留学内容
現在日本の大学院で,太陽電池の効率を向上させるのに有望視されている「光アップコンバージョン」という技術の研究を行っている.この研究のヒントとなりそうな有機化学,特に超分子化学(分子同士の相互作用を利用し,分子を秩序立って配列させる学問)を専門に研究しているスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究室に所属し,その分野の知識習得と研究を行うことを目的とした.留学先研究室では,分子間相互作用と結晶構造の関係性に関する先行研究を参考にしながら,新規なナノカーボン材料(グラファイトやカーボンナノチューブのようなものを想像していただければと思う)を合成する研究に取り組んだ.
私はもともと機械工学を勉強しており,化学合成の経験はなかったので,所属先の研究室では合成の基礎を教わるところから始まった.目的の材料の合成と精製に時間を要し,特に精製がうまくいかないことが多かったが,スーパーバイザーのポスドクさんに相談したり,定期的に先生に進捗を報告したりしながら研究を進めた.成果は最終プレゼンとしてまとめて帰国前に先生とスーパーバイザーに発表した.得られた超分子化学の知見は修士論文研究に役立てる予定である.