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青沼 惠人

出身・在学高校:
出身・在学校:
東京大学大学院
出身・在学学部学科:
理学系研究科
在籍企業・組織:

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最終更新日:2024年09月19日 初回執筆日:2024年09月19日

気候変動と海洋生態系・海洋環境

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • スバールバル大学(UNIS), アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(AWI), バルパライソ・カトリカ大学(PUCV), 第7回国際耳石学会(7th International Otolith Symposium), 欧州地球科学連合(EGU)
  • チリ・オーストリア・ドイツ・ノルウェー
  • ロングイェールビーン・ブレーマーハーフェン・バルパライソ等
留学期間:
8ヶ月(2023年8月末〜2024年4月末)
総費用:
2,700,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,700,000円
  • (その他奨学金等の合算) 1,000,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEFL iBT 89/120> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEFL iBT 100/120>

留学内容

自分は「気候変動がどのように海洋生態系・海洋環境に影響を与えるか」について研究をするべく、ノルウェーとドイツを中心に研究留学を行いました。この他、共同研究や研究発表を行うために、チリとオーストリアにも実践活動のために渡航しています。

滞在スケジュールは以下の通りです。
・2023/8-2023/9 スバールバル大学(UNIS)[ノルウェー]
・2023/10 第7回国際耳石学会、バルパライソ・カトリカ大学(PUCV)[チリ]
・2023/11-2024/2 アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(AWI)[ドイツ]
・2024/2-2024/3 スバールバル大学(UNIS)[ノルウェー]
・2024/4 欧州地球科学連合(EGU)[オーストリア]

ノルウェーでは世界最北の大学であるスバールバル大学に滞在し、1か月程度の短期コースを2つ履修しました。コースでは講義・実験のほか、北極海での調査航海や冬季北極圏での水質調査などのフィールドワークを実施しました。
チリでは第7回国際耳石学会に参加するとともに自身のこれまでの研究成果を国際的な学術大会で発表するとともに、バルパライソ・カトリカ大学を訪れ魚類に関する共同研究を現地の研究者と行いました。
ドイツではアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所に滞在し、約3ヶ月のリサーチインターンを行いました。ここでは北海の生態系調査に参加し、生物サンプルの分類等を実施しました。
オーストリアでは欧州地球科学連合(EGU)総会に参加し、チリで行った共同研究の成果を発表しました。

留学の動機

留学の動機として、「気候変動・地球温暖化で危機に瀕している海洋生態系・海洋環境について現地で学びたい」ということが挙げられます。特に北極圏や高緯度地域は気候変動に伴う昇温の影響が大きく、生態系・環境への大きな影響が見込まれることが、この地域に興味を持ったきっかけです。なお、自身の研究分野が現地調査(フィールドワーク)を主体としていたことも、留学を決めたきっかけとなります。

成果

自身の留学における最大の成果は「現地でのフィールドワーク・研究経験」です。実際に現地で調査をすることで、現地の生態系や環境を身をもって理解することができました。ただ文献や資料を読むだけでは得られなかった学びを多く得ることができたと感じています。
この他、研究活動・野外活動で得られたデータやそれに基づいた考察は研究における重要な科学的成果であると考えています。

ついた力

国際コミュニケーション力

現地での研究や野外調査では、多くの国から学生・研究者が参加しており、その中で有機的な役割ができるように積極的にプロジェクトに取り組みました。また、参加した学術会議においても各国から参加者がおり、彼らとの交流も積極的に行いました。これらの経験をもとに、世界中の人の自身の考えや意思を伝え、国際的な集団内で円滑にコミュニケーションを行う能力が身についたと考えております。

今後の展望

留学を通じて、気候変動やそれに伴う生態系・環境の変化を科学的に研究・分析することの重要性を再認識し、研究職に進みたいとの意思を強くしました。現在博士課程への進学を控えていますので、まずは博士課程でさらに自身の研究を深めていきたいと考えています。

留学スケジュール

2023年
8月~
2023年
9月

ノルウェー(ロングイェールビーン)

世界最北の大学であるスバールバル大学(UNIS)の夏季コース「Ecology of Arctic Marine Benthos」に参加しました。このコースは一週間の講義、9日間の調査航海、一週間のラボワークから構成されていました。
最初の講義では北極海の生態系に関する様々な専門家からレクチャーを受け、調査航海に参加する上での基礎知識を身につけました。講義の後半では実際の学術論文を基に履修者間で議論をするような授業もあり、実際の研究における議論や思考の有り様についても学びました。
次の調査航海では生物サンプルの採取等を実施しました。航海はスバールバル諸島西岸・北岸に沿うように行われ、北緯80度を超える海洋で北極海海洋調査の経験を積みました。なお、ここで採取された生物は履修者や研究者の手によって船内や大学の研究室で分類を実施し、生態系データとして考察を行いました。

費用詳細

学費:納入総額

9,800 円

住居費:月額

70,000 円

生活費:月額

120,000 円

項目:

200,000 円

調査航海に使用した海洋調査船”Helmer Hanssen”
調査航海中に出会した氷山
夜間に出たオーロラ
費用詳細

学費:納入総額

9,800 円

住居費:月額

70,000 円

生活費:月額

120,000 円

項目:

200,000 円

2023年
11月~
2024年
2月

ドイツ(ブレーマーハーフェン)

アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(AWI)でリサーチインターンを行いました。北海の生態系調査に参加し、事前に行われた調査航海で採取した生物サンプルの分類等を実施しました。
ブレーマーハーフェンはヨーロッパ有数の干潟が広がるワッデン海の沿岸に位置しています。ラボワークの他に、ワッデン海の干潟や研究所近くの海岸でフィールドワークを実施しました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

AWIの本部棟
クリスマスマーケット(1/2)
クリスマスマーケット(2/2)
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2024年
2月~
2024年
3月

ノルウェー(ロングイェールビーン)

世界最北の大学であるスバールバル大学(UNIS)の冬季コース「Arctic Winter Limnology」に参加しました。このコースは講義・ラボワークの他、冬季の北極圏の湖沼における水質・生物調査によって構成されていました。
このコースのフィールドワークの対象は湖沼(淡水域)に限定されましたが、講義では淡水・海水双方の環境や生態系についてそれぞれ学修したのみならず、淡水域と海洋との相互作用についても学びを深めました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

まだ陽が出る前、2月末のLongyearbyen
大学のメインキャンパス
諸島周辺の流氷
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

スバールバル諸島は、ノルウェーの中でも特に北に位置しています。ノルウェーや周辺国の北極海沿岸にはサーミと呼ばれる先住民の方々が住んでおり、独自の文化を育んでいます。スバールバル諸島はあまりに北極に近いためサーミの居住はなかったようですが、同じノルウェー北部であることから彼らの文化に触れる機会も多くありました。北極圏やその近辺の厳しい気候の中で育まれた彼らの独自の文化を学ぶ中で、この地域の貴重な環境を守る価値についても再度考え直すきっかけにもなりました。

トナカイです。先住民はトナカイを資源として利用していました。

ノルウェーの物価

  • 生活 : お金

ノルウェーの物価は諸外国と比べても特に高いです。特に私の留学先は離島でしたので、さらに物価は高くなっていました。
このような状況でも、いくつか安い商品があったので共有します。
・パン 主食なので、パンは比較的安いです。また、スーパーによってはベーカリーではない保存が効くパンなどもあり、そちらも重宝しました。
・野菜 私の留学先は離島でしたので、生鮮野菜は高かったです。しかし、缶詰等の保存が効く野菜はあまり高くなく、重宝していました。
・ミートボール等 ノルウェーは漁業が有名ですが、実は肉もそこまで高くありません。特に北欧料理として日本でも名高いミートボールは現地でも比較的安価であり、よく食べていました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

フィールドワークを要とする分野は様々あるかと思います。特に海外にフィールドがある人は、先行研究や現地の共同研究者からのデータを得るだけでなく、実際に現地に足を運ぶことをお勧めします。データや文献を見るだけでは得られない「活きた経験」が現地にあるからです。
トビタテは自由度が高く、熱意さえあれば北極圏のような遠隔地にも留学することができます。ぜひこの機会を用いて、実地での学びを得ましょう!