留学内容
私は日本でリチウムイオン電池の構成材料に関する研究を行っている。近年では電気自動車などの大型用途でリチウムイオン電池の展開が拡大しつつあるが、航続距離やコストの面から日本ではわずか1%未満の普及率となっている。しかし、災害時に非常用電源となり、二酸化炭素を一切排出しない等の利点から盛んに研究が行われている。特に中国ではここ数年PM2.5による大気汚染の拡大が問題視され、ガソリン車への規制が強化されている。そのため蓄電池を搭載した電気自動車や電気バスの研究開発が国を挙げて行われ、世界最大の市場が形成されている。一方、徳島に目を向けると今後30年以内に70%の確率で南海トラフ地震が発生し、大きな被害を受けると推測されている。2016年に発生した熊本地震で大型リチウムイオン電池に蓄えた電力で停電中の場所に灯をともした現場を拝見し、早急な対策の必要性を感じた。そのため、理工系に強い西安交通大学で基礎研究を3ヶ月行う計画を立てた。この経験を通じて近い将来、蓄電システム事業を担う一員となり、原点となった徳島の企業や地域に研究で貢献する第一歩とすることを目的とした。所属していた中国の研究室では水系リチウムイオン電池の材料研究という将来的に電気自動車へ展開できる可能性を秘めた基礎研究を行った。その結果、今年度中に論文投稿することを指導教員に認められたほど短期間ながら成果を挙げた。