留学大図鑑 留学大図鑑

安平 ゆう

出身・在学高校:
鳥栖高等学校
出身・在学校:
九州大学
出身・在学学部学科:
文学部人文学科人間科学コース
在籍企業・組織:

留学、アイスランド、庭、人類学などなど、気になる方はお気軽にご連絡ください~


最終更新日:2025年03月24日 初回執筆日:2025年03月24日

アイスランドの「庭」を探求する!

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • アイスランド大学、社会学人類学民俗学部
  • アイスランド
  • レイキャビク
留学期間:
4.5か月
総費用:
1,000,000円 ・ 奨学金なし

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル<Toefl ibt 83> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

「庭の可能性を探求する!」というテーマで留学を行いました。学部時代を通して九州で環境再生型の庭造りについて研究しており、特に庭における人と植物、土壌の関係性に関心を持ってきました。アイスランドに注目したのは、日本と対極的な自然環境を持ちながら、英国やデンマークからの影響のもとガーデニング文化を滋養してきた点で面白いと感じたからです。近年アイスランドは「壮大な自然」を目当てにした観光客の増大、再生可能エネルギーの利活用で注目を浴びており、現地の環境保全と開発の関係性にも関心がありました。
 留学計画では、アイスランド大学の環境に関する社会科学分野の講義を受講しながら、個人宅の庭のフィールドワーク、環境NPOの活動を視察することで、実社会と学術の双方から人と自然の関係性を探求しようと考えました。
 結果、6件の庭にお邪魔して、アイスランドの地熱を活用した庭造りやコンポストを主とした土づくりなどについて観察し、お話を聞くことが出来ました。そのうちの2件では2~3日間の泊りがけでお世話になり、現地の「日常」を体験させていただきました。また園芸学校の視察や植物園でのイベントにも参加し、アイスランドの園芸文化に触れられたことも大きな収穫でした。環境NPOの活動については、風力発電所建設予定地を歩く抗議活動に参加し、若手の環境活動家からなるUU(Young Environmentalist)の環境保全委員会の一員としても活動しました。イベントへの参画、ミーティングへの参加といった貴重な機会をいただきました。もちろん、大学で受講した5つの講義も学び深いものでした。いずれも教授や学生とのフラットなディスカッションを基盤にしており、環境人類学、倫理学、社会学、民俗学といった視点からアイスランド及び世界の環境について学びを深めることが出来ました。

留学の動機

文化人類学を学ぶ動機とも重なりますが、より広く世界の見方を知りたいという気持ちがあり、留学への憧れがありました。留学先を調べる中で、アイスランドの肥沃とは言えない土壌や厳しい気候、ガーデニング文化の広まり(情報は限られていましたが)について知るほど、現地の庭造りへの関心が高まり、応募に至りました。学術的な関心があったため、所属大学がアイスランド大学と協定を結んでいたことも背中を押してくれました。

成果

現地での生活や郊外への遠征、そこで目にした景色は、人生観や自然観を揺るがすものでした。また環境活動に関しては、議会に意見書を提出する、抗議活動を行う、といった政治面からのアプローチに参加でき、社会を巻き込むことの重要性を実感しました。個人宅の庭では、植物や土壌、強風、寒冷な気候といった管理できない側面に、人がどのように付き合っているのかを調査でき、庭造りから見た自然観について思考を深めました。

ついた力

つながる力

人脈がない土地でフィールドワークを行う必要があり、様々な手段で人とつながることに挑戦できました。その結果、人とつながるには足を動かすこと、やりたいことを口に出すこと、情報収集を着実に行うことが大事なのだと感じました。調査の途中からは、調査先の方から「既にあなたのことを聞いていたの」と言われ、アイスランドのコミュニティの狭さと強さも実感しました。

今後の展望

帰国後は海外大学院への進学を具体的に検討するようになりました。どのような進学先でも、一貫して庭造りを事例とした土壌、植物、人の相互関係について、人類学の視点から研究を行っていきたいと考えています。将来は人を含めた「多種」が豊かにつながる世界の実現に向けて進路を選択していきたいです。

留学スケジュール

2024年
8月~
2024年
12月

アイスランド(レイキャビク)

アイスランド大学で環境人類学や環境倫理学を学びながら、個人宅の庭造りについてのフィールドワークを行い、市民主体の環境活動へ参加しました。
 SNSの活用やイベントへの参加を通してフィールドワーク先を探した結果6件の庭の観察とガーデナーへのインタビューを行うことが出来ました。また植物園に通いながら、職員の方に種の保全や園芸文化の浸透に向けた取り組みについてお話を聞きました。こういった実践から、講義では知ることが出来ないような、実地での工夫を知ることが出来ました。もちろん、講義も充実しており、事前課題や議論を行う中で学術論文を読むこと、自分で検索することになじむことが出来ました。また環境人類学の講義では関心が近い先生と出会うことができ、大学院への進学を現実的に考えるようになりました。
 また市民主体の環境活動にも参加しました。風力発電開発予定地を歩くことで開発を再考するというイベントでは、市民の方と一緒に歩きながら様々な意見を聞きました。アイスランド国内でも開発と環境保全をめぐる意見が様々であること、高所の景観がアイスランドらしさにつながっていることを知りました。またUUという環境活動団体に参加し、議会への意見書の提出やイベントの開催に関わり、政治に直接かかわっていく現場を目の当たりにしました。40万人に満たないアイスランドの規模感ならではかもしれませんが、環境と政治が生活の一部としてなじんでいる様子を肌で感じられたことは、日本の環境活動を相対的に考えるきっかけになりました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

レイキャビク市内の庭。植栽が美しい。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

お世話になった人ばかりですが、その中でも、植物交換会で知り合ったご夫婦にはたくさんの「アイスランドらしい」機会をいただきました。例えば、サマーハウスという郊外の別荘に泊めていただいたり、夕食やハイキング、クリスマスのイベントに連れて行ってくださったり、アイスランド語を教えていただいたり、本当に様々な形でアイスランドのことを教えていただきました。帰国するころには、「次は家族で遊びにおいで」と言ってくださり、本当に暖かい気持ちになりました。次訪れる際にはSake(日本酒)を持っていきます!

ハイキングの途中でお昼寝をしました。

いかに節約を楽しむか!

  • 生活 : お金

アイスランドは物価、家賃が高いです(安いのは電気だけ、と現地の人はよく言っていました)。もしアイスランドに住まうことになったら、まずはhousing benefitという家賃補助の制度を調べてください。私は入国後に申請し、一定額の補助を受け取っていました。また、市内に点在している共有冷蔵庫もおすすめです。食料品店が廃棄したものや、各人が持て余したものを共有するためのものです。度々確認しては活用させていただきました。日用品については、中古のものを活用しました。古着屋さんやフリーマーケットは物の歴史も感じられて面白かったです。地元の人も良く活用されており、リサイクルが習慣化されていることを実感できました。SORPAというリサイクルセンターでは中古の自転車も見つかります。
こういったできることをやりつつも、国内の旅や人と会う機会も大切にしたつもりです。旅行に関してはレンタカーが最も経済的です。また友人とご飯を食べるときは外食よりも一品持ち寄りの会にすることが多かったです。それぞれの食文化も現れてとても楽しかったですし、コストも抑えられます。月に一度の贅沢で、カフェのマフィンを食べることが楽しみでした。

大好きなブックカフェ!レモンマフィンがおすすめです。
ポトラック!
友人のハーベストサラダ。本当においしかったです。

留学前にやっておけばよかったこと

名刺を作っておけばよかった、と後悔しました。いろんな方のアドバイスでも名刺があると人間関係が広がる、と聞いていたのですが手が回りませんでした。アイスランドでフィールドワークをする中で関係者同士がことごとく知り合いだったことに驚きました。「small society」と現地の人はおっしゃっていましたが、名刺を配っていればより多くの人にお話しを聞けたのではと思っています。

留学を勧める・勧めない理由

何かしらの生きづらさを感じている人に留学をお勧めしたいです。留学を通して国内外、たくさんの素敵な人、自然環境に出会うことが出来ました。世界は想像以上に広く分からないことばかりだと自覚できた経験は、いろんなことを知りたい、という気持ちに繋がり、日常がより豊かになったと感じます。体当たりで他国へ渡ることは、世界の見方を変えるインパクトを持っていると思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

心身をいたわりつつ、目の前の経験を楽しんでください。