留学内容
私はネパールでの留学を通して、世界農業遺産の『にし阿波の傾斜地農耕システム』の保全に向けた「隠れたフードロスをなくし、余すことない地産地消を進めるプロジェクト」の基礎を作るために留学しました。一般的にフードロスとは「流通から消費」の過程で廃棄されたものを指すことが多いですが、私はフードロスが「生産から流通」の過程においても生み出されているのではないかと考えました。生産から流通の間では規格外の小さすぎる(又は大きすぎる)物やキズ物が、市場という場で溢れてしまうことで出荷されなくなるのが現状です。一部は自給作物として消費されますが、残った分は廃棄されてしまいます。そこで私はカトマンズ近郊で行われていた路上市場に着目しました。ここでは日本では売られないようなキズ物や規格外の大きさのものまで販売されています。私はこれを「途上国だから」と言う理由で簡単に処理するのではなく、むしろ路上市場の売り手や買い手に対するヒアリングから、何をどのように販売し、また購入しているかという路上市場における経済活動の動態を明らかにしていきたいと考えました。さらに生産者と消費者が直接繋げることで、「キズ物」などネガティブな情報だけでなく、生産者の思いや 情熱、有機栽培や見た目以外の品質など、ポジティブな情報を提示することができる「市場破壊型」の経済活動を広げていく取り組みの視座を確立することが留学内容となります。