときには社会再統合のための社会ルールの啓発や衛生観念を向上させるための授業を子供たちに向けて行った。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

35,000 円

項目:仲介業者への納入金(一泊三食付のホームステイなど)

500,000 円

会議の様子。チームの働き方に苦労することになるのだけど・・・
子供たちの里親となる家族との生活環境調査の様子
最終日には職員みんなの前で祝福してもらいました。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

35,000 円

項目:仲介業者への納入金(一泊三食付のホームステイなど)

500,000 円

スペシャルエピソード

こんな日本でも見方を変えれば案外捨てたもんじゃない

留学前は日本という国に対して悲観的でした。山積した社会課題、画一的な教育システム、古い平等意識・・・。なんで日本はこんなに遅れているのか?留学中タンデムパートナーと話すときも日本の悪口ばっかり言っていました(笑)
ジュネーヴ大学には日本語を勉強している学生が多くいるのですが、その人たちと、日本と先進諸国の文化や価値観、社会システムの違いについて議論する場を企画しました。その中では、どちらが良い・悪いではなく、それぞれのメリット・デメリット、そしてその文化的・歴史的背景まで考察した上で、それぞれにとって理想的な社会のあり方を探ることを目的としていました。テーマは「タテ社会・ヨコ社会」「本音と建前」「何故日本人はすぐ『すいません』と言うのか」など多岐にわたりましたが、共通して分かったことは一見ヘンに見えることでも裏にはそこに至った複雑な事情があるということ。日本のダメなことの裏には海外には無い良いこともあり、逆もまた然りで、そして海外のやり方をそのまま真似ればすぐ我々の問題が解決するわけでもない。
最近は善悪二分論的な議論や、欧米を模倣するような意見が多いですが、少し立ち止まって1つの物事をいろんな視点から見つめ直すと、全部でなくても少し残したほうが良いこと、やり方を変えれば違う活かし方が見つかるかも。そういうバランスの取れた考え方の重要性を海外の友人達は気づかせてくれました。

ディスカッションの教材を毎回準備するのが大変でした・・・。

組織を動かすためのコミュニケーション

トーゴでのインターン開始前はNGOとは高い使命感を持ったプロ集団だと思っていました。ところが勤務を始めてみると、同僚はいまいちモチベーションが低く1日経って「今日何やったの?」と聞いても「特に何も・・・」と返されることがしばしば。私がやった仕事に対してチーム長はレスポンスをくれないし、上司はそういった状況を把握していない、情報共有がされていないので違う人と何度も同じ事を議論しなければならないなど、ストレスが溜まる一方でした。プロジェクト立案にかける時間があまり無い中で、最後には自分から皆に声をかけて議論の場を作ったり共同で作業したりするようにし完成までたどり着きましたが、自分だけで無理矢理進めてしまったようで不完全燃焼のまま帰国しました。
帰国後留学中のメンターに相談して気づいたのは、同僚のその仕事へのモチベーション、思い入れ、背景にある価値観が皆違ったのだということ。その状況でただ仕事の話をしてもただのインターンである私の言う通りに協力したいとは思わないのは当然のことでした。それぞれの思いを理解するための会話をまず最初に取っていたら何か違っていたかもしれない。
組織の中で同じビジョンを共有し協働するためにはどのようなシステムを作り、どのようなコミュニケーションを取るべきなのか、この答えを探すために今後はさらに他のNGOや民間企業でインターンしたいと思っています。

うーん、みんな違う方向いてるなあ・・・。

感染症への備えは万全に!

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

途上国に渡航するにあたって感染症対策は欠かせません。厚労省のサイトを参照したり、トラベルクリニックで相談するなどして自分がやるべき予防接種は何なのかまず知ることが大切です(幼い頃の接種歴によって変わります)。特にトーゴを含めアフリカの多くの国では黄熱病の予防接種が必須です。予防接種をした証明となるイエローカードが無いとそもそも入国できません。
私は全部でA型肝炎、B型肝炎、狂犬病、黄熱病、腸チフス、髄膜炎菌、破傷風・ジフテリア・百日咳の3種混合(Tdap)、おたふく風邪、水痘の9種類を全部で打ちました。総額10万円以上、めっちゃ高い!病院の人にもここまでやる人は珍しいと言われるくらいでした。
しかし安全は何物にも代えられません。何より対策を万全にしておけばその分行動の制限範囲が狭くなります。やりたいことがあるけど予防接種してなくて怖いからやめときます・・・なんてもったいない。お金が許すのであればできる限りのことを日本でやっておくことをおすすめします。
なお、ワクチンによっては期間を空けて複数回打つ必要のあるものもあるので医療機関への相談は早めにしましょう。遅くとも2,3ヶ月前には!またマラリアの薬は、海外のトラベルクリニックで渡航相談をし処方箋をもらった上で薬局で買うことも可能です。私はトーゴに行く前にスイスの病院でやりましたが語学力に不安のある方は日本でやりましょう。

留学前にやっておけばよかったこと

語学の勉強は日本でできる限りやっておくことをおすすめします。文法やリスニングなどは片手間でもコツコツやれば日々使う中で身についてきますが、語彙の習得は本当に時間がかかるので事前にある程度終わらせましょう。留学の本質的な部分でない作業に時間を取られて、本来やりたいことのできる範囲が狭まるのは非常にもったいないです。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学はキャリアアップのための数ある手段のうちの一つに過ぎません。ただ留学に行くことを唯一解として捉えるのは禁物です。留学に行くのか、行かないのか、行くとしたらどこに行くのか、何をするのか・・・どういう選択肢が良いかは人それぞれ。将来何をしたいのか、どういう自分になっていたいかという問いを絶えず自分に繰り返し、そのために留学中でなくとも日々やるべきことを考えて実行していってください。