留学大図鑑 留学大図鑑

ゆーか

出身・在学高校:
千葉県立船橋東高等学校
出身・在学校:
獨協大学
出身・在学学部学科:
外国語学部英語学科
在籍企業・組織:
株式会社ボーダレス・ジャパン

海外インターンシップ(特にNPO・NGOでの活動・ボランティア含む)には詳しいのでお力になれることがあると思います!留学に関する相談や質問がございましたら、Facebookのメッセンジャーから気軽にご連絡ください!


最終更新日:2022年12月28日 初回執筆日:2022年12月28日

難民も私たちも輝く社会のあり方を学ぶ!

留学テーマ・分野:
海外インターンシップ
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Serve the City, Krogerup Hojeskole, Crossing Borders, A Fairer World
  • オーストラリア・デンマーク・ベルギー
  • ブリュッセル・コペンハーゲン・タスマニア
留学期間:
12ヶ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,410,000円
  • 地域自治体と大学独自のものを併用していました。 600,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEIC650点くらい> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<具体的な数値はありませんが、英語でも仕事をしています。>

留学内容

【目的と背景】留学前に「日本人と難民が協働できる日本社会を実現する」には、私自身は何ができるだろうと大きな疑問を抱えていた。私は日本人と難民が「協働」できる日本社会を目指し、日本人の持つ難民へのイメージを変えたいと考え、3つの目的を軸に留学プランを立てた。
1)対話による差別や偏見を変える試みがどう行われ成功を収めているか学び日本へ持ち帰る。
2)言語や文化などの壁を超えて共進化する為に日本社会が必要な事を考える。
3)新聞などから難民に関心を持ち始めた日本人に対して、一個人から見た難民について発信する
【内容】難民が多く流入しているヨーロッパ2カ国と、多文化共生の国であるオーストラリアに滞在し、難民の社会統合へ繋がる取り組みをしているNGOで実践活動を中心とした留学を行った。具体的には、ベルギーの難民センターでボランティア活動、デンマークではノンフォーマル教育機関フォルケホイスコーレに滞在後、学生インターンとしてNGOに勤務。オーストラリアではタスマニア島に滞在し、インターンとして学校や企業への対話型ワークショップのアシスタントの傍ら、難民の学生が通う英語クラスのボランティア活動。12ヶ月の留学を通じて、各国のリアルな難民の現状だけでなく、多様な人々同士の対話を活性化させるコミュニケーション・環境デザインを学び、難民の社会統合に向けた教育的アプローチを知る事ができた。

留学の動機

大学1年時、政治の授業をきっかけに難民を知る。同年に自己免疫疾患による肝炎を発症しカナダ留学を辞退。その後「長期留学は不可能」と医師に言われ、国内活動に力を注ぐ。大学2年時、「難民への理解を深めるワークショップ」を学生団体SOARのメンバーとして全国開催。大学3年時、NPO法人WELgeeでのインターンシップから、難民の方の才能とレジリエンスを知り、彼らと輝ける社会を創りたいと思い留学に繋がった。

成果

留学を通して、何をしたい(what)と同時に、なりたい姿(being)も明確になった。留学中に出会った方々の人生の話を聞いて、彼らの生き方を見て、「こう生きたい」という像がクリアに。同時に対話とストーリーテリングの持つ可能性も再確認した。異なる背景を持った人々を前にした時に、無意識に出るステレオタイプ・差別・偏見を減らし、お互いに尊敬できるような社会に変わっていく為の対話のあり方を体感した。

ついた力

ありのままの自分を受け入れる力

私は留学中に心が折れそうな経験がいくつもあった。わからない事や出来ない事だらけで、自信もなくなり、ダメ人間に思えた。その時ある方に「一人でここまで来て勇気あるわね。楽しいことばかりじゃ何も生まれないわ。」と言ってもらえた。そこから、まずはありのままの自分を受け入れ、自分の良さも弱さも認めてあげる大切さを学んだ。出来ないことはできる努力をすればいいだけで恥ずかしくない、自分を責める事をやめた。

今後の展望

日本に暮らす人々が多様な価値観や生き方を尊重できるように、対話を活用した人材開発を仕事にして、社会全体をよりよい場所にする「チェンジメーカー」であり続けたい。

留学スケジュール

2019年
3月~
2019年
4月

ベルギー(ブリュッセル)

【概要】国際NGO「Serve the City」ブリュッセル支部でボランティアを経験。400名以上の男性が
暮らす難民保護センターで食事の配膳、ホームレス移民の方々が200名以上暮らす駅で炊き出しが主な活動。ゲストハウスとAirbnbに滞在。平日は朝6時から13時くらいまでボランティア、午後や休日は他のボランティアたちと街歩き。
【得たもの】この1ヶ月の活動を通して、厳しい現場で働くNGO職員の方、ベルギーに暮らす移民や難民の方と対話をした。そこから難民受け入れ先進国であるヨーロッパの抱える課題とNGO職員の抱える葛藤、その間に挟まれる当事者の声を知り、複雑な感情になったことを覚えている。この1ヶ月で感じたモヤモヤや疑問を自分の中で消化する為に後半の留学期間を費やした。留学は最初から楽しいとは言えず、ずっとこれでいいのかと考える日々だったが、この感情が後に大きな成長へと繋がった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

130,000 円

項目:交通費

10,000 円

難民保護センターのキッチンチームで朝食の配膳後に一息
他のボランティアさんと休日に街散策!
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

130,000 円

項目:交通費

10,000 円

2019年
4月~
2020年
1月

デンマーク(コペンハーゲン)

【前半2ヶ月】ノンフォーマル教育機関「クローロップホイスコーレ」に学生として滞在。日常生活に深く根付く民主主義の考え方を、寮生活そのものから体感。当時行われていた選挙からデンマーク国民と政治の距離感を知る。
【後半7ヶ月】国際NGO「クロッシングボーダーズ」でインターンシップ。短期教育プログラム開発や対話型ワークショップのコーディネートが業務。イギリスとドイツへの出張から国際的な共創を学んだ。さらに広島県からデンマークに修学旅行で来た高校生に対して、平和をテーマにした3時間のワークショップをゼロからコーディネートする機会があり、教育の可能性を肌で感じた。
【全体から得たもの】恩師や友人に恵まれ、これからの人生の糧になる価値観が自分の中に構築された時間だった。9ヶ月の経験から、「肩の力を抜いて自分を労ることの重要性」と、「人材開発や教育分野で人の成長に関わる面白さ」に気づいた。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

90,000 円

生活費:月額

140,000 円

項目:交通費、生活雑貨

10,000 円

選挙そのものも楽しむデンマークのエレクションディナー
プロフェッショナルと仕事させてもらったベルリン出張
広島県の高校生40名へのワークショップの様子
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

90,000 円

生活費:月額

140,000 円

項目:交通費、生活雑貨

10,000 円

2020年
2月~
2020年
3月

オーストラリア(タスマニア州)

【概要】地元のNPO「A Fairer World」でインターン。学校や企業への対話型ワークショップのアシスタントの傍ら、難民の学生が通う英語クラスのボランティア活動。
【得たもの】対話型ワークショップのアシスタント業務以外に、難民のエンパワーメントや多文化共生に携わる人々にインタビューを行った。英語クラスのボランティアでは主に課外活動である難民学生が難民への偏見を減らすワークショップのサポートを担当。学校や地域コミュニティに自らのライフストーリーを伝えていて、対話を実践で活用してゆく方法論を学んだ。そこから対話による体感型の学びは、子供であっても大人であっても強く残ることを実感。日本の学校や職場で、研修や課外授業を通して、いかに「対話から自己理解と他者理解を深める研修プログラム」をコーディネートしたいという夢が見つかった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

警察学校で行われた難民学生によるワークショップの様子
難民女性がパーソナリティを務めるラジオに出演
タスマニアでヒューマンライブラリーを始めたパイオニアとの一枚
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

留学中で最も鮮明に覚えている言葉は「構造的な過ちの話」だ。ベルギーで新しく事業化しようと考える街ツアー「見えない境界線」に参加した。ある駅付近にある境界線について現地スタッフが説明し様々な格差を考える。駅の表口は政府系の主要機関などが集まるオフィス街、裏口は風俗街やトルコマーケットがある。駅の中はカフェなどがある真横に物乞いがいた。改札口のある駅二階は賑やかだが、下の一階では200名のホームレス移民が寝泊まりし、上の三階では彼らへのサポート施設がある。1つの駅の周りに見ようとしなければ見えない境界線がいくつもあった。ここで冒頭の言葉に戻る。ツアーの最後にジプシーの話があった。ジプシーは出稼ぎに来ていて、多くの場合はお金で雇われて物乞いを演じている。つまり家族の物乞いがいたら、彼らが本当に家族かは定かでない。物乞いが得たお金は裏にいる雇い主に行き、彼らのお金になるのはほんの僅かだそう。物乞いの子供には教育を受ける権利や機会がほとんどない。彼らは物乞いになることから逃れる術を持たない。「これが私たちの社会が抱える構造的な過ちだ。」とツアーは締めくくられた。この職員はNGOの活動は弱者の明日を守っているものの、直接的に制度を変えるものではないと自覚し憤りを感じながら、今日も草の根活動を全うしている。この矛盾の中で働く強さに衝撃を受け、同じことが自分にできるのかと大きなモヤモヤに繋がった。

駅の一階に住む人々(個人を特定されない為一部加工)

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

9ヶ月のデンマーク生活を支えてくれたのは人との繋がりでした。初めての海外生活で、できない事ばかり、自分の能力や良さを活かしきれない日々が続きました。クロッシングボーダーズのインターンが始まって3ヶ月が経った頃に大きな転機を迎えます。いきなり「来週の出張に行くはずの職員にビザがおりなかった。代わりにイギリス に飛んでくれないか?」とお声がかかったのです。この時ほど日本のパスポートに感謝した日はありません。後から聞いた話ですが、本来渡英するはずだったタティアナさん(写真右側の女性)は、当初私を派遣する事に不安を感じていたそうですが(笑)、NGO代表のガルバさん(写真右側の男性)が「ゆうかはどうだろうか?きっと大丈夫。」と推薦してくれたそうです。一番多くのプロジェクトで携わったふたりには沢山の言葉をもらいました。一生大切に心に残してゆく言葉です。

タティアナさんからは、「あなたの良さは勇敢さと笑顔。あなたの実力を最後の最後に知る事ができたわ。もっと早くからそれを活かせたら良かったのに勿体ないことをしたわ。」

ガルバさんからは、「優しい人も優秀な人もこの世には沢山いるけれど、あなたのように自然に溢れる思いやりや人の良さを持つ人はそう多くない。大切にしなさい。」

クロッシングボーダーズは私の第二の家族で、いつかこういう組織を日本に作りたいという理想な職場でもあります。

最もお世話になったチームメンバーふたり
私のセカンドホームとなった居場所

留学から繋がるストーリー “今、これやってます”

私がデンマーク滞在の終了間際に会いに行った熱いパッションの持ち主カロルさんとの対話が今に繋がっています。彼女とはインターン先「クロッシングボーダーズ」で出会いました。カロルさんは自治体が新しい政策を作る際に政治家のアドバイサーを務めています。言い換えると、地域レベルの移民政策、難民の社会統合の分野のスペシャリストです。心理学や福祉、公衆衛生も極めている彼女との会話は4時間ノンストップで刺激ばかりでした。彼女は移民としてデンマークに来て、白人社会で沢山の苦労がありました。彼女のこれまでの経験は努力と挑戦に溢れています。私はアイディアがあるものの自信がないことを相談するとある言葉をかけてくださいました。「何か社会をよくする為に行動する時は、待つ必要はないわ。必要なのはパッションだけ。知識や経験、お金などは後からついてくるの。」とても心に響きました。私は準備ばかりでやりたい事を実行できていなかったんです。帰国してから何度か構想を描いていたプロジェクトを話す機会がありました。心の中にあった想い、「多様な生き方を知って欲しい・Voice of Voicelessを届けたい・私の周りにいる素敵な人を紹介したい」とアイディアを伝えると予想外にいい反応をもらえ『ダイアログラジオ』を始める事になりました。これからラジオを通してリスナーの方々に楽しく多様性について考えるきっかけをつくってゆきたいです。

カロルさんとココアを飲みながら!

家に関するトラブルが続出

  • 住まい探し : 一人暮らし

滞在先に関するトラブルは多々あり、住む場所の大切さを身をもって体験しました。1カ国目のベルギーは、参加した現地のボランティアプログラムにあった住居サポートに任せっきり、最初の2週間はホステル暮らしでした。6〜8人の共同部屋での生活は決して良いとは言えませんでしたが何とか平気でした。でも3週間目に同室のメンバーが夜中の2時まで起きてうるさく、朝6時からボランティア活動をする私にとってストレスが溜まり、「耐えられない!」と抗議して急遽エアビーに住居を変更しました。この時に住居は自分で選ぶべきだと学びました。
この学びを活かすべく2カ国目のデンマークでは自分で住居探しを行いました。インターンシップ中は現地の学生扱いでない為、学生寮に入る事が出来ませんでした。欧州では個人オーナーによる家の貸し出しが一般的でゼロから探すのは大変でした。内見に行っては値段と釣り合わない部屋にため息が出ました。拉致があかないので、会う人全員に「家が見つからなくて困ってる」と伝え、情報を教えてもらい、家探しから1ヶ月半がたった頃に働く女性向けのシェアハウスを見つけました。幸いにオーナーや住居人に恵まれ良くサポートしてもらいました。家が落ち着かないのは留学生活そのものに影響を及ぼすので、困ったら我慢せずに周りに伝えてみると良い方向に進むかもしれません。

憩いのリビングルーム(デンマークのシェアハウス)

「Say something」「Ask help」と言ってくれた友達たちが私の行動を変えてくれた!

  • 周囲の説得 : 恋人・友人

留学中に直面したもう1つの大きな壁は言語と表現力でした。元々はハッキリと物事を伝える性格ですが、なかなか英語では伝えられなかったり、言い回しを知らずストレートな強い言い方になって失敗したり、言いたいことを思うように伝える事ができない経験を何度も繰り返した結果、萎縮して口数がとても減ってしまった時期がありました。口数が減り、ヘラヘラ愛想笑いをして、自分の意見を言わない、普段と全く違う私の姿に心の中では焦っているものの殻を破れずに悩んでいました。そんな時に仲良くなったインターン先のジョージア人の友達が繰り返し言ってくれた言葉がありました。

友人「ゆーかはごめんとありがとうを言い過ぎ。なんでそんなに過剰に言うの?謝るようなことしてないし、お礼をたくさん言われることもしてない。当たり前のことをしただけだよ。相手の反応を気にしてビクビクしてる。Say something (なんでもいいから言ってごらん)。」

確かにこの時の私は、何かしてもらうと、異常なくらいありがとうと言ってました。周りの反応が怖かったです。その言葉で少し言葉を発してみようって思いました。そんな時にウイルス胃腸炎になって1週間寝込みました。病院まではジョージア人の友人に付き添ってもらい家まで送ってもらいました。その後、治るまで外に出れずほぼ何も食わずで過ごしていました。胃腸炎が治ってインターン先のオフィスに言って、休んでいた理由をインターン仲間のネパール人の友人に話すと怒られました。

「なんで何も言わないの?知ってたら買い物とかしたのに。Ask Help (人を頼って)。」

昔から忍耐力はものすごくあるのですが、それが裏目に出て人に頼ることができなかったんです。自分でどうにかしなきゃって。でもこの時から少しずつ自分を変えることを意識して状況が変わりました。

大切な友人2人と!

留学前にやっておけばよかったこと

留学先は非英語圏が大部分で、ベルギーではまったく英語が通じない場面が多々ありました。その度にその国の言葉を少しでも話せたらもっと会話できるのにと悔しい思いをしました。国民のほとんどが流暢な英語を話すデンマークでは英語が通じなくて困ることはありませんでした。ですが駅の名前が発音できず道を聞くにも一苦労、役所からの手紙が読めず大切な書類を見逃すこともありました。英語以外も学ぶと可能性が広がります。

留学を勧める・勧めない理由

私は皆さんに留学を勧めます。留学に行ったからこそ出会えた素晴らしい人たちがいます。その方々との出会いや思い出が、かけてもらった言葉が、今の私の軸となり人生を豊かにしてくれています。日本に留まらず、色々な考え方や生き方に触れてもらいたいです。

これから留学へ行く人へのメッセージ

私が言うのは大変恐縮ですが、、、留学の質を決めるのは皆さんの行動です。ひとつひとつの出来事をどう捉え、次につなげるかによって得られるものが大きく変わると思います。私は失敗や辛いことがあるから、人生は面白くなると信じています。皆さんの留学を”成長するビックチャンス”にする為に、「楽しい」だけでなく、「充実」という視点で考え行動してみてください。皆さんにとっても掛け替えのない留学生活となりますように!