留学大図鑑 留学大図鑑

梶谷 拓未

出身・在学高校:
京都市立堀川高等学校
出身・在学校:
出身・在学学部学科:
在籍企業・組織:

Twitterは、トビタテ関連のことを呟いていたアカウントで、今後海外に行くときにも利用するつもりです。Facebookは、基本的には海外の人と繋がるためのものなので投稿はしていません。


最終更新日:2017年11月29日 初回執筆日:2017年11月29日

未知の地で、世界を知り自分を考える旅

留学テーマ・分野:
短期留学(3か月以内、語学・ボランティアなど各種研修含む)・海外ボランティア
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Tumaini for Africa Foundation
  • タンザニア
  • アルーシャ
留学期間:
約2週間(活動13日間、出発日から帰宅日まで18日間)
総費用:
500,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 400,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<英検準1級、GTEC for STU. (聴読書) 733点> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<GTEC for STU. (話) 170点(留学前も同じ)>

留学内容

日本で普通に生活しているだけでは決して触れられない未知の領域で様々な挑戦をすることで、世界を知り自分について深く考えること、またそこから将来自分に何ができるのかを考えるきっかけを得ることがテーマだった。こだわっていたのは「頼らない」ことであった。自身への負荷を高め、より深い学びを得たいと思ったからだ。そのため、外部からのサポートを最小限にして活動できるようなプログラムを自分で探し出した。結果として、航空券を自分で探して一人で渡航し、現地でも周囲に全く日本人がいない中で活動を行うことができた。現地では郊外の孤児院に滞在し、子ども達と寝食を共にした。平日の午前中はボランティアとして孤児院内で簡単な教育活動を行い、それ以外の時間には子ども達と共に畑仕事や家畜の世話、アクセサリ作りをしたり、広場で遊んだりした。ボランティアに際しては、短い期間でできることが僅かであると分かった上で全力を尽くそうと心がけ、自身も最大限学べるよう努力した。普段の生活では、現地の生活をより深く知るためにできるだけ子ども達と同じように生活し、アフリカンライフを満喫した。結果として、普段は「お話」としてしか捉えられないような世界を目の当たりにしたことでもっと世界を見てまわりたいという将来への願望が生まれたのと同時に、自身の精神や能力について深く知ることができた。

留学の動機

初めに留学の機会を見つけた時には、前年度に何度か市や学校のプログラムで海外に行っていたこともあり、学習や部活動、費用のことを考えて諦めていた。しかし、教員から強く勧められ、もしそれだけの価値のある留学を計画できれば行こうと決めた。そこで「どうせなら夢のある『面白いこと』がしたい」という思いからアフリカでのボランティアを思い付き、調べているうちに行きたいという思いが強くなって留学を決心した。

成果

「世界を知る」という観点では、普段ならテレビでしか見られなくて「お話」としてしか捉えられないような景色や人々の生活を目の前で見た経験を通して、「もっと世界を見たい」という気持ちがとても強くなった。「自身を考える」という観点では、様々なトラブルを経験したり日常の中で課題を見出したりしたことを通じて、精神面、能力面の両方について「自分はこういう人間だ」という認識を深めることができた。

ついた力

世界を見据えてメタ認知する力

「世界を見据えて」とは、普段の生活の枠にいながらも、それまで見てきた様々な世界のことやさらに想像もできないような未知の世界を意識することである。また、「メタ認知する」とは、その時の自分の感情や行動を俯瞰的に分析することである。アフリカ、さらに孤児院という未知の領域で新たな挑戦を数多くすることで、「世界」と「自分」、そして両者の繋がりについて深く考えることができた。

今後の展望

まず何よりも、もっと世界を見て回りたい。高校生がたった2週間留学しただけでもあれだけ世界が広がったのだから、もっと時間をかけて色々な所に行けば今の自分には想像もできないような面白い物事が溢れているだろう、と思うからだ。その上で、そうして見てまわった世界の中で自分のできることを見つけ、何らかの形で人の役に立つような、人に喜んでもらえるような面白いことがしたい。

留学スケジュール

2017年
8月~
2017年
8月

タンザニア(アルーシャ)

田舎にある孤児院にチャイルドケアのボランティアとして滞在し、2歳から20歳までの約30人の子ども達と生活を共にした。ボランティアとしての主な活動は、平日の午前中に敷地内にある「school(正式な学校ではなく、とても小規模)」で1人しかいない教師を補助し、簡単な教育活動を行うことだった。私の場合は1人で3、4歳くらいの子ども4、5人を担当し、数字やアルファベットのワークをさせるという内容であった。それ以外の時間には、子ども達と一緒に畑仕事や家畜の世話、売って生活費にするためのアクセサリ作りをしたり、広場に出て遊んだりして過ごした。他にも、外部の学校を見学しに行ったり、休日には1人で街に出て軽い散策をしたりもした。現地の生活に溶け込んで過ごしたことで、深い視点から現地の現状を知ることができた。また、たくさんの人々と知り合え、孤児院では「家族」と呼んでくれる人達に出会えた。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

項目:ボランティア参加費27.4万円、航空券代17万円弱、その他

500,000 円

「school」での教育活動
畑仕事(収穫したトウモロコシの実を取り出す作業)
畑仕事終わりの子ども達と
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

項目:ボランティア参加費27.4万円、航空券代17万円弱、その他

500,000 円

スペシャルエピソード

航空券、往復路に関するトラブル

留学を通して、特に航空券、往復路に関する様々なトラブルを経験した。まず、航空券関連のトラブル。1つ目は、ボランティア団体と提携している旅行代理店の不手際により適切なプランが提示されず、結果的に渡航までの期間が短い中で大急ぎで自分で航空券を探して購入したこと。2つ目は、購入した券の航空会社のある国が直後に周辺国に国交断絶され、便の遅延や運休、会社の倒産等のトラブルを避けるため再び大急ぎで別の件を探して購入し直したこと。次に、往路でのトラブル。1つ目は、最初の経由地が大嵐に見舞われたために飛行機が飛べず、どうなるのか分からないまま空港の床で一晩を過ごしたこと。12時間以上の遅延となり、その後は全て1日遅れに。2つ目は、航空会社によるその後の便の振り替えが不十分で、最後の便(タンザニアの国内線)のチェックイン時に名前がないと言われたこと。空港内にある航空会社のオフィスに行って状況を伝えた結果、問題なく乗ることができた。最後は復路でのトラブル。ロストバゲージに遭い、スーツケースがどこにあるのか戻ってくるのかも分からないまま帰宅。帰国3日後に自宅に届けられた。

空港の床で1泊
航空会社のオフィスに辿り着くも、スタッフ不在によりドア前待機

この国のことが、とても好きになったエピソード

多くの途上国で言えることかもしれないが、タンザニアの一番好きな所は人の温かさだった。孤児院の子ども達は皆元気で優しく、ボランティアである私をゲストのようにもてなしてくれた。初めの頃に何かをしてもいいかと聞くと「ここではやりたいことは自由にやっていいよ」と言ってくれた10歳強の男の子。滞在中にどろどろになった私の靴をきれいにしてやると言って聞かず、「大丈夫だよ。ありがとう」と言うと私の目を盗んでいつの間にかブラシで磨いてくれていたのに気付いたときには、胸にこみ上げるものがあった。孤児院の「お母さん」達や運営側の人達も、本当に温かく接してくれた。いつも体調は大丈夫か、日常生活に不便はないかと気遣ってくれ、最後には「ここはあなたの家なのだから、いつでも気軽に戻ってきなさい」と言ってくれた。街の人々は人懐っこく、歩いているだけでよく話しかけられた。道を聞けば教えてくれるのはもちろん、どこから来たのか、何をしに来たのかと聞かれたり、ただただ遠くから手を振ってきたり。正に「出会った人は皆兄弟」という価値観を感じることができた。

休日の仕事をする子ども達。いつも楽しそうにしている
作った首飾りを掛けてくれた孤児院の大人たちと。
街で声を掛けてきて、行きたい場所まで案内してくれた人と。

国立小学校の訪問

自分の希望で、一度孤児院外の国立小学校を他のボランティアと一緒に訪問させてもらった。放課後の訪問だったため授業を見学することはできなかったが、帰宅前の子どもたちに囲まれながら学校を一周させてもらった。現地では国立の学校は私立と比べて教育水準が低く、十分な教育費を払えない家庭の子ども達が通っている。教室は日本のものの2倍弱程度だが、そこに200人以上がすし詰めになって授業を受けるらしい。後ろの方の子どもは黒板も見えず先生の声も聞こえないだろうという状況だった。タンザニアの中では恵まれた地域ではあるが、それでも教育の質の低さがはっきりと伺われた。私達を珍しがって後ろからついてきたリ話しかけてきたりする生徒がいたので、帰りがけに一緒に写真を撮ろうとすると後から後から子ども達が集まってきて、元気で人懐っこい国民性がここでも感じられた。

校長室の中
教室の中(中央付近から撮影)
子ども達と(頭を触られているのは直毛が珍しいため)

話せない言語が公用語の国に行くときのポイント

  • 語学力 : その他の言語

私の留学先だったタンザニア共和国の公用語は、第1がスワヒリ語、第2が英語です。公用語とは言っても英語は一定の教育を受けた人しか話せないので、スワヒリ語を話せるに越したことはないというような状況でした。できるだけ現地の人達と深く関わりたかった私は、留学が決まったすぐ後からインターネットと書籍を使っての学習を始めました。インターネットについては、20を超える言語を使って約60の言語を無料で学ぶことができる「Duolingo」(ウェブサイト、アプリ等)がお勧めです。文法事項の説明が一切ないのが玉に瑕ですが、ひたすら単語やフレーズのクイズで学ぶのである意味自然な言語習得に近いかもしれません(マイナーな言語のコースは、英語を用いてしか学べないものもあります)。書籍については、スワヒリ語の解説書は日本には数種類、しかも観光を主眼に置いたものしかなくて苦労しましたが、書店で自分に合いそうなものを2冊選んで買いました。現地の人にとって、海外から来た人が自分の言語を話せるというのはとても嬉しいことです。その人やその人の国の文化に興味を持っているのだということが自然に伝わり、仲良くなりたいと思ってもらうための素晴らしいツールになります。ホームステイ先の大人にでも同年代にでも、街ですれ違う人にでも、挨拶だけでもさらっと言えれば心から喜ばれます。是非、初めての言語でも頑張って勉強し、現地の人達と素晴らしい関係を築いてください。

https://ja.duolingo.com/
参考(スワヒリ語学習のために買った書籍①)
参考(スワヒリ語学習のために買った書籍②)

途上国でボランティアをする場合の持ち物

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

途上国でのボランティア、特にチャイルドケア系のボランティアなどをする場合の持ち物についてです。必要性については個人差があると思いますが、参考にしてください。私はタンザニアの孤児院で泊まり込みのボランティアをするという活動をしたのですが、「もしかしたら必要になるかもしれない」と様々な文房具(筆記関連具、定規、はさみ、糊、テープ、クリップ等)や簡単な工具(ドライバー、ネジ、金槌、釘、ペンチ、ニッパー、糸鋸、結束バンド等)を持っていっていました。私は物作りが好きで、子ども達の物を直してあげたり欲しがっているものを作ってあげたりできるかもしれないと思ったからです。結果、現地では、子ども達の壊れてしまった凧を直してあげるのに活用できました。もちろん全てを使用した訳ではないですが、持っていって良かったと思っています。もし荷物に余裕があってこういったことが得意なのであれば、持っていって損はないでしょう(刃物等については機内持ち込みができないものもあるのでその点は注意してください)。何かあったときにできることの幅が大きく広がります。

航空券の探し方

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

自分で航空券を探す必要がある場合は、旅行代理店のウェブサイト等で検索するより複数のプロバイダの情報を一括して調べられるサイトを利用する方が効率的です。「航空券比較」などと検索するとそういったサイトが見つけられるので、試してみてください。(私は今回、「スカイスキャナー」「トラベルコ」といったサイトを利用しました。)

https://www.skyscanner.jp
https://www.tour.ne.jp/w_air/

留学を勧める・勧めない理由

 興味のある人にとって素晴らしい経験となるのは言うまでもないので、あえてマイナス面のみを述べます。
 留学は全く「行くべき」ものではありません。多額の費用が必要な上に、学習その他の活動への影響や安全面でのリスクを伴います。そういったことを十分に考えずに軽い気持ちで行こうとするのは危険ですし、ましてや興味もないのに「経験として行っておいた方が良い」というようなモチベーションなら辞めるべきでしょう。

これから留学へ行く人へのメッセージ

 どれだけの期間であれ、どのような内容であれ、終わった後に何かしらの後悔が残るのは自然なことだと思います。ただ、その後悔を最低限にするために、最大限の想像力でシミュレーションをした上で臨んでください。上から言うことでもないのですが、素晴らしい留学になることを願います。