留学大図鑑 留学大図鑑

永松秀朗

出身・在学高校:
都立武蔵高等学校
出身・在学校:
東京農工大学
出身・在学学部学科:
工学府機械システム工学専攻
在籍企業・組織:


最終更新日:2018年03月15日 初回執筆日:2018年03月15日

金属3Dプリンタの造形装置開発

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • フィレンツェ大学 工学部 機械システム工学
  • イタリア
  • フィレンツェ
留学期間:
5ヶ月
総費用:
1,000,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,050,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル

留学内容

金属3Dプリンタに関する研究で,平板に造形するのが一般的であるため,自由曲面をもつ既存部材への付加造形を可能とする造形経路の作成を目的とした.これはあくまでも留学前のテーマであり,留学後打合せを重ねた結果,持て余している卓上型加工機があるので,その加工機を改造して金属3Dプリンタを作製する,というテーマに大幅変更することになった.
しかし,恥かしながら装置の改造などに携わったことはなく,機械システム科として知ってて当然の知識の欠如も相まって右も左も分からず,フラストレーションがたまる一方であった.加えて,物が買えないという僕個人じゃどうしようもない問題も発生した.結論からいうと,金属を溶かして固化し,造形物を形成する金属3Dプリンタにおいて必須である熱源を買うことができなかったのである.かくして熱源もない状態で,装置のデザインを行い,ハードの制御系のプログラムを作成し,動作確認をする といった段階で私の留学は泣く泣く終了した.一つ言えるのは,研究内容的にはすべて日本でできました♨

留学の動機

人生を危険に晒す というのが私の人生のテーマである.
研究も英語も苦手であった私が,自分の人生を危険に晒すには研究留学がうってつけであった.
また,金属3Dプリンタは圧倒的に欧州にて盛んに研究されており,日本は2歩も3歩も出遅れている状態である.
以上の2点より,欧州で金属3Dプリンタについて研究する価値は十分にあると踏んだため,留学への決心を固めた.

成果

当初の目標は,実験装置の開発から始まり,装置の有用性を検証するテストまでを行う予定だった.
日本の研究室と異なり,PHD以上の研究員に囲まれて研究する日々は刺激的であったが,実験装置の開発途中で頓挫することになってしまい,とても論文にまとめられるレベルに達することができなかった.
研究成果の一点で今回の留学をとらえるのなら,海外に行ってまでやるような内容ではなかった.

ついた力

サバイバル力

実家暮らしの東京育ちの私は,フィレンツェで半年近く生活し,うち3ヶ月は一人暮らしであった.夏休み中に一人で五都市周ったときは,10近くの民泊をしたため,毎度居場所を転々とし,その度に迷子になり,半べそをかいた.結果,生きるとは何か学ぶことができ,それと同時に世の中何だかんだで生きていけるという根拠のない自信を経た.今後より自分の人生を危険に晒す覚悟ができた.

今後の展望

第二弾目の留学を構想中である.
今回の留学の失敗の大きな原因の一つが,日本でできることとの差別化を徹底してはかれなかったことと,それに向けての予備知識を充実させることであった.
日本ではできない研究テーマが見つかり次第,打合せを密に重ねて,万全の状態で次回の研究留学に望みたい.

留学スケジュール

2017年
8月~
2018年
1月

イタリア(フィレンツェ)

既存の卓上型工作機械に溶接トーチを搭載して,新しい金属3Dプリンタ装置を作製することを研究目的とした.
フィレンツェ大学のカンペテリ教授は加工系の研究室であり,主にシミュレーションを得意とする研究室である.近年金属3Dプリンタにも着手しており,PhDのジョゼップと,契約教授のフランチェスコと共に新しい装置の改造を行った.しかし,私自身が装置の改造を行ったことがないため初歩的な段階で悪戦苦闘,加えて経済面の援助が滞り,熱源である溶接機を入手することができなくなり,結果装置のデザインと,制御システムのプログラムの作成の段階で終了してしまう,という苦い体験となった.
はじめの一ヵ月はAirbnbで予約したホストファミリーと過ごし,残りは一人暮らしをした.ホストファミリーも研究員もとても紳士で優しい方たちで,私の拙い英語を一生懸命拾ってくれたのが最高の幸運でした.

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

50,000 円

生活費:月額

40,000 円

研究室の皆さん
ホストファミリー兼素敵な友人
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

50,000 円

生活費:月額

40,000 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

ここからはただのイタリア自慢です.
皆さん,イタリアはとにかく飯がうまいです.うますぎます.
嫌いな食べ物が多いと自負する僕ですが,一度たりともまずいと思ったご飯を食べた記憶がございません.
休日は少し外に出て外食もしましたが,いい気分転換になりました.
イタリアは物価が安いです.旬もののお野菜であれば1kg 100円以下で買うことができます.
なので冬場はカボチャとカリフラワーを大量購入し,土佐煮しまくって食費をがんがん抑えながら,
そして果物も同様に安いので,果物を浴びるほど食べていました.
一度も口内炎にならないという超絶健康ライフを送りました.
日本の調味料も入手できるので,特に日本食が恋しくなることはありませんでした.
たださすがに炊飯目的でのイタリアの米は,日本の米と比べて味は落ちます.
でも米なんざ食べたくなる隙はできません.それほどイタリアのご飯は素晴らしかったです.
ご馳走様でした.

まずは前菜.チーズとサラミ・プロシュートとパンの盛り合わせ
これで€7.ごはんはビュッフェ形式
イタリア史上最高に美味しかった一品,ポルチーニ茸のソテー

行けばなんとかなる

  • 語学力 : 英語

語学が不安でしょうがない人,大丈夫です.行きゃなんとかなります.
語学が不安な人ほど留学に行くべきだと僕は思います.
そもそも英語ができる人と,できない人を隔てる壁は何でしょうか.
一説によると3000時間英語の勉強をすれば,ある程度しゃべれるようになると言われています.
我が東京農工大学の受験生はおおよそ1000時間,外語大は2000時間の勉強を高校卒業までに概ねしているといえます.英語のできるできないはその程度の差なのです.
ではこの差を埋めるにはどうすればいいか?
一日10時間英語に浸る生活を一年間続ければいいだけなのです.そう,たかが留学をすればいいだけなのです.
当然英語はあくまでもコミュニケーションツールの一つ,そこで僕は語学学校には通わず研究と日常生活を通して英語を学ぶことにしました.英語の完成度はお世辞にも高いとは言えませんが,確実に留学前よりもしゃべれる・聞き取れるようになりましたし,なにより外国人と接することに一切の躊躇がなくなりました.
さぁ英語が苦手なみなさん!とりま留学しちゃいましょう!ちなみに僕は大学入試のセンターリスニングが8/50のF判定でした♨

これから留学へ行く人へのメッセージ

研究留学を考えている皆さん.本当にそれは日本ではできないことでしょうか?
具体的にどのようにその研究テーマに取り組むのでしょうか?
必要なソフトは?実験装置はあるのか?実験手順は?先行研究の下調べは終わっていますか?
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ.その期間の留学を最高のものにしたければ,徹底した事前準備は必須です.半年程度の留学で成果を出せているトビタテ生はほとんどいないのが事実です!