留学内容
私は数学の一分野である逆問題という研究に取り組んでいる。逆問題とは、直接見ることが出来ない対象を破壊せずに間接的な観測量から推定する問題のことである。逆問題研究による産業界の産物として、例えば、機器や建築物などの表面温度分布の画像を得る赤外線カメラや、人間の体内の断面図を投影するCTスキャンなどがある。赤外線や放射線を介して未知の情報を抽出するのである。このように逆問題の研究は、産業界で大きく貢献してきたが、産物の精度や効率の向上や、観測量に誤差が生じた場合の問題など、産業界での実用化にはまだまだ多くの課題が残されている。私はそういった実用化のための課題を数学にフィードバックし、数学の問題として捉えて解決しようという研究に現在取り組んでいる。今回の留学は、逆問題研究の新しい進展を目指して、ドイツのカールスルーエ工科大学カールスルーエ工科大学いるKirsch教授と共同研究を行った。