留学大図鑑 留学大図鑑

しんぼ

出身・在学高校:
都立桜修館中等教育学校
出身・在学校:
東京工業大学 生命理工学院
出身・在学学部学科:
生命理工学系 生命理工学コース
在籍企業・組織:


最終更新日:2018年10月29日 初回執筆日:2018年10月29日

研究留学をしに、生まれた国へ

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • アーヘン工科大学 医学部神経病理学科
  • ドイツ
  • アーヘン
留学期間:
1年
総費用:
2,100,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,010,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

アーヘン工科大学医学部の研究室に所属し、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という運動神経変性疾患の病理解明を目的とした研究をおこなった。病院内の研究室であるため、マウスや細胞モデルだけではなく、患者の診断用につかった生検材料や検死材料も扱っている。現在の研究室でおこなったことのない実験が多く、新たな技術を習得できた。また、経験のある実験でも少しずつ方法が異なり新鮮だった。
日本で所属する研究室でも神経組織について研究しているが、分野や目的が多少異なるため、論文などをたくさん読み勉強した。実験プロジェクトを与えてもらい、成果は研究室ミーティングでプレゼン発表した。後半は他のプロジェクトも手伝いはじめ、両立が難しかったが、十分な結果は残せたと感じている。

留学の動機

私はドイツで生まれたにも関わらず何も覚えていない。それが気になっていたのもあり、留学してみたいとぼんやり考えていたが、何も行動を起こしていなかった。なんとなく交換留学の募集要項を見ると締め切り2か月前だったので、急いでTOEFLの勉強を始めた。ぎりぎり応募要件を満たすことができ、留学を実現させることを決意した。大学院でおこなっている研究をさらに深めることができ、医学的観点から学べる機関を探した。

成果

主な成果は、新たな実験技術を取得できたことと、英語で研究のディスカッションなどをするスキルが身についたことである。また、多いとは言えないが、のちに論文に載せられるような実験結果を出すことができた。最終プレゼンでも、教授や研究室のメンバーから良い評価をもらえた。神経組織というテーマで、現在の研究に活かせることも数点あったのでよかった。

ついた力

かっこわるくてもいっ力

ほぼ初めての海外生活で、英語にも研究にも自信がなく消極的になってしまったとき、その状況を変えたいと思った。こんな拙い英語で話すのは恥ずかしい、こんな簡単なことがわからないなんて言えない、という気持ちが最初はあったが、自分のだめなところ、かっこわるいところから逃げずに、それをさらけ出そうと努めた。結果的に、素のままの自分でいることができ、良い人間関係を作れたので良かった。

今後の展望

将来やりたいことはまだはっきりしていない。留学すると、「将来は世界で活躍するんだね」など言われることが多いが、必ずしもその必要はないと思っている。留学に行って、海外からの日本に対する信頼が厚いことを感じ、また同時に日本の足りない点も見えたからだ。それでも、海外の人と関わり様々な価値観に触れることの楽しさを知ったので、仕事という枠にとらわれずに、自分からそのような状況に飛び込んでいきたい。

留学スケジュール

2017年
8月~
2018年
8月

ドイツ(アーヘン)

1年間研究中心の生活をした。前期はドイツ語の講義にも参加した。
2月にオランダに学会を聞きに行った。医師が多く参加する専門的な学会で難しかったが、学ぶことも多かった。
進捗(成果)発表は4月と7月におこなった。英語で話す練習を何度もしたおかげで、教授や研究室のメンバーには、実験結果だけでなく、話し方も褒めてもらえた。
ピアノが弾ける本屋さんが街の中心部にあり、リフレッシュのために頻繁に通った。友人たちとはテニスやバレーボール、バドミントンをして楽しんだ。また、各国の料理を作ってホームパーティーをたくさん開いた。なかには一緒に旅行に行くほど仲良くなった人もいた。各地に留学中のトビタテの友人たちと合流して旅行に行くこともあった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

アーヘン工科大学病院。まるで工場のようで、病院らしさはない。
テニス仲間。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

研究室のメンバーはまるで家族のようで、温かい人たちでした。頼りない私にあきれたりせずに、いつも優しく接してくれました。研究をするときはまじめで、でもランチの時間や、研究以外で飲みに行ったり遊びに行ったりすると、みんなお茶目で、わいわいするのが好きで、楽しかったです。楽しいときだけでなく、困ったときにはみんなで助け合い、つらいときや悲しいときでもみんなで声をかけ合うような関係でした。この研究室に所属できたことを誇りに思います。帰国するときは本当に寂しかったです。お別れディナーを開いてくれて、プレゼントやメッセージカードをもらいました。今でもそれを見ると”アーヘンの家族"が恋しくなります。

帰国当日に研究室のある病院前でとった写真。
お別れディナーの写真。パーカーやボトル、マグなどをもらった。
みんなからのメッセージカードと写真。

留学中に手に入れた、今でも大事にしているもの

研究室のメンバー以外にも、たくさんの友達ができました。小旅行に行ったり、ホームパーティーを開いたり、街に飲みに行ったり、スポーツをしたりと、一緒にいろんなことを楽しみました。私の英語が拙かった時も、我慢強く話を聞いてくれて、仲良くなることができて、私は本当に恵まれているなと思います。海外に住む友達ができたのは初めてで、こんなにも仲良くなれるとは正直思っていませんでした。今でもよく連絡をとっています。遠く離れていますが、また絶対会いたいです。

ドイツ人、メキシコ人の友達とのホームパーティ。
台湾人、中国人、ドイツ人、日本人で旧正月をお祝い。

この国のことが、とても好きになった瞬間

ドイツといえば、やっぱりビール!到着一か月後、オクトーバーフェストに行ってきました。そこでは、老若男女関係なくみんなが飲んで歌って踊って、とびきりの笑顔でした。ドイツ人は、一見不愛想だったり真面目だったりする印象がある人が多いですが、ビールやイベントが大好きなようです。日本では若者しかこんな風に騒がないかと思います。カーニバル(日本でいうハロウィンのようなイベント)や、クリスマスマーケット、ワールドカップでも、子ども、若者、大人、おじいちゃんおばあちゃん、みんなが楽しんでいて、とてもほっこりしました。

オクトーバーフェストで知らないおばさんと撮った写真。
クリスマスマーケットはとてもかわいい。毎日にぎわっていた。
W杯のパブリックビューイング。得点した時の一体感は格別。

手元にあるのに、クレジットカードを不正利用されました...

  • 生活 : 治安・安全

これは留学中ではなく帰国後に起こりましたが、クレジットカードが手元にあるのに、行っていないはずのインドネシアでキャッシングの不正利用が起こりました。おそらく、海外での旅行中にスキミングなどでカード情報を読み取られ、暗証番号も盗み見などされたのだと思います。クレジットカード会社に連絡してカードを変更し、不正利用された金額も補償されました。
暗証番号を盗み見られないよう気をつけたり、スキミングの対策をしたりするのはもちろんですが、カードの利用がすぐにわかるような設定にしておくことをおすすめします。私の場合は、1000円以上のカード利用があるとすぐにメールが届く設定になっています。これのおかげで気づけました。もしメールが来ていなかったら、被害額はもっと大きかったかもしれませんし、カード会社に補償してもらえたかわかりません。

留学前にやっておけばよかったこと

日本料理を、自信をもって作れるようにしておきたかったです。回数を重ねて慣れてきましたが、最初は失敗したりおいしくなかったりするのが怖くて、なかなか人を誘えませんでした。

留学を勧める・勧めない理由

留学してよかったと思っていますが、人それぞれだと思います。
私にとって、留学を実現する上で大きかったのは、最初に決断する勇気でした。決まってからも不安要素はたくさんありましたが、たいてい乗り越えられるし、周りに助けてもらうこともできます。
1つチャレンジをすると、その経験が次のチャレンジの助けになるんだと思います。「勇気を出してトライする」という経験を、私の場合は留学で得ることができました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学が決まってからも、ちゃんとやっていけるのか常に不安でしたが、なんとか無事に充実した1年間を過ごすことができました。飛び込んでみたらなんとかなる、そしてそれ以上の発見や経験が得られます。素敵な出会いも待っています。
劇的に成長するということはなくても、少しずつ変わっていく点があると思います。焦らず、かっこつけず、ありのままの自分で楽しんできてください!