留学内容
計画時は歴史的な建築物の更新手法を学ぶことをテーマとしていた。建築物の更新において先駆的な設計を行うAdam Caruso教授の建築設計スタジオに参加することを目的とし、実際に参加が実現した。他にも建築設計スタジオをはじめとする複数の授業を履修し、建築の設計に限らず社会的なリサーチを行ったり歴史に関するレクチャーにも参加した。建築という枠組みを超えて、広く社会と建築の関係性について学ぶことのできる環境に1年間身を置いた。
最終更新日:2024年11月11日 初回執筆日:2024年11月11日
語学力:
言語 | 留学前 | 留学後 | |
---|---|---|---|
英語 | 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEFL iBT 91点> | → | 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEFL iBT 99点> |
計画時は歴史的な建築物の更新手法を学ぶことをテーマとしていた。建築物の更新において先駆的な設計を行うAdam Caruso教授の建築設計スタジオに参加することを目的とし、実際に参加が実現した。他にも建築設計スタジオをはじめとする複数の授業を履修し、建築の設計に限らず社会的なリサーチを行ったり歴史に関するレクチャーにも参加した。建築という枠組みを超えて、広く社会と建築の関係性について学ぶことのできる環境に1年間身を置いた。
建築物の「更新」という分野においてヨーロッパは先進的な取り組みが行われており、現地で学ぶことを強く志望していた。その中でも、スイスのETHで教鞭をとられているAdam Caruso教授は文化施設や宗教施設の更新について既に多くの設計を行っており、魅力的に感じていた。また、ETHには20を超える建築設計スタジオが開講されており、多角的な視点で建築について学べる環境だと考えていた。
具体的な建築のデザイン手法を学んだというよりは、自分の中の「建築」の持つフィールドが広がったような実感がある。建築設計スタジオでは芸術家の手法を参照して設計をしたり、アートを制作しそれを基に住宅を考えたりした。他にもチューリッヒで発生した若者運動のリサーチを行ったり、国連による第二次大戦後の技術支援について議論したりした。今の社会をいかにして建築に繋げるかということを学んだ。
とりあえず手を動かす力
日本で建築を学んでいた頃は、プロセスに筋が通っていないとなかなか前に進めず、設計の背景やコンセプト作りに多くの時間を費やしていた。ETHの建築設計スタジオでの講評会で、ふと教授から「君は"justification"し過ぎるところがある」と指摘され、それ以降はとりあえず根拠が明確でなくても形やスケッチを描いてみるようになった。結果的に決断が速くなり、大胆に物事を進められるようになった実感がある。
留学を通して、ヨーロッパにおける建築観や建築物の更新に対する考え方をなんとなく掴んだが、それらが日本との地理的な環境の違いによることもかなり感じた。ヨーロッパと日本を相対化する視点を得たことを生かしながら、本質を残しつつ日本でも適用可能な形に翻訳していきたい。修士課程での研究や今後の設計活動において留学先で得た学びを活用していきたい。
2023年
9月~
2024年
8月
各学期20単位強を取得した。大学生活の軸は建築設計スタジオで、火曜日と水曜日は一日中スタジオで教授と議論をしたりTAにアドバイスをもらう。その他の曜日は他の演習の授業や講義を受けながら、空いた時間は設計スタジオの準備に充てた。休日は頻繁に旅行に行ったり友人と時間を過ごした。
大学の学生寮に住み、男女15人で一つのフロアを共有し、キッチンとバスルームは共有だった。大学から帰ると誰かしらが料理をしているような環境で、日ごろからよく話をしたり一緒に食事をとった。
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 130,000 円 |
生活費:月額 40,000 円 |
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 130,000 円 |
生活費:月額 40,000 円 |
2024年の春にETHのある研修に参加した。ベルギーにおけるリノベーション建築を見て回るものであったが、研修の参加はその授業を履修しているに限られていた。そんな中で、自分の専攻や研究に繋がる部分があり、教授に直接メールをし結局参加が許された。
当然、自分以外は全員がお互いを知っており、ドイツ語で会話が行われていた。なんとかその環境に適応しようと話をしたり研修後に一緒にバーに行ったりしたが、皆が会話を英語に切り替える瞬間が見えて申し訳なさを感じたり、英語の会話では常に自分が場を回さなければならない状況はなかなかに大変であった。スケジュールがタフだったこともあり、日を重ねるごとに周りの学生も疲れが溜まってきて、最終日の現場見学ではほとんど会話がないような状況であった。
5 日間の日程が終わって解散となり、1 人で街のベンチに腰を下ろし屋台で買ったものを食べていた。すると、現地の若者らしき金髪の青年が自分に近づいてきた。また物乞いか、からかいにきたのかと警戒していると、手を伸ばして自分の膝をトントンと叩き、’ Smile!’ と言って去って行った。相当憔悴しきった顔でいたのだと思う。驚きと情けなさと恥ずかしさと嬉しさ、様々な感情が混ざったその時の感覚をよく覚えている。こんな映画みたいなことが実際に起こるのかと驚きながら頑張ろうと思った。
寮費は月額13万円、学食は一食2000円、ポテチでも一袋1000円するスイスでの生活は当然節約生活になりました。毎日自炊をし、スイス国内では滞在中に数回しか外食をしませんでした。
そんな中で、友人とよく行っていたのがホームパーティーです。スーパーで食材を買う分にはそれほど高くなく、鶏肉の骨を取るなど多少の不便を我慢すれば安く済みました。日本の居酒屋文化も良いですが、ぜひこういう環境だからこそできる楽しみ方を探してみてください。