留学大図鑑 留学大図鑑

井上 琢斗

出身・在学高校:
徳島県立城北高等学校
出身・在学校:
徳島大学大学院
出身・在学学部学科:
先端技術科学教育部
在籍企業・組織:
教育業、宿泊業

感染症を起こしにくい医療機器開発を行う道を目指していましたが、留学を機に大きく進路変更をしました。
現在は高校・大学生向けの地方でのインターンシッププログラムの企画・運営や、高校の探究活動の支援のほか、宿泊施設の運営を自営業で行なっています。


最終更新日:2021年10月29日 初回執筆日:2021年10月29日

カンボジア国立病院で感染症予防

留学テーマ・分野:
海外インターンシップ
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • NPO日本医療開発機構
  • カンボジア
  • プノンペン
留学期間:
11ヶ月
総費用:
800,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,200,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

「目的 ‐院内感染を減らすこと‐」
所属している団体が介入しているPreah Kossamak Hospitalで、医療スタッフの感染症についての基礎知識および具体的な予防、感染症対策のマネジメントを向上させること

「成果物」
・WHO準拠の手指衛生遵守率のモニタリングデータ
・手指消毒剤の消費量推移データ
・感染症対策の実施・分析・評価とアウトカムの改善までのマニュアル
・病棟の環境改善(感染症予防関連のポスター作成および物品管理マニュアルまたは担当人員の設置)

「どのように取り組むか」
・プロジェクトの3つの軸
1.レクチャー
 感染症防止に関するレクチャーを実施
2.モニタリング
 毎月手指衛生の遵守率を測定し、その推移を調査
3.物品提供
 感染症防止関連の製品を製造している企業様より物品協賛をいただき、当病院へ提供

留学の動機

人々が活き活きと生活している状況をつくりたい→人々の生命と健康を守りたい→専門領域が活かせる感染症予防分野で活躍したい→感染症リスクが低い医療機器を開発したい→工学部なので医療機関とのつながりがない→感染症予防のプロジェクトを通じて医療従事者の声を聞きたい+医療に国境はないので海外の事例も知りたい→海外で感染症予防のプロジェクト立ち上げという流れで留学を決意しました。

成果

(成果)
・プロジェクト対象診療科である脳外科、ICU、救急のうち、ICUと救急で手指衛生遵守率が20%程度向上
・手指消毒剤の利用量が全診療科で2倍
・手指消毒剤の安価な入手法の確立

(学び)
・海外の医療の現状を深く知ることができた
・外国人と協働するプロジェクトの難しさ、楽しさを知った
・海外から見た日本の印象や日本の良い面、悪い面について考えられるようになった

ついた力

順応性力

・事前打ち合わせもない状態でいきなり何かを任されることがあった(現地に到着してすぐに病院長に対してプロジェクトのプレゼンをして欲しいとの依頼など)
・食料品でも衣料品でも商品の品質にばらつきがあるため見極める必要があった
・生活リズムや仕事のスピードが日本とは違うため、うまく相手に合わせつつタイミングを見て依頼をしていた

今後の展望

トビタテとの出会いで、日本の若い世代に国内を含めより世界を知ってもらいたい意識が強くなりました。若者のポテンシャルはもっともっと広げられると思っています。そこで、旅行業と実践型のインターンシップを企画・運営する事業を始めました。
今後は地元から地域レベルで"若い世代が盛り上がっている"という空気感をつくっていきたいと思っています。

留学スケジュール

2014年
9月~
2014年
10月

その他の国・地域(東京(渡航前))

<2014年9、10月>プロジェクト全体設計&調整
◯基本計画
・基本計画設計

◯事前調査
・現地概要データ調査
・団体のこれまでの活動記録参照

◯プロジェクト計画
・計画書作成
・計画書デザインレビュー
・マイルストーン設定
・内容詳細確定
・資料作成
・各連携先との調整

◯協賛
・物品必要量算出
・協賛依頼先リスト作成
・協賛依頼
・協賛物品管理シート作成

◯活動準備
・活動許可申請
・活動場所決定
・使用物品輸送法決定
・使用物品保管場所決定
・使用物品管理システム構築
・資料準備

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

協賛でいただいた物品と現地病院スタッフ
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2014年
10月~
2015年
9月

カンボジア(プノンペン)

<2014年10月>事前準備
◯プロジェクト準備
・事前準備資料確認
・訪問先リスト作成
・訪問先アポ取り
・挨拶回り

<2014年11月>院内感染予防プロジェクト実施準備&プレ調査
◯レクチャー
・レクチャー、実習資料作成
・物品準備
・プレレクチャー実施
・プレ実習実施

◯調査
・標準予防策遵守率データ(介入前)取得

◯標準予防策試験(プレ)
・試験実施
・分析・評価
・結果報告

<2014年12月〜2015年8月>院内感染予防プロジェクト実施
◯指導(週1回)
・レクチャー実施
・実習実施

◯評価(週2、3回)
・テスト実施
・院内巡回評価

<2015年9月>
◯プロジェクト評価
・標準予防策遵守率データ(介入後)取得
・データ分析
・活動報告レポート作成

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

レクチャーの様子
フランス団体と合同で開催した手指衛生講習
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

留学で確信した、“私はこれを目指す!”

大学で基礎研究をしていながら、留学先では研究ではなく、技術指導というプロジェクト設計をしました。
これは自身が目指すところである「人々が自分らしく、活き活きと生活していること」を実現するための手段が、裏方で活躍する研究開発という立場なのか、あるいは人々と日々関わりながら現場にでる立場なのかを判断するきっかけにしたかったからです。
そこで、研究開発とは対極にある立場でのプロジェクトを通して、自分にとって適切な"価値を与えたい人々との距離感"を掴みたいという意図がありました。
結果として私は現場主体であることが分かりし、活躍したいフィールドが"新しいものを作る人を支援する"ということに定まりました。
帰国後は地元徳島で学生を中心に地域の歴史や文化といった資源を知り、新しいものが生まれる場で挑戦する機会を作ることを決めました。

限界集落に残る伝統文化
里道整備のインターンシッププログラム

ゴリ押し

  • 単位・留年 : 休学・留年

留学するにあたり、期間は長期(約1年)であったこともあり、休学することを検討していました。
しかし、所属大学では海外長期インターンシップでの休学は認められていませんでした。
「長期インターンシップ」という科目の単位を取得をすることで休学が認められる仕組みがありましたが、国内インターンシップのみの事例しかない状態でした。それに伴って単位認定のため書類や課題も国内向けのものしか存在せず、学務やインターンシップ担当の先生に問い合わせても仕組みがないものはどうにもできないという返事でした。
そこで、どうすれば海外インターンで休学が可能となるのかどこまで見込みがあるのかを関連のある人に手当たり次第に問い合わせをし、休学申請はどういうものか、どの程度なら認められるのか、インターンシップはどこまでが単位認定となり、何が単位として認めらるのか、代替できるものはあるのかなどの情報を集め、認められそうな案をいくつも提示していきました。
そうしているうちに学務から学長へと話が渡り、結果として単位認定なく休学できる仕組みがつくられました。
 100%はっきりと否定されているならば仕方がないものですが、今回の事例のように「前例がない」といった場合は少なくとも突破の可能性は0ではありません。ゴリ押しすることでどうにかなることもあるようです。

留学前にやっておけばよかったこと

滞在者に現地の様子をよく聞いておくこと(宿泊、食事、病院、買い物、治安、観光地など)

留学を勧める・勧めない理由

どちらでもないです。
自身のやりたいこと、やるべきことに留学が必然でなければ留学は必要ないと思います。
一方でやりたいこと、やるべきことが明確であり、その先に海外というフィールドがあるのであれば留学は強く勧めます。海外での活動は良い方向にも悪い方向にも想定外のことが起こります。やりたいことの軸の上にそうしたブレが起こることは結果としてやりたいことを追求し続ける体力を養うと思っています。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学はあくまでも通過点であって、その先どう歩むかを意識することが重要だと思います。