留学大図鑑 留学大図鑑


最終更新日:2020年06月10日 初回執筆日:2020年06月10日

マルチ・カルチュアリズムと差別問題

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ルーヴェン・カトリック大学
  • ベルギー
  • ルーヴェン
留学期間:
10ヶ月
総費用:
3,000,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,500,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 ネイティブレベル<IELTS8.0> ネイティブレベル

留学内容

 ルーヴェン・カトリック大学にて2学期間、専攻である社会学関連の学問(ジャーナリズム、社会学、大衆心理学など)をより専門的に学びながら、国際的な摩擦や紛争の解決方法を模索するために国際人道法・国際人権法とEU法の修士の講義を聴講した。さらに、言語や文化の壁を超え、相互理解を推進できるメディアとして、Faculty of Artsにて美術史を学んだ。
 加えて、実践活動としてブリュッセルにて「Serve the City-Brussels」を通じ難民支援のボランティアを行いながら、実地調査として、ボランティ活動を通して知り合ったシリア人女性にライフヒストリー・インタヴューを行った。また、現地校在学中に、人種差別やエスニック・マイノリティ、移民政策などについての論文を英語で書いたため、いずれはそれらを発表したいと思っている。

留学の動機

私は日本ではエスニック・マイノリティであるが故に、幼い頃から日本ではいじめられ、今でもバイト先等で生き辛い思いをしている。そこで、私みたいな人にとっても生きやすい社会にするにはどうすればいいのかいつも考えていた。そのため、異文化・異民族共生の成功例とも言えるベルギーのフランドル地方に、マイノリティにも生きやすい社会の構築のヒントをもらうために留学先に選んだ。

成果

学問的成果
・講義は英語が中心であったが、学びを深めるためにフラマン語、フランス語、ドイツ語の習得をした。
・発展的な研究をするために、修士向け講義も受講した。
実践活動における成果
・ブリュッセルを拠点とするNPO団体にてシリア難民の支援をした。
・シリア難民を対象としたアンケート調査の実施をした。

ついた力

度胸と主張力

留学を通して、最も感じた成長は、自分の考えを主張できるようになった事だ。授業内ディスカッションや、日々の生活の中で出くわすトラブルでは、遠慮せずにはっきりと自分の言い分や思う事を伝えられるようになった。以前は引っ込み思案でおとなしかったが、留学を通じて自分の「芯」を強く持ち、自己主張をできるようになったのは大きな成長であると思う。

今後の展望

院進学をするか、就活をするかで迷っていたが留学を経験してみて、改めて私はもっと研究がしたいんだな、と感じた。そのため、大学卒業後はまたヨーロッパに戻り、院進学をしようと計画している。ファースト・マスターでは留学を通して興味がわいた国際法もしくはEU法を、そしてさらに進む機会があれば国際法のドクター、もしくはジャーナリズムか美術史のセカンド・マスターに進みたいと思っている。

留学スケジュール

2017年
9月~
2018年
7月

ベルギー(ルーヴェン)

・ルーヴェン大学での2学期間の学び:主専攻である社会学分野の学問を、今まで学んできた学問的視点とは異なるヨーロッパ特有の多文化な視点から学んだ。緊張が高まっている国際情勢の中で文化的・政治的対立を超え問題を俯瞰できる人物になるため、社会問題に絡んでくる法律や複雑な文化的背景等の実情についても合わせて学んだ。
・難民支援ボランティア:難民問題の解決の糸口を見出すために、約8ヶ月間ベルギー国内で難民支援のボランティアをした。こうした活動を通し、資金援助のみならず新しい環境への適応の手助けや自立支援も必要だと感じた。
・ライフヒストリー・インタヴュー:留学後半にかけて、難民支援のボランティアを行いながら、実地調査としてボランティ活動を通して知り合ったシリア人女性にライフヒストリー・インタヴューを行った。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

40,000 円

生活費:月額

- 円

ルーヴェン中心部にある旧市庁舎
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

40,000 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

今回の留学において様々な経験を通し、成長をしたと感じる。しかし、その中でも最も印象的であった経験は、難民支援のボランティ活動においてシリア人たちが、彼ら・彼女らの母国を空爆した、加害者側である(片親が)アメリカ人の私に対しても、同じ人間として接してくれ、心を開いてくれたことである。彼らはもちろん、空爆をしたアメリカ軍を恨んでいたが、かといってアメリカ人である個人の私に対してはそうした偏見や先入観を持たずに接し、勉強とボランティア活動の両立を頑張っている私をいつも労ってくれた。本来は私が彼らを助け、支援する側であるが、むしろそれ以上に私が彼らに助けられたと思う。私が目指している社会は「出自に関係なく、誰もが生きやすい社会」であるが、ボランティア活動で接してきたシリアの人々のように、相手を「国」や「人種」といった枠に当てはめずに、「個人」として接することが、今の世の中の生きづらさの根本を改善できるのではないかと感じた。

歴史的に多民族が共生してきた街・アントワープ

日常生活で必要な知識の取得

  • 生活 : 食事

・問題:日常の生活で必要な知識
・解決方法:日常生活における質問や疑問(例:どこのスーパーが安くて良い所なのか、日常消耗品はどこでどのブランドの物を買うと良いのか)は現地の学生に聞くのが最も手っ取り早くて正確な情報が手に入る。例えば、大学のバディ・プログラムに留学前に登録しておけば、現地学生のバディとペアを組めるので、大学の事務員や市役所の役員に聞くほどではないが、日常生活で困るようなことがあった場合はバディがアドバイスしてくれるので助かる。そのため、留学先の大学のバディ・プログラムには登録した方が良いと思う。

綺麗に陳列されている酒類

留学前にやっておけばよかったこと

・現地語の習得:講義は全て英語で、住んでいたフランドル地方では英語だけでも問題なく過ごせた。しかし、現地に着いてからではなく、日本にいるうちからフラマン語を習得しておけばよかったなと感じた。
・貯金:趣味に使えるお金がもう少し多かったらよかったなと思った。ベルギーでは許可がないと働けないため、日本にいるうちからもっと働いてお金を貯めておけばよかったと今になって思う。

留学を勧める・勧めない理由

勧める理由:留学前までは自分の力量では到底達成できないと思っていた事も、自力で対処できるようになって自信がつき、どんな状況に陥っても動じない度胸がついたため様々な事に挑戦できるようになった。また、自分にとっての常識は一歩外に出れば通用しないという事に気付き、先入観や偏見がだいぶ減って、他人や違う考え方に対して非常に寛容になれ、議論する時もより多角的な視点から論じる事ができるので強みになる。

これから留学へ行く人へのメッセージ

トラブルが発生したり思うように事が進まなくても、結局どうにかなってしまうので、何事も恐れずに自分のやりたい事に是非ともチャレンジしてください。