留学内容
私は寒冷地域に生息し不老長寿の秘薬とされる「ハスカップ」を南九州でつくり、それを用いた農業ビジネスを展開したいと思いカナダのサスカチュワン大学で研究留学をしました。
ハスカップは北米等の寒冷な地域に生息しており、健康に良いポリフェノール等の機能性成分が多く含まれています。超高齢社会を迎えている今、その機能性に注目する企業が増え、加工食品として販売されるなど、需要が高まっています。しかし現在国内では北海道等の限られた土地で少量の栽培があるのみで、これまで宮崎のような温暖地で育った成功例はありませんでした。その中で私が所属している宮崎大学農学部研究室圃場で北海道大学から導入したハスカップを育てたところ、2019年5月に数粒であるが初めて着果に成功しました。これは私の知る限り九州では初の事例でした。
紫外線の多い宮崎県でハスカップの栽培に成功すれば北海道産よりも機能性成分の増加が期待でき、ガン細胞増殖を抑制するなど高付加価値な果実の生産が可能になります。その実現のためには温暖地に適した品種選別が必須ですが、品種数が少ない日本ではこれ以上の総括的な選別及び技術習得は困難でした。
その実現に向けてハスカップ研究の第一人者で、温暖な気候に適した育種・栽培技術を研究しているカナダのサスカチュワン大学植物科学科Bob Bors教授の下で以下の3つの実践活動を行いました。
①暖地性ハスカップの育種・栽培法習得
肥料・土壌の種類、繁殖方法など暖地性ハスカップの育種・栽培法を学習しました
②遺伝資源学的調査及び機能性成分分析
大学圃場だけでなく、カナダ諸州及び米国オレゴン州立大学川合教授を訪問し、より多くのハスカップの果実形質などを調査しました。
③起業のための農業ビジネスに関する知識の習得
積極的に農園を訪れ、その経営手法について調査しました