留学大図鑑 留学大図鑑

かれん

出身・在学高校:
西大和学園高等学校
出身・在学校:
京都大学
出身・在学学部学科:
医学部医学科
在籍企業・組織:


最終更新日:2025年03月14日 初回執筆日:2025年03月14日

再生医療×ナノサイエンスで研究留学

留学テーマ・分野:
短期留学(3か月以内、語学・ボランティアなど各種研修含む)・研究留学
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ピサ大学生物学部
  • イタリア
  • ピサ
留学期間:
2ヶ月半
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 670,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

私の留学のテーマは、「磁力を用いて神経回路を再構築することで神経難病の治療へとつながる研究を通じて、国際研究力を高める 」です。
私が今回留学した、Raffa先生の率いるNanomedicine labでは、ナノ粒子を用いて、主に神経の再生やがん治療、遺伝子治療の分野において研究を行なっています。
私が参加させていただいたParkinson’s disease プロジェクトでは、iPS細胞から分化させたドパミン神経細胞において、物理的引張力(=磁力)が神経繊維の伸長や誘導、分化の促進に寄与できるかどうかを、in vitroとex vivo(マウスの脳スライス)で検証しました。磁力は細胞にMNPs(magnetic nano particles)を取り込ませ、磁場中に置くことによって生じさせます。なお、このようにMNPsによって生じさせた磁力によって神経細胞を伸長させることをNano-pullingと呼んでいます。具体的には、ドパミン神経細胞の分化誘導、マウスの脳のスライスの作成、固定染色などを行いました。

留学の動機

私は、高校生の時から運動障害を伴う神経難病(ALSやパーキンソン病等)に興味を持ち、将来研究医としてそのような神経難病の治療法の開発に携わりたいと考えていました。そのためには、研究スキルはもちろん、国際的な研究者となるために必要なコミュニケーション能力・考え方・倫理観を身につけることは必須です。したがって、今回、神経再生の分野で研究留学をすることにしました。

成果

スケジュールから大幅に遅れつつも、当初目標としていた実験段階まで、留学中に到達することができました。
留学中や留学後に成果を発表したり、研究以外の話題も含め、様々なトピックに関するディスカッションを行ったりしました。
日本で通っていた研究室とは全く異なる雰囲気の研究室を体験できたことで、将来のビジョンを描きやすくなりました。
海外で一人暮らしをするという経験を通じて、精神的に成長できました。

ついた力

アウェイな環境に飛び込む力

今回の留学では、初めて日本人がいない環境で研究に取り組むという経験をしました。この経験を通して、アウェイな環境に飛び込むことへの心的ハードルが下がったと思います。この留学を皮切りに今後も国際的な挑戦を繰り返していけたら良いなと思っています。

今後の展望

留学後も幸い、海外の先生にオンラインで成果を発表するなど、国際的な研究者になるためのスキルを磨く機会に恵まれていますが、まだまだ不足している能力があると自覚しています。今回の留学で留学に対するハードルが下がったので、次はもっと長期間の研究留学を計画できたらと考えています。

留学スケジュール

2024年
8月~
2024年
10月

イタリア(ピサ)

今回の留学で私が参加したParkinson’s disease プロジェクトは、私の出身の京都大学の再生医療(cell replacement therapy)とピサ大学の磁気ナノ粒子を用いた神経細胞の伸長(nano-pulling)を組みあわせることを目的としており、日本の先生とも連絡を取りつつ、イタリアの研究室のプロジェクトメンバーと協力して日々実験を行いました。具体的な成果は論文や研究発表の形で報告されています。プロジェクトに貢献したり、研究の手法に関して新たなスキルを身につけたりしたことはもちろん、言語の壁がある中で自分の考えを伝える努力や、異文化に触れた経験を通して、国際人としても成長できたと感じています。
 また、研究室のメンバーの方々には非常に親切にしていただき、充実した留学生活を送りました。特に体調不良やホームシックになっている時、外国人かつ新人である私にも優しく気を遣ってくださったことに感動しました。自分も、相手の国籍に関係なく手を差し伸べられる人間でありたいと強く思いました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

50,000 円

項目:渡航費

300,000 円

毎日通った研究所までの道
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

50,000 円

項目:渡航費

300,000 円

スペシャルエピソード

留学中に、自分を勇気づけてくれたモノ・コト

研究室の先生が、研究室を運営し研究で大きな成果を出しながらも、家族との時間もきちんと大切にされている方でした。今までは私は、研究者としてのキャリアか家庭かの二択を迫られているような感覚がありましたが、両方欲張ってもいいんだ、と衝撃を受けました。私も先生のように、情熱と工夫で、将来貪欲に両方掴み取れれば良いなと思っています。

夜のピサの斜塔

イタリアの納税者番号の取得について

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

イタリアで賃貸契約をするには、実際の納税の有無にかかわらず納税者番号(Codice fiscale)の取得が必要です。在日イタリア領事館にメールでフォームを提出ことで事前に取得することが可能なので、できる限り事前に取得することをお勧めします。なお、関西の場合はフォームがイタリア語しかありませんが、インターネットで検索すると日本人向けに記入方法を説明しているブログを見つけられます。私は事前にフォームを提出したものの、発行が賃貸契約に間に合わず、結局現地で発行することになりました。幸い宿泊先のホストが親切にサポートしてくれたため問題ありませんでしたが、イタリア語かつたらい回しにされるので、一人では難しいと思います。したがって、かなり前もって領事館にメールを送ることを推奨します。私の場合、領事館から返信が来たのは1ヶ月後でした。

留学を勧める・勧めない理由

日本ですでに研究室に通っている人も、ぜひ一度研究留学をされることをお勧めします。私は、今回の留学でイタリアの研究室の良い点を知ることができたことははもちろん、日本の研究室の良い所にも気づくことができ、将来のビジョンを描きやすくなったと感じています。また、海外で一人暮らしをするという経験を通じて精神的に成長できるので、研究留学に限らず少しでも留学に興味のある人は、一歩踏み出してみて欲しいです。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学は大変なこともありますが、必ず自分の人生に役に立つ経験になると思うので頑張ってください!応援しています!