留学大図鑑 留学大図鑑

川村美湖

出身・在学高校:
名古屋大学教育学部附属高等学校
出身・在学校:
出身・在学学部学科:
在籍企業・組織:


最終更新日:2024年11月27日 初回執筆日:2024年11月27日

ネパールで生理の貧困について学ぶ!

留学テーマ・分野:
短期留学(3か月以内、語学・ボランティアなど各種研修含む)・海外ボランティア
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Projects Abroad
  • ネパール
  • カトマンズ
留学期間:
3週間
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 160,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 挨拶など基本的な会話ができるレベル

留学内容

「生理の貧困」をテーマにした設定した留学で私が行ったことは主に2つあります。
1つ目は、学校でのチャイルドケアです。現地の学校で、教室の壁にペンキを塗ったり、子どもたちに折り紙を教えたりしました。子どもたちはいつも元気いっぱいで、とても優しいです。ある子はおすすめのお菓子を私にくれたり、またある子はネパール語の発音を一生懸命教えてくれたりしました。子どもたちと関わっているとこの学校がアジア最貧国の学校であることを忘れてしまいますが、ネパールでは地域格差が大きく地方に住む多くの子どもが学校に行くことができません。都市部にあるこの学校でも電気はついていません。私が日本で暮らし、当たり前のように高校に通えたり勉強が出来ている環境はとても恵まれた環境にいることを改めて感じました。
2つ目は「生理の貧困」の調査です。当初は現地の女性にインタビューしようと考えていましたが、プライベートなことを聞く勇気が出ず、インタビューは出来ませんでした。しかし、日常の生活の中で宗教がいかにネパールの人々の暮らしに深くかかわっていることができました。例えば、観光でお寺を訪れたとき、お寺に敷地内には裸足で入らないといけなかったり、生理中のボランティアが施設の中を見学しようとするとスタッフに止められた、ということがありました。宗教施設はとても神聖な場所であるため、ヒンドゥー教を信仰していなくても生理中であれば中へ入ることは許されないのです。

留学の動機

みなさんは「生理の貧困」という言葉をご存知ですか?生理の貧困とは、経済的な理由から十分な生理用品を手に入れられない状況のことです。日本でもコロナの流行をきっかけに話題になりました。ネパールで約80%以上の人が信仰しているヒンドゥー教は血を不浄とし、女性特有の生理も「穢れ」として捉えます。そんなネパールで女性たちはどんな暮らしをしているのか知りたいと思い、ネパールへ行くことにしました。

成果

スタッフが生理に関する彼の家庭の現状を教えてくれました。彼の家には生理小屋はありません。しかし古くからの教えを重んじる人の中には、生理中の女性が視界の中に入っただけでシャワーを浴びて服を着替える人もいるそうで、彼の父親がそうです。父親が亡くなったらそのようなルールは廃止するそうです。宗教や文化はこのように変わっていくんだと実感しました。言いにくいことを話してくれて、とても感謝しています。

ついた力

環境に適応する力

「身に付けた」というより、適応していくしかなかったという表現の方が正しい気もしますが、異文化に染まることを楽しいと感じたことには変わりありません。ネパールという異国の地で英語を使ってコミュニケーションを取りながら活動をするのは、簡単なことではありません。しかし、周りの人に支えられながら限られた時間の中で現地の文化に染まって生活した3週間は私の人生でもっともクレイジーな時間だったと思います。

今後の展望

私はこの留学を通して「自分がどれだけ恵まれた環境にいるのか」を知りました。だからこそ、この環境を存分に生かして、高校や大学、そして社会人になってからも学び続けたいと思います。留学へ行って具体的な夢が見つかったわけではありませんが、「誰一人取り残さない」インクルーシブな社会にするために自分の人生を使いたいと思いました。

留学スケジュール

2023年
7月~
2023年
8月

ネパール(カトマンズ)

平日は学校でペンキ塗りや子どもたちとの交流をしました。折り紙やけん玉はネパールの子どもたちにとても人気でした。簡単な日本語を教えたり、手洗いや歯磨きなどの公衆衛生について教えたりするのは難しかったけれど、子どもたちが積極的にかつ楽しんで参加してくれたので嬉しかったです。学校に隣接している保育園では塗り絵をしました。ひまわりのイラストを用意し、子どもたちに思い思いの色で塗ってもらったのですが、途中で先生がスマホでひまわりの画像を子どもたちに見せ、「この通りに塗りなさい」と言いました。すると、子どもたちは今までのカラフルなひまわりとスマホの画面を何度も見比べて消しゴムと黄色のクレヨンの取り合いを始めたのです。この出来事は私にとってショッキングなことでした。教育は子どもたちが持つ可能性を狭めるものであってはいけないと思いました。休日は観光をしたりしました。バスに10時間乗って行ったポカラでは夜の湖の近くで火を使ったお祭りがやっていたり、さまざまなお寺に行き楽しかったです。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

ペンキ塗りは疲れるけど楽しかったです。
みんなでヘナタトゥーを体験しました!
最終日におでこにティカをつけてもらいました。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

家族!私に留学をさせてくれてありがとう。この留学で私は大切な人にたくさん出会って、日本から出なければ知らないままになっていたはずのことをたくさん学んだよ。応援してくれて本当にありがとう。 学校の友達!応援してくれてありがとう。「インスタ見てるよ!」や「元気ー?」のメッセージに励まされたよ。 学校の先生!留学前に「気を付けて行ってくるんだよ~」「帰ってきたら話聞かせてね!」などの励ましの言葉をかけてくださったり、留学後に発表の機会を設けてくださったり、私の留学をたくさん応援してくださりありがとうございました! ルームメイト!3週間支えてくれてありがとう。2人がいなかったら、こんなに楽しくて充実した留学にはならなかったと思う。夜に3人でどうでもいいことから社会問題までいろいろなことを語りあえて嬉しかった。これからも2人のこと応援しています! 現地スタッフ!3週間本当にありがとうございました。スタッフと家族のような関係になれるなんて最初は思っていなかったけれど、帰国するときに涙が出てしまうほど別れが辛くて、本当の家族のように暖かく接してくれて嬉しかったです。また必ず会いに行きます。Dear my Nepali family. Thank you very much. धन्यवाद.

レストランにて
保育園にて
高台から

笑いあり、涙あり!留学中にあった、すごいエピソード

週末旅行で10時間のバス移動を体験しました。ボロボロのバスで体は痛くなるし、排気ガスで空気は悪いし、正直途中で帰りたくなりました。それに加えて、目的地まであと少しのところでまさかのエンジンストップ。仕方なく歩いてホテルまで向かいました。楽しいより疲れたが勝る旅となってしまいましたが、今となってはいい思い出です。

ネパールの中心部の街の様子

デングフィーバー⁉

  • 生活 : 病院

学校での活動を終えて、みんなで商店街を散策してたとき、「なんかだるいな」と感じました。ワクチンを打った後のような熱っぽさと関節痛もあり、ホテルに帰ってから熱を測ってみると「37.5℃」でした。疲れが出たのだと思い、早めに寝ました。しかし翌朝になっても熱が下がらず、頭痛や倦怠感の症状も出ていたため、学校での活動を休むことになりました。(「ネパールまで来て私は何をやっているんだ・・」と自分のふがいなさにホテルの部屋で一人泣いたことはここだけの話。)一日しっかり休みましたが、熱は上がる一方だったので、スタッフの判断で病院に行くことになりました。このタイミングで同じホテルに宿泊していたメディカルボランティアの人に「デングフィーバーじゃない?」と言われ、私は大パニックに陥りました。本人は冗談で言ったつもりだったらしいのですが、私はそれを真に受けてしまい、「私、死ぬのかも」と本気で思っていました。まさかネパールの病院に行くことになるとは思っていなかったので、焦りや不安で精神的にも辛かったです。そんなときでも周りのスタッフや友達がたくさん励ましてくれました。病院では点滴を打ってもらいました。尿検査も受けたのですが、医師の英語が聞き取れず結局原因は分からないままとなってしまいました。ホテルへ帰ってから、私はすっかり元気になり、次の日の学校の活動にも参加することができました。無事に帰国できてよかったです。体調管理に気を付けていても、何が起きるか分からないのが留学です。体調だけでなく、心の健康にも気を配り、無理をしないことが大切だと思いました。

100.2℉(37.8℃)の体温計。
この後病院に行くことになるとは想像もしていなかった...笑
病院の天井。ただただ不安でした。

伝わらない悔しさ。

  • 語学力 : 英語

私は英語を話すことが得意ではありません。留学中も自分の思いが伝えられず、他の日本人やGoogle翻訳に頼ってしまうことも多くありました。周りの子が現地のスタッフや子どもたちと会話するのを一歩後ろで聞いている、そんな自分が悔しくて悔しくてたまりませんでした。それでも、私から英語が出てくるまで待ったくれたフランス人の友達や、私が理解するまで何度も説明してくれたスタッフ、安心感あふれる日本人の友達などのおかげで、「英語を話す」ということへの恐怖心はあまりなくなりました。今回の私の留学は語学力向上を目的とした留学ではありませんでしたが、日々の生活の中でたくさん英語を使うことができて嬉しかったです。学校の子どもたちの中には英語を話せない子もたくさんいましたが、共通の言語がなくても一緒に過ごすことでお互いを受け入れたり、理解したりすることもできるのではないかと思いました。ネパールの人は本当にみんあな暖かくて素敵な人たちでした。

楽しそうに遊んでいるみんなを後ろから見る私。背中が寂しい。笑
言葉は通じなかったけど、仲良くなれた。
フランス人の友達と。

本当の支援とは?

  • 留学先探し : ボランティア

ボランティアって難しいと思います。私がネパールへ3週間滞在し、学校でペンキ塗りの手伝いをしたのは事実です。学校に日本の生理用品を寄付させてもらったことも本当のことです。しかし、ネパールに学校は数えきれないほどあるし、生理用品は使ってしまえばそれで終わりです。布ナプキンを自分で作って既製品と一緒に渡したけれど、ネパールで貧困層の人が清潔な布を何枚も買うことは出来るのでしょうか。私が行ったボランティアは一時的な手助けにしかなりません。ネパールに生きる人々が持続可能な社会で幸せに生きていくためには一時的ではなく、循環するような、例えばエネルギーの問題にアプローチすることが必要です。もちろん、私が現地で活動したことが無駄だったと少しも思っていません。ただ現地でボランティアをして、それで終わってはいけないと思ってます。まずは現状を知るということが大切なんだと思います。だから私はInstagramで留学の経験を発信していますが、これも正しいのかはっきりと言えません。本当の「支援」って、なんだろう。自分に出来ることって何だろう。そんなことを考えるきっかけになっただけでもこの留学は決して無駄ではありませんでした。

学校の壁をペンキで塗っています。
手作り模型を使って歯磨きを教えています。
子どもたちの笑顔が素敵すぎる!

留学前にやっておけばよかったこと

まず、語学力についてですが、現地での生活をどれだけ充実させることができるかは、どれだけ現地の人とコミュニケーションが取れるかだと思います。伝えたいことが伝わらずに終わってしまうのは悲しいことです。だから最大限言語力を向上させた方がいいと思います。そして日本のことをもっと知るべきでした。言語力と同じくよく聞くことですが、それだけ大事だから多くの人が言っているのだと思います。

留学を勧める・勧めない理由

ネパールという私のことを知っている人がいない国で、私は「違う自分」になりたいと思っていました。いつもの私は真面目でネガティブ。でも本当は、存在だけで周りがパッと明るくなるような面白くて優しい、人気者になりたかったのです。だからネパールではひょうきんに振る舞ってみるけど、やっぱりだめで...私のありのままでいようと思いました。留学を通して「自分を知る」ことができました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

何かを成し遂げようと留学に行くのも素敵なことだと思います。でも私は何も目的がなくても、日本という生まれ育った国から出るということ自体に大きな意味があると思っています。私自身、「生理の貧困」というテーマを掲げてはいましたが実際にトビタテに採用していただけるほど留学に燃えていたのはただただ外国に行ってみたかったからではないかと今になっては思います。留学に言って本当に良かったです。トビタテありがとう!