スウェーデン(ヨーテボリ)
私は1年間同じホストファミリーのところに滞在し、高校1年生(自分の年よりも一個下の学年)に入りました。
スウェーデンの特徴として、留学生でも自由にコース変更が可能という点があります。私は、音楽コースでピアノを専攻していました。Estetik kommunikationという、日本語で直訳すると「芸術コミュニケーション」という授業が毎週月曜日に2時間ありました。1ヵ月ごとくらいに課題が与えられ、自分たちで考えたミュージックビデオ作成や劇をやったり、風刺写真を作ったり等色々しました。スウェーデン語が話せなかった私にとって、課題を理解することだったりグループの人とディスカッションしたりするのは、最初のうちは大変だし辛かったです。ですが、この授業で発言することの大切さや考えることを学ぶことができましたし、最後の方は積極的に取り組めるようになりました。私は音楽コースだったので、普通の教科は英語、スウェーデン語、社会、数学だけでした。どの教科も聞いてるだけでなく、多くの人が発言してるのが印象的でした。特に社会の授業はディスカッションが授業の中心で、言ってることは分からなくても、その様子を見てるのだけでも楽しかったです。
また留学中は、学校に対しての考え方の違いを感じ驚きました。日本では、高校を転校するのって、よくあることではないと思います。ですが、スウェーデンでは普通です。スウェーデンの高校は、入学金も授業料も払わなくていいので、簡単に学校を変えることができます。学生は、これは自分の学びたいことじゃないって思ったら、音楽から生物、社会から演劇など、すぐに学校やコースを変えていました。仲良かったクラスメイトも学校を変え(彼女はすでに3回変えてます)寂しい思いもしもしたが、来る前に聞いていた、「スウェーデンの学生は自分が本当に学びたいことをする」というのを感じたことでした。凄いし、とても素敵だなと思います。授業中寝てる人がいないことも、それが関係してるのではと思います。また、スウェーデンでは授業に電話がかかってきたからと、クラスの外に出てもOKです。ほとんど自己責任な印象です。もう一つ当時驚いたのが、学生が政治の話を積極的にすることです。私の日本の高校では、政治の話は友達同士でなかなかしないし、煙たがられるようなトピックでした。ですがスウェーデンではそんなことはなく、選挙があった際、休憩時間に「この党どう思う?」とか「だれが勝つと思う?」とかクラスメイト同士で話していました。学校全体の行事で、模擬選挙もあります。日本も、皆が色んなことをラフに話せるようになったら面白いと思います。
そしてスウェーデンの学校は、部活がないので放課後は自由な時間が多かったです。私はそのまま家に帰るか、学校に残るか学校近くの図書館にいくことが多かったです。落ち込んでるときは、ピアノを弾いて元気を出してから家に帰ってました。学校の丸机で勉強するのも好きでした。そこにいると、誰かがギターを弾く音やそれに合わせて歌う声が聞こえてきたりしました。留学はよく暇な時間が多いと言われますが、私はそんなことはなかったです。学校の宿題をしたり、スウェーデン語の勉強をしたり日本紹介のパワポつくったり、やろうと思えばすることはいくらでもありました。
休日の過ごし方は10時くらいまで寝てることもありました。のんびりとネットフリックスを見て過ごしたり、AFSや学校の友達とfikaしにいったり日によってバラバラでした。年が明けた3月からは毎週日曜日に、トランスジェンダー女性の人たち含め、女性が音楽の世界でもっと活躍できるように、サポートする団体のミーティングに参加してました。そこで新しい楽器にチャレンジしたりしました。
ホストファミリーは、お父さんとお母さん、2人のホストシスターがいました。お父さんとお母さんどちらも働いていました。いつも2人で家事をやっていて、お母さんが遅い日はお父さんが全部料理してました。留学生はお手伝いをするのが当たり前と聞いていたのですが、全部やってくれたのでやることがありませんでした。お父さんお母さんの考えとしては、娘たちには勉強の方を頑張ってほしいという思いがあったようです。宿題などやることがないときは、出来る限り皆がいる部屋にいるように心がけました。スウェーデンは金曜日の夜がfredagsmysの日で、映画を見ながらポップコーンやチップスを食べるのが家族の習慣でした。私を受け入れてくださったホストファミリーには心から感謝しています。ただ、ホストシスターとの関係は常に悩みました。同い年と三つ下のシスターだったのですが、お互いが仲良すぎて私はその中に入れませんでした。ホストファミリーと本当の家族のようになれるのは、多くの留学生が望むことで、私もその一人でした。なので、ホストシスターと距離が縮まらない自分を辛く思ったり、学校でも孤独を感じるのに家でもなんてと思ったこともありました。ですが、自分がどう話していいかわからないってことは、相手もそうってことに気づいてからは自分から天気がいいねって話しかけたり、分からないことを聞いたりしてました。
現地での留学団体のサポート体制については、AFSはコンタクトパーソンさんが留学生一人につき一人いました。私は偶然にも日本人の方で、二か月に一回ほど会い、悩み相談など色々な話を聞いてもらってました。最初の方は日本語で、最後の方はスウェーデン語で話していました。また私の地域には一人学生ボランティアがいて、その人が月に一度ほど留学生を集めてくれてました。