留学内容
大学院の交換留学プログラムを利用して、オランダデルフト工科大学Technology, Policy, Management(TPM)研究科に留学した。持続可能な電力システムを消費者の行動変容からデザインすることを目的とし、研究に取り組んだ。心理学の分野から電力システムを研究する先生をメンターとして研究プロジェクトを行い、並行して工学だけでなく経済学の視点も取り入れた討論型の授業を履修することで、1つのテーマに対して多視点から考える力が身についた。
最終更新日:2019年10月08日 初回執筆日:2019年10月08日
語学力:
言語 | 留学前 | 留学後 | |
---|---|---|---|
英語 | 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC885> | → | 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC885(帰国後未受験のため測定不能)> |
大学院の交換留学プログラムを利用して、オランダデルフト工科大学Technology, Policy, Management(TPM)研究科に留学した。持続可能な電力システムを消費者の行動変容からデザインすることを目的とし、研究に取り組んだ。心理学の分野から電力システムを研究する先生をメンターとして研究プロジェクトを行い、並行して工学だけでなく経済学の視点も取り入れた討論型の授業を履修することで、1つのテーマに対して多視点から考える力が身についた。
これからの未来を担う世界の同世代の若者たちと、これからの社会のあるべき姿について議論を交わしたいと思い、優秀で多様な学生が集まるオランダデルフト工科大学に留学することにした。また、俯瞰して多視点から考察できる研究科としてTPMを選んだ。
強く印象に残っていることは、デルフトの学生、特に留学生が熱心に勉強に向き合っているその姿である。日本では感じないような劣等感を感じたが、よく考えると良いプレッシャーと刺激を受けながら、自分もいつもよりも真摯に目の前の学習に向き合うことができ、いつもと違うギアの入れ方を身につけられた。
ローギアで踏ん張る力
日本で勉強しているときは、周りにも異分野でバリバリと活躍している仲間がいたり、都内に足を運べば多くのイベントやセミナーがあった。それらを活用してとにかくトップギアで走り続けていた。一方、落ち着いた環境でみんながコツコツと目の前の学問に取り組んでいるデルフトでは、日本にいるときのそれとは違って、ギアを低速に落として、目の前のタフな学問に力強く取り組む力がついた。
トビタテの留学を通して、自分が本当に大切にしているものはなんなのかがより明確になった。その軸を大切にし、細かい事柄には振り回されずに今後も自分のビジョンに向かって歩みを続けていきたい。その上で、今回の留学で身についてコツコツと目の前のタフミッションに向き合う力は、非常に大きな収穫だったと思う。
2018年
9月~
2019年
1月
大学院の交換留学プログラムを用い、協定校であるデルフト工科大学技術・経営・マネジメント研究科で活動した。主な活動は以下の3つ。①授業履修、②研究プロジェクトの実施、③フィールドワークである。①に関しては、専門分野の知識を多角的に深めるために、技術だけではなく経済の観点からもエネルギーシステムを考えられる授業選択をした。②では、行動変容の電力システムへの応用を実施している先生にメンターになってもらい、月に数度打ち合わせしながら、主に論文を調査しながら研究に従事した。③に関しては、欧州各地の電力関連施設に直接足を運び、その技術の社会的役割とその関連に関して知識を深めた。
どれも欧州留学ならではの経験であり、有意義な時間を過ごすことができた。
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 500,000 円 |
生活費:月額 300,000 円 |
項目:緊急一時帰国(祖母他界のため) 300,000 円 |
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 500,000 円 |
生活費:月額 300,000 円 |
項目:緊急一時帰国(祖母他界のため) 300,000 円 |
デルフト工科大学で印象的だったことの1つに、学生の学問への向き合い方の違いというものがある。語弊を恐れずに簡潔に表現するならが、派遣先のデルフトの学生は「学問に真摯でアカデミック」、在学中の慶應の学生は「学問に熱心でプラクティカル」といった印象を受けた。両者に優劣をつけることはナンセンスである。しかし、「熱心に効率的に」を意識してこれまで大学、大学院で勉強してきた自分にとっては、一つの疑問や目の前の課題にじっくりと時間をかけて向き合うデルフトの学生から新鮮な印象を受けた。この感覚は、自分が中学、高校、大学と進学するにつれ忘れてきた、少年の頃の好奇心に対する純粋な感覚なのかもしれない。限られた時間で目標達成するには、効率的な取り組みも大事かもしれないが、時には、いや我々日本人には、純粋に目の前の疑問や学問に向き合う姿勢が大事なのかもしれない、そう感じた経験であった。
もう一つこの留学で実施できた貴重な学びとして、「現場でしか感じられない空気感」というものがある。いろんな国に渡航しやすいという欧州留学の利点を活かして、空いている時間で訪れてみたかった地域に足を伸ばすことができ、そこでしか得られない貴重な体験をすることができた。
その一つが、開発途上地域である西アフリカ、セネガルの人々の生活に触れることである。同じ国においても、セネガルの都市と地域の格差は想像以上に大きい。しかし、経済が人々の幸福度を決定づけるかと言われると、必ずしもそうとも言い切れない。この感覚は、現地に行ったからこそ理解できるものだと思う。さらには、ウクライナのチェルノブイリにて、原発が開発された背景、事故当時の様子、そして、現在の原発の捉えられ方について、住民の生の声を聞くことができた。これは現在深刻な事故を抱えている本国についても考えを深める良い機会になった。
オランダは他の欧州各国と同じ「ホームドクター制」を敷いている。このシステムの理解不足は、日本の医療システムに慣れている者からすると、体調不良や病気の際、とんでもなく大変な目に合うケースの原因となりうる。
私のケース場合、年明けから頭痛が悪化し始め、ついにはめまいと嘔吐が止まらなくなった。病院に行こうと検索するが、ホームドクター制では、いかなる症状であれ、まずは登録しているホームドクターの元へ訪れ、診察を仰ぐ必要がある。その後、専門医や大きな病院に紹介してもらうことが可能となるのだ。結果的に、ホームドクターでは検査ができないので大きな病院に行くようにと言われたが、予約に3週間かかると言われ(オランダでは普通と言われた)、帰国日との兼ね合いから、最後の数日を切り上げて帰国することを決断した。
結果的に悪性度の高い脳腫瘍であったため、一命を取り留めたが、このような医療制度は、万が一に備え、とにかく全員が理解し、どう対処したら良いかを予め準備しておくことが非常に重要になってくる。
体調を崩すことがないのが一番ではあるが…