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最終更新日:2018年01月25日 初回執筆日:2018年01月25日

画期的な蓄電池が災害時の徳島を救う!

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • 西安交通大学理学院材料物理系
  • 中国
  • 西安市
留学期間:
3ヶ月
総費用:
360,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 500,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

私は日本でリチウムイオン電池の構成材料に関する研究を行っている。近年では電気自動車などの大型用途でリチウムイオン電池の展開が拡大しつつあるが、航続距離やコストの面から日本ではわずか1%未満の普及率となっている。しかし、災害時に非常用電源となり、二酸化炭素を一切排出しない等の利点から盛んに研究が行われている。特に中国ではここ数年PM2.5による大気汚染の拡大が問題視され、ガソリン車への規制が強化されている。そのため蓄電池を搭載した電気自動車や電気バスの研究開発が国を挙げて行われ、世界最大の市場が形成されている。一方、徳島に目を向けると今後30年以内に70%の確率で南海トラフ地震が発生し、大きな被害を受けると推測されている。2016年に発生した熊本地震で大型リチウムイオン電池に蓄えた電力で停電中の場所に灯をともした現場を拝見し、早急な対策の必要性を感じた。そのため、理工系に強い西安交通大学で基礎研究を3ヶ月行う計画を立てた。この経験を通じて近い将来、蓄電システム事業を担う一員となり、原点となった徳島の企業や地域に研究で貢献する第一歩とすることを目的とした。所属していた中国の研究室では水系リチウムイオン電池の材料研究という将来的に電気自動車へ展開できる可能性を秘めた基礎研究を行った。その結果、今年度中に論文投稿することを指導教員に認められたほど短期間ながら成果を挙げた。

留学の動機

1つは留学生が多く所属する研究室に配属されたことである。異国の地や留学生と交流した経験のなかった私にとっては大きな転機となった。
次に学部4年の10月から約1年間、中国からの留学生と共同研究する機会を頂いたことである。彼と研究や生活をする上で数々の衝突があったが、何よりも研究にひたむきな姿を間近で見て中国への興味が強くなった。また、中国への偏見を見直し、異文化の実際を知る必要性を強く感じた。

成果

研究室内のミーティングにて毎週金曜日に研究経過を発表する機会があり、これまで英語で発表経験のなかった私にとっては準備が大変であった。しかし、そこで指導教員や学生から多くのフィードバックを得て、議論を重ねたことで過去に論文投稿した材料よりも優れた性能を有する材料の開発につながった。また、研究以外にも日本語コーナーに毎週参加して現地の学生と交流を図り、仲良くなった友達と観光へ出かけていた。

ついた力

行動・発言力

海外では自分から動かないと何も得られないことを初めに痛感した。私が現地に飛び込んだ際、受け入れ先のメンバーに文化的なことも相まって冷たい態度を取られた。私は自分を認めてもらうべく、論文を片っ端から読み漁り、積極的に実験に対する指摘を行った。日本の実験手法を一部取り入れた所、性能が劇的に向上し、共同研究者や研究室のメンバーから存在を認めてもらうことができた。

今後の展望

現地で得た専門的な知識や技術は日本に帰国した現在の研究においても活かすことができている。また、現地の学生とは今でも連絡を頻繁に取り、専門的なこと以外でも気軽に話し合える関係である。この出会いやつながりを大切にし、社会人となってからも研究やビジネスで協力できるきっかけにしていきたい。そして、リチウムイオン電池の構成材料に関する最先端研究の道に進みたいと考えている。

留学スケジュール

2017年
9月~
2017年
11月

中国(西安市)

西安交通大学理学院材料物理系の金属材料強度国家重点研究室に所属していた。この研究室では水系リチウムイオン電池の材料研究という将来的に電気自動車へ展開できる可能性を秘めた基礎研究を土日も関係なく日々行った。研究は主に博士後期課程の学生と共同で行っていた。材料の合成や電解液の条件最適化を主に行い、結果的に論文投稿を今年度中に行うことが指導教員に認められた。特にこの研究室の実験設備は企業に引けを取らないほど優れており、非常に整った環境であった。毎週金曜日の午前中にに研究室内でミーティングが開かれ、私も研究経過報告を何度か行ってフィードバックをもらいながら実験方針を決めていた。また、ヨーロッパで最先端の電池研究を行っている方の講演を聞くことができ、私にとって有意義な時間を過ごせた。最終的には研究室のメンバーとも打ち解けることが出来た。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

50,000 円

生活費:月額

60,000 円

グループミーティングでの発表の様子
研究室で食事会をしたときの様子
学科の建物
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

50,000 円

生活費:月額

60,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

海外経験が初めての私は中国語を話すことができず、中国に対して治安の良い印象もなかったので生活面が最も不安であった。実際、中華料理を食べた後はよくお腹を壊して夜中に何度もお手洗いに行くことがあった。また、学外では英語がほとんど通じないため一人でご飯を食べに行く時、店員とのやりとりに苦労したことも多々あった。さらに、スーパーで入口と出口を間違えて万引きに間違えられたこともあった。数え切れないほどの困難に遭遇したが、それでも3ヶ月間の生活を乗り切って帰国した現在、もう一度中国に行きたいと思うのは研究室や日本語コーナーで仲良くなった友人達のおかげである。中国語が分からず生活に不便さを感じていた私は頻繁に助けてもらうことで生活を送ることができた。知らない方には冷淡だが、ひとたび信頼関係を築くことができれば自分を押し殺してでも協力、手助けをしてくれる彼らは非常に人情味深いと感じた。この経験によって私は当初抱えていた中国の方への偏見を是正することができた。

共同研究していた学生と昼食に行ったときの様子
送別会の様子

VISA取得の近道

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

私の場合、VISA取得に時間を要したため留学前に計画変更届を提出して留学開始を遅らすことになった。二次選考に通過してから受け入れ先にメールで受入依頼をしたところすぐに許可をいただけた。その頃、私は研究や授業等で多忙な生活を送っており、受け入れ先の教授も立場上、非常に多忙な生活を送られていたことで連絡が滞ってしまった。wechatがメインの中国ではメールをあまり見ない方もおられ、連絡が円滑に取れないことも多いため気を付ける必要がある。訪中するにあたり、VISAの手続きは非常に複雑であった。留学直前になり、受け入れ先の教授に推薦状を作成していただき徳島から大阪へ手続きをしに行ったが、書類の不備や職員の方の手違いから数回受け取ってもらえず苦労した。そのため、私は後から知り得たが、特に地方の方は旅行会社に代理で手続きを行ってもらうほうが良いと感じた。

留学前にやっておけばよかったこと

中国でコミュニケーションをとるには言わずもがな中国語が必須であった。しかし、私は研究や授業、手続きで多忙であることを理由に中国語の勉強を怠っていた。また、これまで中国語を履修しておらず、結果として留学当初は一人で学外に出る勇気がでなかった。私も現地で基本的な会話と数字を勉強してからは一人で外食しても意思疎通には困らなくなったので最低限、基本的な会話や数字などは理解できるようにしておくべきである。

これから留学へ行く人へのメッセージ

どうせ留学するからには少しでも人脈を広げよう、少しでも専門的な知識や技術を身につけようというように少しでも現状から良くしようという思考が大切だと思う。初めての経験している時間は一瞬で過ぎていくので一日、一秒を無駄にすることなく生活してほしい。