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浮穴 あいか

出身・在学高校:
AICJ高等学校
出身・在学校:
出身・在学学部学科:
在籍企業・組織:

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最終更新日:2025年03月26日 初回執筆日:2025年03月26日

教育で貧しいフィリピンの子供たちを救う!

留学テーマ・分野:
短期留学(3か月以内、語学・ボランティアなど各種研修含む)・海外ボランティア
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • CECジャパンネットワーク フィリピン セブ
  • フィリピン
  • セブ島
留学期間:
3週間
総費用:
342,600円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 210,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<英検1級1次合格> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<英検1級合格>

留学内容

フィリピンのセブ島で、十分に教育を受けることができない子どもたちに対して、スラム街に行って、算数と英語教育に加え、「セブンイレブン」さん・「太陽化学」さんと協力して食育を行いました。また、フィリピンの人の「幸せ」を見つけるというテーマで100人以上の人に意識調査を行いました。

①算数教育: 日本で私が作った英語とセブアノ語(セブ島で使われている言葉)で算数の用語や九九を教えるテキストを用いて教えました。まずは、私がホワイトボードで授業を行い、その後、子どもたちに問題を解いてもらうという形で進めました。最初は、九九を覚えていなくて、苦戦する子もいましたが、九九の歌をみんな楽しく覚えてくれて、最終日には7の段まではほぼ確実に解けるようになっていました。算数の問題をみんなやりたくてやりたくて取り合っていたのも印象的です。

②英語教育:英語の本を読み聞かせしたり、みんなで音読をしました。また、スペリングミスが多く見られたので、英語しりとりも行いました。その結果、最終的には、「aとe」などのスペリングミスが減りました。みんなで自発的に音読をしていた姿は今も鮮明に覚えています。

③ 食育:「セブンイレブン」さんと「太陽化学」さんから提供していただいた、健康的なお菓子「cycle-me」を使って、5大栄養素などについて教えました。その後は、健康的なメニューについて各自で考えてもらうアクティビティを行いました。
プラスα:太陽化学さんには、鉄のサプリメントなどをいただいたため、スラム街に住んでいる大人に渡しました。とても喜ばれました。

④意識調査:意識調査で集めた100人以上の人の「幸せ」を分析してみると、多くの人が「家族の健康・家族と一緒にいられること」としていました。もちろんお金は欲しいけれども、お金は家族の健康のための手段であり、家族を一番に思う優しいフィリピンの人の心に温かいものを感じた瞬間でした。

⑤アンバサダー活動:日本の運動会を行いました。数ある日本の運動会の種目の中でも「菓子食い競争」と「大縄」を行いました。具体的には、地元のパン屋さんで菓子パン50個を購入し、スラム街でトビタテ生の仲間や現地の活動をサポートしてくれる大学生に協力をしてもらいながら行いました。並んで一斉にスタートするという文化がフィリピンにはないためか、「よーいどん!」がなかなかできず、小さな文化の違いを感じました。大縄については、フィリピンでも馴染みがあるそうで、みんな上手に跳んでくれました。

留学の動機

小学校四年生から1年間アメリカに住んでいたことがあり、そこで「学ぶ」ことの大切さを友達や先生、コテージのオーナーに教わりました。「学ぶ楽しさ」を今度は、私が教育を十分に受けられていないフィリピンの子供たちに「恩送り」として伝えようと思ったのが留学の動機です。

成果

算数教育:九九が苦手な子どもたちも、私の活動最終日には、7の段以下の簡単なものなら瞬時に解けていました。
英語教育:aとeなど簡単なスペルミスが減り、みんな英語の本を楽しそうに読んでくれるようになりました。
食育:五大栄養素を覚えてくれて、健康な食事について理解してくれました。
意識調査について:100枚以上集めることができ、様々な幸せの形を感じました。

ついた力

向き合う力

この留学を通じて、どんな人とでも向き合い、お互いを理解することができるようになったと思います。あるスラムで、約20人に算数を教えようとしていると、一人の女の子が「私にしか教えないで!」と泣き出してしまい、最初はとても困りました。しかし、ルールを説明し、毎日一緒に算数を取り組むことで、徐々にその子はみんなで学ぶ楽しさに気づいてくれました。

今後の展望

この留学を得て、「幸せ」の価値観が変わったり、貧困問題の根深さというものを痛感したりしたので、まずは、一分野に限らず政治、経済、社会科学など幅広く学べる大学に行きたいと思います。留学に行く前の私の幸せは、お金持ち、有名になるでしたが、フィリピンの人の「家族と一緒に健康でいること」などの幸せを聞いて、幸せとは何によって決まるのか、社会科学的に学びたいです。

留学スケジュール

2023年
7月~
2023年
8月

フィリピン(セブ島)

一日のスケジュールとしては、8時に起床し、ホテルでトビタテの仲間と朝食をとり、9:30頃から私たちの活動をサポートしてくれる現地の大学生と一緒に活動場所(Mountain スラム、City スラム、墓地、Seaスラム、マザーテレサ修道院など)に行き、ボランティアを行いました。昼食は、活動先の近くにあるショッピングモールで取りました。その後、午前とは別の活動先に行き、4時くらいまで自分の探究活動やアンバサダー活動に励みました。そして、1日の活動が終了すると、トビタテ生のみんなでショッピングモールに行ったり、ホテルのレストランで夜ご飯を食べたりしました。疲れてなかなか勉強ができない日もありましたが、毎日1時間は学校の課題に取り組むように心がけていました。そして、1日の振り返りを含め、日記を書いて11時ごろには就寝していました。以下、具体的に、それぞれの活動先で行ったことを書きます。

Mountain スラム:ここでは「幸せ」とは何かの意識調査を子ども・大人に対して行ったり、食育を行ったりしました。
このスラムでは多くの人が住んでいたため、家を訪問して何が困っているのか、子どもたちの教育に対する思いを約30人にインタビューすることもできました。意識調査の結果を分析してみたり、インタビューでの意見を振り返ってみると、やはり多くの人が「家族の幸せ」を一番に考えていて、家族の絆の強さを感じることができました。
食育は、小学生の女の子10人くらいに「セブンイレブン」さんから提供していただいた「cycle-me」と日本で作っていった食育のプレゼンテーションを通して、五大栄養素について教えました。みんな「楽しい!」と笑顔で学んでくれました。
アンバサダー活動もこのスラムで行いました。日本の運動会の中からパン食い競争を伝えました。具体的には、地元のパン屋さんで菓子パン50個を購入し、持参したポリ袋にひとつずつ小分けにして、洗濯ものを干すロープに輪っかのついた洗濯バサミを通し、パンの袋を挟みました。活動先で出会った日本人の友達や、現地でサポートをしてくれたフィリピンの大学生の協力を得ながら、ルールを説明し行ないました。日本のように列に並ぶなどの習慣があまりなく、「よーいどん!」がなかなかできなかったことに、文化の違いを感じました。

Cityスラム:ここでは、主に算数を教えることを中心に行いました。他のスラムと比べて、Cityスラムは、かなり貧困で苦しんでいる人が多いスラムであり、家の仕事の手伝いがあるため、学校に行けない子どもたちが多かったのでこのスラムで算数を教えることを決めました。3週間のうち、2週間は、毎日3時間程、30人くらいの子どもたちを対象に教えました。最初は、九九ばかりか、足し算、引き算もなかなかできない子が半分ほどいましたが、私が直接教えたり、算数が得意な子が不得意な子に教えてあげたりした結果、最終日に簡単な算数のテストを実施すると、約25人の子どもたちが満点を取るようにまでなりました。嬉しいことに、私が教えた九九の歌をみんなで練習して、すべての子が7の段まで言えるようになっていました。みんな、算数の問題をまるでおもちゃで遊ぶように解いてくれる姿は、とても感動的で嬉しかったです。

中国人墓地:ここでは、算数と子どもたちに対して勉強へのアンケートを行いました。Cityスラムよりは、学校に通える子どもたちも多く、私が持っていった九九の問題をものすごく早く解く子もいました。ここで強く感じたのは、スラムと言っても、貧しさなど様々なスラムがあるということです。勉強へのアンケートは主に、科目の好き嫌いや勉強で困っていることを聞きました。勉強で困っていることとしては、文房具がない、英語がすらすら読めず他の科目も時間がかかる(フィリピンでは、4年生からはすべての科目で英語が利用されるようになるため)などでした。フィリピンの子どもたちが欲しいものは、必ずしもスマートフォンなど高価なものが欲しいわけではなく、文房具など勉強ができるものが欲しいということに驚きました。これからは、そうしたことも含め、支援のあり方を考えるきっかけとなる出来事でした。

Seaスラム:ここでは、主に英語教育を行いました。他のスラムよりも英語を読むことが苦手という子どもたちが多くいて、英語を話せない子も少なくなかったからです。本の読み聞かせや子どもたちと音読を行い、英語を楽しく読む機会を作りました。それに加えて、aとeなどのスペリングミスがあったので、ホワイトボードを使って、英語しりとりを行いました。遊びながら英語を使うことで、子どもたちは「楽しい!」と言って、スペルを覚えてくれました。このスラムの家は、海の上に木の枝を組み合わせて作っており、かなり劣悪な環境で暮らしをしているということが印象的でした。台風の影響を強く受けることや火事も多々あるらしく、建て替えが必要ですが、お金がないということで多くの人が日々危険な思いをしていることに、衝撃を受けました。

特別支援学校:フィリピンの教科書を見たいと思っていた私は、夏休みでも行われている特別支援学校に行きました。私立であるため、設備は日本と同じように、冷房もあり、安全安心な環境が整っていました。みんな英語で算数、体育の授業を受けていました。

マザーテレサ修道院:ここは、お金がなく苦しい生活をしている老人や親がいなかったり、貧困で障がいを抱えている子ども達にご飯を提供したりと無償で弱い立場にある人を支援する施設でした。私も手伝いとして老人にご飯を提供したり、食器洗いをしたり、子どもたちとボールで遊んだりしました。しかし、冷房もなく、大変でした。

8月6日 平和記念式典への参加:第二次世界大戦では、フィリピンが日本の植民地となったこともあり、亡くなった多くの現地の人、日本人を悼み、平和記念式典が行われていました。日本ではなかなか伝えられていない、日本軍の植民地への支配や特攻隊は、「神風特別攻撃隊」として1944年にフィリピンで始まったことを知り、驚きと悲しみを感じました。私は、広島出身ですが、自分の国の歴史ですら、他の国にいってみて初めて知るということに、自分の無知さを思いしられる8月6日となりました。

ゴミ山のスラム:フィリピンには、スカベンジャーといい、ゴミ山からゴミを漁り、生計を立てている人がいます。空気汚染がひどいため、ゴミ山のスラムで活動できるのは1日だけと決められていました。実際に、ゴミ山のスラムに近づいてみると、道路が汚染水で満たされていました。ゴミ山のスラムに住んでいる大人たちに理由を聞くと、「ゴミによる影響かもしれないけれど、正直わからない。怖くて、子どもを学校に連れて行かせられない」と言う返答が返ってきました。貧困問題が引き起こす、汚染問題について考えさせられた1日でした。

休みの日
オスロブツアー:休日には、セブ島の美しい海に行きました。トビタテの仲間と一緒に、ジンベイザメと泳いだり、ビーチではしゃいだりしてとても楽しかったです。活動していたスラムから約2時間あまりで行くことができ、同じセブ島なのにも関わらず、かなりの貧困格差を感じることとなりました。

シラマ神社・シラオガーデン:セブ島の有名なプライベート神社であるシラマ神社とインスタ映えすると有名な美しい花の公園であるシラオガーデンに、トビタテの仲間と現地のツアーを利用して行きました。自分で、行き方を調べ、専用タクシーを呼び、道中、セブ島についてたくさん話したことはとても良い思い出です。シラオガーデンは、噂通りとても綺麗で、たくさん写真を撮りました。タクシーの人は、帰りもとても親切で、セブ島の美味しい魚料理の店を教えてくれたりしました。現地の観光は、日本人用のツアーを使わず、現地の人の行き方で行くのも楽しいと思いました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

算数教育 みんな九九をマスターしてくれました!
英語の本の読み聞かせ 熱心に聞いてくれました!
パン食い競争 よ〜いどん!?
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

フィリピンの人の「幸せ」を見つけるというテーマで100人以上の人に意識調査を行いました。それぞれの幸せ・願いをカードに書いてもらい、分析した結果、一番多かった幸せは、「家族と一緒に過ごすこと・家族の健康」でした。私は、先入観で、貧困で困っているのだから「お金を持つこと」だろうと勝手に思っていましたが、フィリピンの人の幸せは「家族」だったことに、自分の無知さを思い知る経験となりました。もちろんお金は欲しいけれども、お金は家族の健康のための手段であり、家族を一番に思う優しいフィリピンの人の心に温かいものを感じた瞬間でした。フィリピンの人の優しい人柄は、日本に帰っても「思いやり」を持って人と接したいと思う私の原点となっています。

フィリピンの人の「幸せ」を見つける!幸せ100個
こんなに小さい子も家族の幸せを願っています!
この子も家族の幸せを願っています!

ココでしか得られなかった、貴重な学び

活動中での最も考えさせられる印象的な出会いに、親がいない女の子との出会いがあります。
始まりは、探求活動で勉強を教えにいくと、女の子が「勉強嫌いだから、やらない」と言って私に近づいてきたことです。私は「無理にやらなくてもいいよ」と答え、他の子に勉強を教えていました。しかし、その女の子は、数分経つと「プリント頂戴」とまた近づいてきたので、渡したのですが、女の子はなかなか解けず、イライラしだし、ついには泣き出してしまいました。そして、「私だけに教えてよ」と言い出し、私が「順番ね!」というとしぶしぶ待っていましたが、正直心の中で、私は「なんてわがままな子!」と思ってしまいました。しかし、何度も女の子のいるスラムに行き、活動を続けていくと、女の子はルールを守ってくれるようになりました。また、嫌いと言っていた九九も日本から持参した九九の表を渡すと、次行った時までに覚えてくれていました。最後の日には、「また絶対に来てね」といい、私が乗ったタクシーを走って追いかけてきてくれた姿は、一生忘れません。後日、その子をよく知る人が、あの子は親がいなくて、ずっと寂しい思いをしていたと言うことを聞きました。私の活動により、勉強を好きになってくれた喜びを感じるとともに、私も3週間で帰るためまた寂しい思いをさせてしまうと思うと、とても複雑な気持ちになりました。またいつか絶対に会いに行きたいです。

向き合うことの大切さを教えてくれた女の子
最初は勉強嫌いだったのに、活動最終日には勉強好きに!

留学中に、自分を勇気づけてくれたモノ・コト

Mountainスラムで食育を行った時に女の子が、私の名前「Aika」を宝物にしていると言って、私の名前を書いたものを見せてくれたことです。ちょうどその時、ホームシックや探求活動が思うように進まず、不安を感じていたので、とても嬉しかったです。

私の名前を宝物として保管してくれてました❤️
食育を楽しんでくれたMountain スラムの女の子たち

スラム街でのボランティアは、スラム街でも安全が確保されている所を探して親を説得!

  • 生活 : 治安・安全

私は、貧困の子どもたちへ教育を通したボランティアを行いたかったため、どうしても両親が心配するような完全には安全とは言えない場所での活動となり、最初は両親に留学を反対されました。しかし、スラム街でもさまざまなスラム街があると思い、調べた結果、フィリピンのスラム街での活動を志すようになりました。両親を、様々な情報で説得させることができました。

留学前にやっておけばよかったこと

探求活動・アンバサダー活動のために、日本でできることはこれ以上ない!と言うほど準備することです。そうすることで、せっかく得た留学の機会を無駄にせず、過ごせます。

留学を勧める・勧めない理由

留学は、今までの自分の価値観を広げたり、時には、変えたりできる絶好のチャンスだと思うので、留学を勧めます!!

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学は、今までの自分の価値観を広げたり、時には、変えたりできる絶好のチャンスだと思います。ぜひ、自分が没頭できる分野で、留学をしてみてください!「お金で安全を買う」とよく言いますが、本当に安全第一で!動いていれば、人生において宝物の経験になります!