台湾(新台北市)
中国語について、留学前も検定の取得を中心に独学で勉強をしていたものの、実際現地に行くと、ネイティブのスピードで国語や歴史の授業が進められるため、最初の2ヶ月程は言語の壁を感じることが多く、沢山苦労しました。中国語の先生にも「何しに来たの?遊びに来たの?」と言われた日は、悪気はないと分かりつつも、悔しさで心折れる日もありました。しかし、幸いなことに心温かい現地の友達や友達家族、日本にいる友達や家族、先生が沢山のアドバイスと応援をしてくださったおかげで、どんどん中国語力がつくようになりました。肌身離さず持ち歩いた勉強本も、放課後の自習時間も、普段の会話も、自分で少し意識をするだけで、中国語力がついていきました。帰国する数ヶ月前になると、クラスメイト、寮のルームメイトや先生だけでなく、中国語の先生にも「中国語、ほんとに上手になったね」と褒められることが増え、嬉しく思いました。語学学習の面で最も大きな成果だったのは、周りを巻き込む力とともに、孤独にコツコツ続ける力だと思います。
そして、台湾で最も知りたかった米中対立について。とても印象的だったのが、実際に軍役を終えた方が来校し授業をしてくれる国防の科目です。この授業では、どのような背景でスイスが永世中立国になったか、台湾の中華民国国軍がどんな戦闘機を使って中国の侵略に対抗していくのか、アメリカファーストや中国一帯一路構想とはどのようなものなのかなど、幅広く教わりました。その先生が「中国に侵略された時、この国のために死ぬことが唯一の救われる道」と言っていたのを聞いて、その愛国心と絶対に台湾を守り抜くという意志に衝撃を受けました。また、平日は寮に住み、休日や長期休みは友達の家で過ごしていたため、友達や友達家族との食事の場で、政治的な話をすることが多く、中国に侵略されたらどうする予定なのか、アメリカの介入をどう思っているのか、どうして若者を含める国民全体の投票率が高いのかなど、多くの話をする中で、台湾が世代間・支持政党・個人の中のジレンマなど沢山の要素によって多様な意見に別れていることを知りました。これらの経験が、トビタテ事務局にも提出した英論文の執筆に大変役立ち、学びを深化させたと思います。日本にいたら決して知り得なかった・体験し得なかったことができたことに、ありがたく思いました。
また、人としても大きく成長ができた濃い7ヶ月だったと思います。今までの留学は英語圏ということもあり、不安に思うことは無く、ずっとコンフォートゾーンで安心しきっていました。しかし、今回の台湾留学は初めて勉強する中国語を使っての生活だったため、沢山苦戦することもありました。異国の土地の知らない人が集まる場所で、自分がどんな人物で何に興味があり、どういう考えを持つ人なのかを主張する力や、エージェントや留学担当者、友達家族など大人と交渉する力、行く先々の環境にいる人と協調する力もつきました。また、日本を一旦離れることで、日本がどんな国なのかを俯瞰でき、日本にいる友達や家族の大切さを改めて感じました。