留学大図鑑 留学大図鑑

北嶋 泰周

出身・在学高校:
長崎県立大村高等学校
出身・在学校:
京都大学大学院
出身・在学学部学科:
アジア・アフリカ地域研究研究科グローバル地域研究専攻
在籍企業・組織:


最終更新日:2021年04月08日 初回執筆日:2021年04月08日

路上市場で対話を通じた販売戦略を学ぶ!

留学テーマ・分野:
調査留学
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Nepal Tokushima (Japan) Friendship Association
  • ネパール
  • バクマティ県カトマンズ郡
留学期間:
40日間
総費用:
250,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 220,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
ネパール語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル

留学内容

私はネパールでの留学を通して、世界農業遺産の『にし阿波の傾斜地農耕システム』の保全に向けた「隠れたフードロスをなくし、余すことない地産地消を進めるプロジェクト」の基礎を作るために留学しました。一般的にフードロスとは「流通から消費」の過程で廃棄されたものを指すことが多いですが、私はフードロスが「生産から流通」の過程においても生み出されているのではないかと考えました。生産から流通の間では規格外の小さすぎる(又は大きすぎる)物やキズ物が、市場という場で溢れてしまうことで出荷されなくなるのが現状です。一部は自給作物として消費されますが、残った分は廃棄されてしまいます。そこで私はカトマンズ近郊で行われていた路上市場に着目しました。ここでは日本では売られないようなキズ物や規格外の大きさのものまで販売されています。私はこれを「途上国だから」と言う理由で簡単に処理するのではなく、むしろ路上市場の売り手や買い手に対するヒアリングから、何をどのように販売し、また購入しているかという路上市場における経済活動の動態を明らかにしていきたいと考えました。さらに生産者と消費者が直接繋げることで、「キズ物」などネガティブな情報だけでなく、生産者の思いや 情熱、有機栽培や見た目以外の品質など、ポジティブな情報を提示することができる「市場破壊型」の経済活動を広げていく取り組みの視座を確立することが留学内容となります。

留学の動機

私は人類学専攻志望だったので、一年前からアンナプルナ保護地区の農村での調査を行なっていました。その調査前後でカトマンズ市内をブラブラし、道端で100人以上の人々が野菜を販売していたのを見た際に、私はちょっとしたエキゾチシズムを感じました。それが私と路上市場との出会いです。そして帰国後に「彼らはなぜ道端で野菜を売ってたんだろう?」「そもそも道端で売れてるのかな?」と疑問をもったのが留学の動機です。

成果

本来の目的であった「路上市場の商人たちがどのように対話を通じた販売戦略を立てているか」だけではなく、営業時間外における管理団体や路上商人同士の関係構築、そして彼らがどのように路上空間を利用して経済活動を行なっているのかということが明らかになったことが留学の成果だといえます。

ついた力

通い続ける力

私は主に路上商人の調査を行いましたが、初めて路上市場を訪れた時は商人たちから全く相手にされませんでした。終いには商品のおばさんから「お前はなんでそんなに私たちに質問してくるんだ。早くどっかいけ!」と言われる始末でした。しかし何日も通い続けることで、商人たちと少しずつ仲良くなりながら社会に与しながら調査を続ける力を身につけました。

今後の展望

当時は漠然と考えていた大学院進学と継続的なネパールでの調査・研究の決意が固まりました(その後、大学院進学)。今回の留学は路上市場を通じた経済活動に焦点を当てていましたが、調査を通じて路上空間の利用に関する研究にも関心を持つようになりました。さらに調査後に訪れたイラム地方での茶畑の調査を通じて、将来的には「茶」に関する研究も視野にいれるようになりました。

留学スケジュール

2019年
8月~
2019年
9月

ネパール(バクマティ県カトマンズ郡)

私はネパール留学を通して、世界農業遺産の保全に向けた「隠れたフードロスをなくし、余すことない地産地消を進めるプロジェクト」の基礎を作るために留学しました。生産から流通の間では規格外の小さすぎる(又は大きすぎる)物やキズ物が、市場で溢れてしまうことで出荷されなくなるのが現状です。そこでカトマンズ近郊で行われていた路上市場に着目し、まず売り手や買い手に対する聞き取り調査から、どのように販売し、また購入しているかというバザールの経済活動を明らかにしていくものです。そして生産者と消費者が直接繋げることで、「キズ物」などのネガティブな情報だけでなく、生産者の思いや 情熱、有機栽培や見た目以外の品質など、ポジティブな情報を提示することができる様な「市場破壊型」の経済活動を広げていく取り組みの視座を確立することが留学内容となります。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

カトマンズで早朝に行われている路上市場
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

路上市場の調査を終えてから、茶の名産地であるイラム地方に1週間ほど行ってきました。そこでは毎日何十種類もの茶をテイスティングしながらどのように小規模経営のお茶を作ってきたのかを学びました。しばしば茶のクオリティは標高差に関係すると言われますが、現実はそんなに単純なものではなかったです。実際にティーマスターがその日の気候を読みながら、どのように加工するかを決めて、その瞬間に適した作品を作り上げます。いくつかの茶園に行くと、同じ銘柄でもその作り手によって大きく味が変わるということを肌で感じることができました。日本でネパール茶を販売する店はいくつか知っていますが、このようにティーマスターの話を聞きながら、そのお茶を味わう経験ができる場所はありません。このことはネパールのイラム地方に行かないと得られなかった貴重な学びになりました。

ネパールティーのテイスティング

言葉ではなく、体で伝える

  • 語学力 : その他の言語

ネパール語は日常生活に困らない程度に話せるようにはなりましたが、いざ路上市場を訪れて路上商人たちから話を聞こうとすると、最初のうちは会話のラリーが全く続かなかったです。私が使えるネパール語は数が知れているので、それを補うようにジェスチャーや指差しで伝えるようにしました。そうすると、彼らも私の必死な訴えかけに対応してくれて、コミュニケーションをとることができるようになりました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

私は「誰でも留学に行けば何かが身に付く」「とりあえず海外に行けば勉強になることがある」と海外留学を簡単に肯定する気にはなれません。人によっては「よく考えると、今の自分は海外に行くことよりも、国内で何かを学んだ方がいいかもしれない」という結論に至ってもおかしくないと思います。もし、それでも「私は海外に行くべき人間だ!」と思えるのであれば、臆することなく挑戦してみる価値はあると思います。