留学内容
■博士号取得のため、正規の学生としてトロント大学人類学科に入学しました。自分のやりたい研究があり、日本か海外かを問わず研究ができる場所を探した結果、トロント大学になりました。
■入学先を選ぶにあたって重要なポイントは2つありました。ひとつは指導教官です。テーマや研究内容の面から指導を受けたいと思う先生が(当時の私の知識の範囲内で)世界中に何人かいたの、入学先の選択肢として、まずその先生たちが所属している大学院に的を絞りました。つぎに、資金繰りの問題がありました。カナダの他に日本と英国も選択肢にありましたが、日本も英国も自費によって生活費・学費を工面しなくてはいけません。この反面、トロント大学では入学した博士課程の大学院生位全てに生活費と学費を支給してくれます。この点が決め手となり、トロント大学へ出願し、合格して入学しました。入学後は、1年目はコースワークで希望の勉強をし、その後自分自身の研究計画作成を経て、現在の実際の研究という段階に至ります。当初の目的である「自分のしたい研究をする」という意味では、うまく行っています。学科内で何人もの先生と交流しながら、アドバイスや刺激を受けて研究を行っています。生活自体は淡白なもので、勉強と研究ばかりしています。博士課程の研究では、ゼミや授業といったものは基本的にありません。自分で自分の研究を進め、必要に応じて指導教官や他の先生に相談したり、学生同士で意見交換をしたりします。生活面では、息抜きも大切なので心がけてはいますが、正直なところあまり余裕がなく、一般的な感覚からすると過労気味だと思います。
■現在のトロント大学への留学とは別で、過去の話となりますが、東京大学の学部生だったときにベトナムへ交換留学をしました(ハノイ人文社会科学大学)。これはフィリピン研究をしていた教授の影響で東南アジアに関心を持ったため、現地のどっぷり浸かってベトナムの生活を体験してみたいと思ったからです。留学中は、まさにそのような生活ができました。ホームステイをしていたためベトナム人の生活を生で体験できました。ベトナム語も習得しました。留学中の取得単位は互換もできました。この留学の際には幾つもの奨学金に申請しましたがひとつも頂けず、私費留学となりました。
■大学卒業後は、イギリスの修士課程で勉強しました(ロンドン大学東洋アフリカ研究学院)。東京大学在学中に出願をして合格し、卒業後のギャップタームを経て渡航しました。ここでは人類学の勉強をみっちりとして、本当に忙しかったです。全く遊ぶ余裕がありませんでした。この修士課程はコースワークが中心で、自分の研究というよりは、学部レベルの後半で学ぶような内容を1年で集中して学ぶ、という感じでした。ただし修士論文は書くことになっており、この執筆のために私はベトナムで1ヶ月のフィールドワークを行いました。ロンドン大学在学中は、平和中島財団の奨学金とロンドン大学自体の学費減学措置を頂きました。
■ロンドン大学在学中に就職活動をし、修了後に日本で就職しました。が、2年で退職し、アメリカで人類学の博士課程に入学しました(プリンストン大学)。ここでは博士号取得まで5年以上の長期戦となるはずで、5年間の生活費と授業料の支給が予定されていましたが、個人的な事情により一度断念せざるを得ず、半年で自主退学しました。日本に帰国後、生活のための就労を経て、トロント大学で再チャレンジすべく出願し、現在に至ります。
■これらの長期留学の経験に加えて、10日間から3ヶ月間程度の短期間の海外渡航経験(フィールドワーク、スタディツアー、語学留学など)も多くあります。場所は、既に述べたものも含めると、フィリピン、ベトナム、インドネシア、タイ、イスラエル、カナダ(バンクーバー)です(海外旅行は含めていません)。